2021/12/31

登山ガイドには、体重が必要

 ■タイトローピング

私は、積雪期ガイドステージⅡの筆記と実技は合格しているのですが、やる前から、嫌だったけど、やってみてホントに嫌というより、こちらが迷惑って感じなのが登山ガイドの仕事だと理解し、取得を取りやめました。

というのは、実技の内容、タイトローピングなんです。ショートローピングとも言います。

これは、お客をロープに繋ぎ、転びそうになる前にロープで支えて転倒を防ぐという技ですが、私は体重が50kg行かないくらいですので、ほとんどのお客さんは、自分の体重以上。

そんな人が転んだときにロープでつながっていたら? 巻き添えに合って、こちらも墜落決定です。

自分がコケて、自分で落ちて死ぬのは当人の責任だから、仕方ないと言えばそれまでですが、人のに巻き込まれたら、ましてや、あらかじめ支えられないと分かっているのにロープでつながっていたら、もう最悪ですね。

■ 一般登山者の体重以上じゃないと支えられないですよ

登山というのは、誰でも出来ること、と思われていますが… 重力を上に持ち上げることなので、向き不向きがあり、やはり、太っている場合は、その人が持ち上げなければならない体重が余分なので、とても不利です。これは、筋肉量と相殺で、体が大きくても、それが筋肉で推進力であれば、問題ないわけです。

ところが、ガイド登山になると、転落・滑落の防止を本人の登攀力ではなく、ロープ、で保険を掛けるわけですね。

クライマーがフリーソロするときは、ロープの保険がないので、2グレード下げないとフリーソロ出来ないです。

が、一般登山道で出てくるようなところは、フリーのクライマーであれば、例えフリーでは初級のクライマーであったとしても、登山者としてみたら上級者なので、楽勝で越えられます。

よく登山道で、〇〇キレット、とか、トサカ〇〇、とか、〇〇の戸渡り、とか、怖い名前が付いているところです。

登山者は歩くだけですが、歩くにも、スキルというものがあり、山ヤ歩き、は山慣れしている人を見れば分かるし、沢では、忍者歩き、みたいな感じです。雪稜では、足をクロスして歩くクロスレッグなどのテクもありますし、沢の高巻きで出てくる歩きは雪稜の急なときと大体同じで、使っているテクはㇵの字歩き?アイゼンの爪を全部効かせる系のです。

そういうそれぞれのテクを習得する=登山者 習得しない=ガイド客

ということなので、ガイド客というのは、そもそも墜落しそうな気配が濃厚な人…にロープをつけていたら、軽いガイドであれば、ガイドが巻き込まれて墜死する率が高くなります。

たった3万円の日当で、割に合わない仕事ですね?

というので、私はそんな目に遭うのは嫌だと思ったので、実技&筆記合格で、留め置いていますが…

この事情はそもそも、他の男性ガイドも同じだと思うので、連れていくお客さんの体重を制限するか?あるいは、ガイドとなる資格の中に、平均的体重があるか、どちらかが必要です。

現在はどちらも軽視されており、ガイド本人の命がけ度が高まっているような気がします。

なんせ、いくら自分が落ちない人になっても、人が落ちる可能性というのはコントロールできませんから、なんだかなぁ…と思っています。

山田哲也さんのガイドサイトには、80Kg以上の人お断り、と書いてあったと思います。



海外ではトップクライマーのオンラインコース創設が加速中

こんなお知らせが回ってきました。

海外では、アレックスオノルド君とトミー・コールドウェルがオンラインコースを作っていましたが、ヘイゼルもオンラインコースを作るのだそうです。

どうせ学ぶなら、トップレベルクライマーから教わったほうがいいですね。40年、50年前の技術を学ぶより。スマホの時代に、黒電話を教わっても仕方ないわけですから。

日本のトップクライマーもオンラインコースを開催してくれたらいいのに。

何しろ、日本人はトップクライマーの言うこと以外聞かかないですよ?


 恐怖は指の強さよりも登山者を背負っているが、精神的なトレーニング対身体的なトレーニングに集中している登山者がどれくらいいるか? 現時点で、コーチのクライミング業界は、クライミングの恐怖を管理する上質な情報に敬意を表してコミュニティを大量に抑制しています。

プロのクライマーとして、コーチングとクライミングを常に両立しています。つまり、多くの人にしか届かないということです。 人々を遠ざけることは機会を逃したように感じるので、私はコーチングでより多くの人にリーチするための選択肢を探求しています。
それで... もうすぐオンラインコースが開かれることを発表することにとても興奮しています!
最もサイクルな人々がコースにスポットを当てるようにするために、私は早起きのウェイティングリストを作りました。

「スラブで流して止める」=現代のロープの性能をよく知らない

 ロープと支点強度の捉え方も、現代版の理解昔の理解 の二つがあると思います。

昔の支点は脆弱、そして、ロープは麻とかで三つ撚りとかです。

一方、現代は支点強度があがり、ロープはカーンマントルです。

つまり、ロープの衝撃吸収能で、人体を損傷から守るという考えに180度方向転換していますので、流さなくていい、というのが基本になっています。

一度、スラブをリードしているときに、「落ちたら流して止めてあげますよ」と自慢げに言われて、ビックリ仰天しました。現代のロープでは、スラブで流して止めるって必要はないです。流したら怪我の量が増えるだけです。ただでも大根おろしなのに。

この方は、普通の岩場のリードでも、「落ちます」と声をかけて落ちたら、「まだ俺が準備していない、アンコントロールな墜落をしないでくれ」と言ってきました。それも間違っています。

クライマーはどこでもいつでも落ちる可能性があるので、ビレイヤーが、下でサボっていい時間はゼロ時間です。

私は、3ピン目を取るまで落ちてはいけないというクライミングを自分はしますが、1ピン目で落ちるクライマーに文句を言ったことはありませんし、止めれなかったということもありません。人工壁ですら、です。

■ ロープは体格で選ぶべきものが違いますよ

私は軽いクライマーなので、ロープは伸びが良いものを使っています。

同じロープを体重が重いクライマーが使うと、安全ではなくなります。

重たい人でハングドッグが長い人は、伸びよりもデュラブルなロープを使ったほうが合理的です。

私はロープに全体重や衝撃を与える場合というのは、ローワーダウンくらいなのです。めったに落ちないので。落ちる場合も軽いので、柔らかいロープが良いわけです。

柔らかい軽いロープは細系であることが多いので、耐久性は劣ります。毎日毎日登っている人には向きません。

そういうことが、ロープは会のもの、ではなく、

一人一本自分で自分のリードに適していると思えるロープ

を選んで持ってくるべき理由です。

■ メンテ

アイスクライミングをする人は、ロープは岩と兼用ではダメです。表皮が凍り付いて、グリップしても確保器の中を滑っていきます。防水加工は必須です。また、防水スプレーを登るたびに毎回しないといけないです。帰ったらロープを干します。

一方、岩登りだと、ロープのメンテにそこまで気を使うケースは少ないですが、雨の日のクライミングで泥が付いたりしたら、帰ってロープを洗い、日陰に干します。

カーンマントルのロープは、表皮が結構重要です。表皮の中に泥の細かい粒子が入ると、磨き粉のようになって、カラビナを削ることになってしまいます。一方、芯がふにゃっとしていても、不思議と結構、持ちます。もちろん、ふにゃっとなった時点で、そこからカットして使ったほうが良いとは思いますが。

■ 文字通り命綱

ロープも使い慣れると、文字通り命綱、であることを忘れがちになってしまいますね。

支点も同じです。

ゆでがえる現象っていうやつですね。

大丈夫、大丈夫、と言いながら、段々と大丈夫ではなくなっている…というものです。

九州の支点の、”生と死の分岐点状態”は、そのようなプロセスで発展したのであり、日本中のほかの場所でも同じではないかと思います。

『最新!アルパインクライミング』にこのような記述があります。


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いわゆる「ロープを流して止める」制動確保は30年ほど前までは、ビレイの鉄則だった。


それは、ビレイ方法も「肩がらみ」だったからという前提がある。


中略


70年代前半~中盤で、おりしもビレイは「グリップビレイ」そして「エイト環」と大きく変わりつつあり、さらに現在のビレイデバイスが登場するにいたって、確保方法はロープを瞬間にロックする「静的確保」(スタティック)へと決定づけられたのである。


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2021/12/30

ボルダリングがどのようなクライミングかよく分かる動画:Ryuichi Murai: "Floatin" (v16/8C+) FA


ボルダリングは9割落ちているクライミングなんですが、ビデオトポは見ても、他のクライマーと一切登らないクライマーだと、9割落ちている、って意味が分からないのかもしれませんね…

FAには、成功したセッションだけではなく、こうした何度も墜落している動画を上げるのが良心かもしれぬ、と思いました。

正月の山の回想

■ 気の置けない女友達とおしゃべりデー

昨日は、気の置けない女友達とおしゃべりデーをしていました。数年に一回こういうことをする。

気の置けない女友達、は簡単にはできません。

男には7人の敵がいる、と言われているそうですが、女にだって、7人の敵がいます(笑)。絶対的な共感レベルで、他人の脳をジブンゴトに使う機会=気の置けない女友達。

昨日は、岩盤浴に行ったのですが…よく考えたら、他の人とですが、前の回も温泉…。女友達と行くのは、”温かいところ”です。

私は思うのですが、気の置けない女友達とのおしゃべりデーと同じことを、男性は、山岳会の仲間と冬山合宿でやっているのではないですかね?

そこで、新人に女性なんかが来てしまうと…。気の置けない話ができなくなって困っちゃうから、女性には来てもらいたくないのでは(笑)???

と思って、大体、冬山合宿は譲っていました(笑)。

■ ステップ1 鳳凰三山

というので、一番楽しかった正月の山は、鳳凰三山です。会に入らなくても行ける山


しかし、死者も出ていますので、気を付けてくださいね。小屋まではツボ足、その先からアイゼン付けてもいいです。装備は風対策。ルートファインディングでは、雪庇は、ほとんどでていないですが、踏み抜き転倒がリスクです。核心は稜線の突風に飛ばされる以外は、アプローチの林道です。

■ステップ2 阿弥陀北稜

正月第1週目に行った、阿弥陀北稜は、経験により、好天を掴みました。阿弥陀北稜の核心は、無知、です

大体、ルートそのものより、一般ルート合流後の下山のほうが難しいですし、山頂で東西南北が分からなくなり、南稜側に降りるとか、中央稜に降りてしまうとか、頻発しています。

阿弥陀北稜は、誰にとっても、”初めてのバリエーションルート”、となることが多いルートです。初めてのルートには、それなりに敬意を払った対応をしましょう…つまり、無雪期に、この周辺の一般ルートはすべて歩いておく、というようなことです。

ちなみに、私は、赤岳~横岳、阿弥陀一般ルート、御小屋尾根、南沢大滝・小滝、摩利支天大滝、大同心稜、となりの権現の一般ルート、権現のバリエーションルート、無雪期の全山縦走くらいは分かってから行きました。

ピークの位置関係を概念図で見ただけで、いきなりルートグレードだけで判断して簡単だから、と来たり、あるいは、先輩に連れられて何も分からずに来たりすると、「これって何が難しいんだろう…」と思えるのが阿弥陀北稜です。短いので体力もいりません。

なにしろ、実は岩稜登攀しないでも、実はピークに達せます(笑)。私は雪稜をしてから、岩稜に来ているので、ルートファインディングは得意ですが、北稜に行ったときは、”え?わざわざ岩稜を選ばないでも、となりにラクチンルートがあるじゃーん…”と思いました。もちろん、ちゃんと岩稜を登りましたが。

■ ステップ3 甲斐駒黒戸尾根

その次の思い出の山は、甲斐駒です。甲斐駒黒戸尾根は例のごとく、高齢者のために標準コースタイムが17時間とされています。普通の山やさんはそんなにかかりません。私は正月は人が一杯いる=安全、という意味なので、一人で行き、大体のおじさん登山者を抜いて、七条小屋に泊りました。核心は小屋から、上に行く際の、台地へ入り口で一か所落ちてはならない箇所があります。核心は当然風ですので、風速を見て強い時は出かけないことです。突風に勝てる人間はいません。九州の人は耐風姿勢とか知らないのではないかと思いますが、どうなのでしょうか?

黒戸尾根は、ヒマラヤキャンプという花谷さんがやっている、若い山ヤ養成のためのヒマラヤ向けのトレーニングで使っている山です。チームで登って、8~9時間で登って降りれないとヒマラヤは務まらないそうです。また、”少しでも危険だ、メンバーにリスクがある、と思えば、すぐにロープを出すように”、と花谷さんが、何度も何度もキャプテンに念を押している姿を拝見しました。

甲斐駒黒戸尾根はアプローチが良く、冬季に道路が核心になることはない山の中では、登山口から山頂までの標高差が2200mあり、体力を計る山です。

また、多くのバリエーションルート、岩壁、アイスの氷壁を擁しているので、すべての基本である、黒戸尾根を登っておいて損はありません。当然ですが、積雪期に登る前に、無雪期に登っておきましょう。小屋は冬季も開いているので、冬季に何度も通うことも可能です。

積雪期の登山のステップアップには、登山の神髄と言えるような精神がいっぱい詰まっていると思います。

■ 外的要因についてリスク認知が必要=アウトドア

クライミング、つまり困難度を上げる前に、登山で難しい山を実践し、外的要因と言われるリスクのイロハをきちんとつぶしているクライマーが少ないことが、リスク軽視につながっていると思います。

まぁ、私自身ももし九州で山を始めていたら、同じ穴のムジナになったであろうと思います。なにしろ、九州には、リスクがあるような山がほとんどありません。

たとえ、ジーパンで山に行って、雨に降られたとしても、低体温症でバタバタ倒れる、なんてありそうにないのが、どこまでもお気楽な九州の山です。マイナスになるって言っても、-5度では…。-25℃の世界は想像しようがありません。

まつげが凍るとか、寒さで握力が入らないとか、あるいは、普通に稜線を歩いただけなのに、指が黒くなっている…とか、リスクに近づいたことがある人だけが真実味を持って実感できるものだと思います。

そうならないかぎり、誰しもが、「なに大げさな…」と感じるものでしょう…。

その辺のことを考えるのに、お勧めの映画は、”アイガー北壁”です。寒さに弱くなったら、正月はアイガー北壁を見てたのしみましょう。



2021/12/28

これらの障害を自分の長所で補うとしたら、何ができますか?

 ■ これらの障害を自分の長所で補うとしたら、何ができますか?

グレード以外のクライミングの価値を文章で示すことはできると思います。

けっこう今やっていることと同じです。この数年以上のレベル感でやっていることと同じです。





自分の障害になっている性格はなんでしょう?

■ 問い)

・自分の障害になっている性格はなんでしょう?

・自分の障害になっている体質とは何でしょう?

・自分の障害になっている人は誰でしょう?

・自分の障害になっている社会とそのシステムとはなんでしょう?

・自分の障害になっている環境とはなんでしょう?

■ 答え

障害になっている性格は、なんでしょうかね?完璧主義かな?そうでもないと思ってはいるのですが、傍から見ると違うかもしれません。

自分では、怠惰、も障害になっているかもしれないと思うのですが、だとすると正反対になってしまいます。

体質としては、上半身の弱さは決定的に障害なので、直した方がいいですが、趣味のクライミングなので、急がないでいいかなって思っています。

障害になっている人は、いるのかなぁ…。いないような気がしますが、落ちろ落ちろと言ってくるクライマーは、障害かも…。落ちてもキャッチしてあげますよ、とは違うでしょう。落とそう、落とそうとするのは。北風と太陽で、落とそうとすれば、落ちまいと余計頑張り、落ちないでね、と言えば、勝手に落ちるのがクライマー心理というような気がします(笑)。

障害になっている社会とシステムは、あきらかで、グレード偏重と商業主義です。商売としてクライミングジムを運営するクライミングジムは、クライミングの本質を、グレード競争にすり替えてしまっています。

私の障害になっている環境は、グレード競争こそがクライミングの神髄だと同調圧力に流されてしまっている環境です。私はグレードは行ける岩場の選択肢を広げるだけだと思っているので、グレードで人に上下をつける世界は好きになれません。




どうしようもなく腹が立つときというのは、どんな時ですか?

■ どうしようもなく腹が立つときというのは、どんな時ですか?

あんぽんたんな回答をリスクについてするとき。

3級しか登れないクライマーが、2段を登りたいとか言いつつ、ノーマットって、言いながら、「大丈夫、俺、弱気だから」とか…矛盾の3段合成みたいな回答をするとき。

用心深いクライマーの意味を取り違えている。3級が登れる人がノーマットしていいのは、5級であって2段ではない。それでも、2段が登りたかったら、マット買って、ガンガン落ちるしかない。

というような場合、腹が立つというよりは、なんというか、怒りが腹の底から湧いてくるというか、徹底解剖してやろう、という気になります。かなりしつこいです。すいません。

命を軽んじる人は嫌いです。しかも、その軽んじよう、が、本質的でなく、ポーズだけであるとき。そこから見える人生が、”丸抱え人生”だからですね。





どんなクライマーが最も幸せだと思いますか?それはどうしてですか?

 ■どんなクライマーが最も幸せだと思いますか?それはどうしてですか?

これは答えるのが難しく、見渡す限り、誰も幸福そうではないのに驚きました…。

幸せそうなクライマーが周辺にいません…(汗)

誰のことを羨ましいと思っているのかなぁ…と、探してみても、誰の事も羨ましくないかもしれません…

ハイグレードが登れても、ほとんどクライミングの喜びは増えないみたいなんですよね。

なので、うーん…答えにくい。

台湾の龍洞でお世話になった米国クライミングガイドのQXと奥さんのセットは、良い結論の形かなぁ…と思っています。

ラオスで会った、年配のクライマーで、イギリス人の女性と男性は、結婚もせず、定職にもつかず、クライミングを地道な趣味にして登って来ていた人たちでしたが、いい感じでした。

自分自身と人生が幸福に結婚していそうでした。



どんなクライマーが最も不幸な人だと思いますか?それはどうしてですか?

■ どんなクライマーが最も不幸な人だと思いますか?それはどうしてですか?

甲府にいたころは、野田賢さんなど、アルパインを目指している山や上がりのクライマーにかなり強く同情していました…。今から!というところで亡くなることが多いからです。

すでに3人は亡くなった人、知っています。一人はなんと、講習会の講師と登っていて亡くなった講習仲間です。33歳で身重の妻を残して、他界、というものです。

九州に来て、ボルダリング王国であることを知り、ボルトのボロさを知り、情報から遠いにも関わらず、そのことを知らない人…つまり情報弱者…をもっとも不幸な人と思うようになりました…。

知らないということは、知れば、解決すると思うでしょう…

ところが、それでは解決しないんですね…

何か文化的に、根本的に、何かが掛け違っていると思うようになりました。

今、思っている原因は、この二つです。

 1)スポーツクライミングとフリークライミングとアルパインクライミングが、峻別されていない

 2)一般市民クライミングとエリートクライミングが峻別されていない

両方とも情報の欠如に基づくものですが、高齢化=ITスキルの不足、なので、情報源が、雑誌などの文字媒体からネットに移ったこともあるのかなぁ…と想像しています。

それと、指導者レベルの人であっても、自身がきちんとした教育を受ける機会が非常に少ない、ということもあるのかなと思っています。

それなのに、教わりたい人は一杯来るとしたら、その人はアップアップのハズで気の毒な不幸な人と言えるかもしれません。

■ グレードで競争している人

登れる方が上、ということで、やってもやっても上を目指させられ、元は美人なのに、般若のような形相になってしまっている女性クライマーに合ったとき、私もリードを強要されたのですが…自分にされたことを相手にもしてしまう、という負の連鎖を感じました。

どっちがより登れるかで人に上下をつけている人を見ると、気の毒になります。競争原理では、その人が浮かばれ、真に幸福を感じることができる日はまず来ないです。

受験戦争でもそうだし、就職でもそうです。年収の多寡でどっちがスゴイか競争しているような場合もそうですし、農法でどっちが優れているか競争しているような場合もそうです。

とはいえ、それをやってしまうということは、そのような育てられ方をしてきた、ということで、大変気の毒に感じます。

「楽しんで登ることが何より大事」

と思います。楽しみの中に優越感を入れてしまうのは気をつけねばなりません。

楽しんでいないと、フロー状態に入れないです。フローに入ることが、上達の一番のポイントだと思います。



どんなクライマーを助けてあげたいと思いますか?それはどうしてですか?

■ 問い どんなクライマーを助けてあげたいと思いますか?それはどうしてですか?

自分でステップアップした雪山をしてきて、そのあと、これ以上ステップアップするには、誰か上級者のアドバイスや、仲間が必要だ、となって、そのために仲間や師匠を求めるようになった人を特に助けたい、という気持が強いです。

雪の山に魅せられた人、ですね。

九州では、積雪期の経験値を積むには、著しく不利です。というか、九州に住んでいては無理です。

というと、久住の山や、雲仙の霧氷の美しい写真を送ってきて、私を慰めてくれようとする人が確実にいるのですが… それらの山々の積雪量って5cmとかです。

これは、12月前半の最もスリップしやすく、登山をあきらめるレベルの積雪量なんです。アイゼンは、数センチの雪には全く利きません。

そもそも、このようなレベルの積雪では、アイゼン付けません。役立つのは、荒縄です。登山靴に荒縄を巻き付けたのが一番グリップが良くて滑り止めになりました。

雪=アイゼン、の自動思考があるのは、東京方面の都会の登山者も一緒ですが、普通に良く積もった積雪だと、11月の燕岳とか西穂山荘までは、ツボ足で登れます。基本的にアイゼンは氷に効くもので、雪ではないのです。雪も、新雪ならば、サラサラなので、アイゼン効かないです。

12月初旬に、南沢小滝・大滝に偵察に行く人は、登山靴で滑りながら、アプローチこなします。

九州の山でも、登山道で岩にガリガリ痕が付いてるのを見かけますが、アイゼントレ、なのかなぁという感じです。ガリガリ痕は岩場をアイゼンで登る、冬季登攀でよく見かけるものだからです。また、ガリガリ痕=効いていない、という意味です。せっかく付けたのに滑っているという意味です。

ブラックアイスと言って、アスファルトにうすーく氷が氷結したものは、もっとも滑りやすいので、九州レベルの凍結や雪というのは、雪国の人がもっとも出かけるのを避けるレベルの積雪量です。スタッドレス効かない。チェーンしか効かないです。降るなら降るでしっかり積もってくれた方が安全なのです。

なので、いっくら、霧氷キレイだよ~と言われても…。リスクと利得を天秤にかけると、リスクの方が上で、利得のほうが少ない、ということになります。


雪の山では、平らなほうが風が強いです。平らでも、ガスに巻かれたら何も見えないし。平ら=簡単、ではないです。

■ クライミングのあれやこれやが分かっていない人

上記のような状態も含め、分かっていない人を助けたいという気持はあります。

それは、かつての自分がいるから、というだけで、もっとわかりやすく説明しといてよ、みたいな気持ちがあるからだけで、その人たちに共感しているわけではありません。

なんで、みんな命がかかっている事なのに、そんなに勉強不足で気がつかないのかな?くらいは思っています。

私は後輩については、特定の好みがあります。まず、クラック好きなことが大条件です。

なんせ、ボルトを追っかけるクライミングをしていては、岩を見る目とか、つかないからです。岩のルートファインディングで、最も簡単なのがクラックです。岩の弱点。

弱点をたどらずに強点をたどることを先に覚えてしまうのが、昨今のクライマーで、そういう人は、ボルトの無いところにルート外しをして落ちてしまいます。

ほんとはアイスでクライミングデビューしてもらいたいくらいですが…というのは、アイスは、どこを登るか?も、個人次第なので…その人の個性が見極めやすいからです。例えば、見栄っ張りでイケイケの人は、最初に強点を登って、だんだんと弱点に収束していきます…しかし…、アイスはギアが高額で、だれにでも期待できるクライミングではないので、まぁクラックで妥協です。

ボルトルートしかしないクライマーは、クライミングに対する理解が偏っているので、好きではありません。

人工壁は受け入れますが、人工壁しかしないクライマーもあんまり興味がないです。その人の興味がムーブへの探求心にある場合は、ヨガの経験値ゆえに共感することが多いですが、ムーブへの興味は共有できても、一緒に外岩してほしい、となると、リスクがある山はできず、ゲレンデで、限界だろうな~と思います。

人工壁育ちの人は、長ヌンで伸ばすとか知らないだろうし…、引率のお母さんになってしまうことが予想できる気がするからです。

人工壁×ハイキングというクライマーも、敬遠すべき、と学びました。どっちも自然界そのものへの好奇心には、基づかないためです。絶対、引率になる。

好きなのは、沢やさん。でも、沢って、何個も登っていると大体パターン似てきちゃうんですよねぇ… 

というので、冒険好きな女性のクライマーで、クライミングそのものよりも、山そのものが好きって人が好きです。

そういう場合は年齢問わず好きです。以前女性だけで、甲府の岩場のある山で、色々な尾根を降りるという山をして、とっても楽しかったです。

女性だけだと、イケイケになることは少なく、リスクマージンのとり方も似ているので、仲間の心配をする必要がなく、ただただ楽しかったです。



自分が苦手なタイプのクライマーはどういった人ですか?

■ 問い

・自分が苦手なタイプの人はどういった人ですか?
・身近な人で言えば、それは誰ですか?
・その人のどういうところを変えてもらいたいですか?
・自分では同じようなことをしますか?

今回は、問いが長い(笑)。

苦手なタイプは、男女ともリスクを理解できていないイケイケタイプの人です。

同じイケイケタイプの人でも、リスクを理解している人は、私に同じイケイケを期待することがないですが、リスクを理解していない人は、こちらにも要求してきます。

例えば、佐久の志賀の岩場で会った女性クライマー。オブザベなしで登れる登れると取り付いて登れなくなっていました。「あの子、あの調子じゃ、いつか大怪我するで~」と言われていました。

私自身を振り返っても、分かっていないときは、分かっていないことを指摘されても、それでも、よく分からないので、初心者の時に、いろいろ分かっていないのは、まぁいいです。

しかし、自分の無知を盾に、こちらを、ビビりクライマー呼ばわりする人は、ちょっとねぇ…。煽ってる。

■ 変えてほしいところはどこですか?

「したくない人にリードを強いてはならない」

ですね。ズバリ、変えてほしいところは。これは登ったら?というお勧めルートは、普通は、トップロープでお誘いするもの、です。誰が登りたいのか?という問題をよく見れば、登ってもらいたいのは、それを登らせたい自分だったら、トップロープ決まりです。

相手は登りたいって言っていないわけなのですし、たぶん、落ちるに決まっているので。

■ 自分では同じようなことをしますか?

しません…。私は新人さんには、自分が教わった以上のことを教えています。

また、「けつを歩いてくれる先輩が良い先輩だ」を実践しています。

         最近ネットで見かけた日本のインスボン…小豆島