2016/06/24

メンタルとマーシャルアーツ

■ 登れない原因はメンタルだよ

最近、「登れない原因はメンタルだよ」と指摘され、”さもありなん”、と思っています。

数えてみたら、師匠と岩に行ったのは、初年度2回だけでした・・・(汗) あとは落ちれないクライマーと登っていますから、登れるところしか登らないから、新たなスキル獲得にはならないですね。

■ 5.9アンダーの時期

個人的に、5.9アンダーの時期は、

 ・どういう課題でも落ちる可能性がある

 ・落ちても大怪我につながらない課題の見極めができない

 ・プリクリップすべきなど危険の予知力がない

ので、そうした目利きができ、安心できるビレイヤー(つまり経験者)と行くべきだと思います。

例えば、去年の今頃、私は5.8はリードできたので、5.8のクラック、愛情物語をリードしようとしたら、ダメと言われました・・・。小川山レイバックもダメ、のお達しです。

一方、兜岩では、5.10Aのフェイスは、朝一のアップもないでリードしています。(やっぱりアップは欲しいです・・・。)

■ システマ

システマの本を読んでいます。システマというのは、ロシアのマーシャルアーツなのですが、武道って、結構バレエと近い部分があり、システマもバレエをやっている中で、知った身体操作術です。

システマでは、

 ・戦うと同時に

 ・痛み

も、経験するのを重視しています。パンチを喰らうということです。理由は、共感性です。

これを、クライミングに当てはめると

 ・登ると同時に

 ・落ちる

ということになります。クライミングも、落ちることを学ばないと、落としてはいけないことが学べません(^^;)。

■ トラウマ化しないには?

しかし、痛み(=落ちる)には2パターンの反応があります。

 1)懲りてしまう  → 2度としない
 
 2)自信につながる

1)懲りてしまうと、単純に”二度としない”ということになります。

クライマーはこれは是非とも乗り越えなくてはなりません。

私がいた会では、リードで落ちて、ビレイで停めてもらえず、足を骨折して、リードは二度としないと決意した先輩がいました。

では、2)自信につながる、という道を得るにはどうしたらいいか?

回復です。

苦痛からの回復は、成功体験

となります。

■ 回復がキー

ダメージを受けたまま、回復しなければ、恐怖の記憶だけが残ります。苦痛から回復したという経験は、成功体験となります。

 成功体験 = 苦痛からの回復

です。

回復とは、なんぞや・・・となりますが、

 心拍数、血圧、呼吸、体の緊張、感情、などが元通りに戻ること

です。

クライミングではカンタンに

 平常心

と言っていますが、平常心と言われたって、動揺している人は動揺しているとは、考えていないものです。

私も落ちれないビレイヤーと登っていた心理状態(アラート状態)のときは、基本的にストレス下にあったと思いますが、はた目には平常心で普通に見えたと思います。

その時の心理状態は、本人にとっても

 まぁ落ちないだろうから、いいかな~

という程度のものです。根拠は、Ⅳ級-や、5.7くらいまでのところしか登っていないから、というもの。

12登れる人に聞いたら、ソロイストでは、5.7しか登らないのだそうです。

つまり、絶対落ちないグレードと言うものは、登れる人でも初心者でもそう変わらないものだ、ということですね。

基本的に安全パイは、限界グレードの2グレード下という話になっているらしいです。

■ 回復の方法

さて、では具体的な方法は?

 ・ブリージング (鼻から吸って口から出す呼吸)

 ・マッサージ(ボディコンタクト、筋肉を柔軟にする)

 ・痛みを知る 

とされています。

 ・消化器を動かす (=副交感神経が優位になる)

も良いそうです。

クライミングなら、落ちて、落ちても大丈夫だということを知る必要があります。

■ 他者への恐怖心を取り除くエクササイズ

これは、なかなか実践しづらいかもしれませんが、

   うつぶせになり、その上を他者が転がる、

というものです。

私はヨガを教えている側で日常的に良く人のカラダに触るので、救急救命では、脈を取ったり止血などが得意であったりしました。

また、海外生活が若いときにあったので、挨拶のハグに慣れており、抵抗がないほうかもしれません。

バレエもまたパートナーとの踊りですし・・・

■ 4大エクササイズ

 プッシュアップ

 スクワット

 シットアップ

 レッグレイズ

です。私のヨガのレッスンには全部入っています。スクワットだけは、寝てやっているので、あまり筋トレ効果はないですが。

バレエのレッスンには、プッシュアップ以外が入っています。考えようによっては、私はバレエでプッシュアップをやらなかったので、必要性があって、クライミングをしているのかもしれません。

■ 引き算

西洋的なメソッドでは、何かを技術などを”得よう”とします。つまり、足し算です。

しかし、逆説的なようですが、クライミングは積み上げるもの、ではないような気がします。

私がバレエをしていたときは、ただただバーこそ自分の居場所、と感じていました。いくらやっても飽きない感じです。

例えば、タンジュなど、ただつま先を伸ばすだけのことです。詳しく言うと、かかとからつま先を出す、というような細かな動きの技術があり、それを習得するのに、夢中で何年も過ごせてしまったのです。

まぁやっている時は、何へつながるのか?分かりません。私はヨガのインストラクターと言う道につながりました。

狭い意味のクライミングという技術もそういうものかな~という気がします。スラブではいま、エア拇指球を掴みかけている気がします。それを探求したいという気持ちです。

そう言う意味では、キャンパシングボードにぶら下がって保持力アップする、というのは、私の関心からは大きく逸れており、全く魅かれない気がします。

余談ですが、この本ではゾーン(フローとも言う)に触れられています。クライミングがゾーンと共に語られるのは、珍しいことではありません。フローではチクセントミハイの著書が有名です。またバレも、巨大な感動を作り出すことで、ゾーンへ人を導きいれる要素があるような気がします。







2016/06/22

落ちれないビレイヤーと登っていると登れるようにならない

■ 気づき

先日、十二ヶ岳の岩場に行ってリードクライミングしていて、分かったことがあった。

  ある特殊なメンタリティになると、Ⅲ級でも怖い

ということだ。Ⅲ級の岩場と言えば、片手程度の三点支持でも登れ、一般的に岩登りの経験がゼロの人でも登れる。でも、落ちれば大怪我になる。

(岩登りのカンタンさ) と、(墜落時の怪我の大きさ)は、まったく相関関係にない。 

カンタンであれば、怪我が軽い、とは、まったく言えない。

しかるに、簡単であっても 墜落時の怪我リスク小 とはならない。

カンタンであろうが、なかろうか、落ちたら、大怪我が待っている。

そのことには、カサメリ沢にクライミングに行った時、これ以上ない簡単さの、単なる歩きのトラバース道で、8m転落して理解した。あやうく頭を打って死ぬところだった。

■ 落ちるか落ちないかは、50:50

思慮深くない人は、そういうことは考えない。

だから、”簡単、簡単”、とそのまま、登って行ってしまえる。

その調子で、”ここもカンタン、あそこもカンタン”と、深く考えないままに登っていると、終に ”む、難しい・・・”となるだろう。

その予想は容易だ。

では、”む、難しい・・・”となった場合、次はどうなるのだろうか?

 (落ちる) & (落ちない)

の二者択一しかない。 確率は、50:50だ。

■ 空想力

そういう風に、実際に落ちてしまう難しさまで行ってから、初めて次を考えるのが、8割の人だ。

夫の元君は、高所恐怖症だと自己申告しているが、クライミングしている私がびっくりするような危険な個所を、ヨイショと平気で越えてしまう・・・。

落ちたらどうなるか?を想像するのは、空想力の問題だと分かる。

そして、おそらく、8割の人に空想力がない。現場で行き詰って初めて気が付く人が8割だ。

■ 合理的な空想力 = 予想

空想力が私はたくましい。このままで行くとどうなるか?という未来予測を常にしている。

空想力は、現実の観察力に基づいている。

子供の頃、母が高額の買い物・・・DVDプレイヤーだの、ワープロだの・・・ちなみに我が家はシングルマザースリーキッズの世帯であった・・・を購入する姿を見て、我が家の教育費支出はヤバいと予測した。

それと同じで、下にいるビレイヤーを見る・・・。 なんだ?あの立ち位置は・・・。声を掛ける。「もっと壁によって!」 

リードしている先輩のビレイヤーのロープが超だらりんとしている・・・。ということは、私も、あのビレイで登らないといけないのか・・・(戦慄)。あれで落ちたら止まるまい。

ビレイヤーが酷使されている。さっきも彼だし、ビレイばかり連続4回だ・・・集中力も切れてくるだろう・・・。次に登るのは嫌だ。

今初めて流動分散を習っている? ということは、リードはしていないということで、ということは、経験の浅いクライマーに違いない。この人のビレイでは落ちれないな。

とまぁ、そんな具合。

■ 命名 アラート状態

その空想力がもたらす、心の状態で、ある特定の状態がある。

その状態のことを、何と命名していいのか分からないが・・・、確実に感知できる。

アラート状態とでもいうものだ。赤ではないが黄色というもの。

■ アラート状態

ということに気が付いたのは、十二ヶ岳の岩場で、カンテをリードした時に、特段、問題がなかったからだ。

以前に落ちれないビレイヤーで登ったことがあり、同じルートだと、差が鮮やかだったからだ。

この心理状態は、パニックではない。パニックになった状態とは緊迫感がまた違う。パニックは、もっと時間的な切迫感がある。

ただ、あてにならないビレイヤーを見ると、私は決して落ちられない。と決意する。

その決意は、失敗したら後がないと、オール自腹で臨んだ大学受験や財布に2万円しか入っていない状態で渡米したカリフォルニアでの2年と似ている。

今すぐどうこう、というのではないが、手違いが一つでもあると、非常にまずいことになる、という自己認識だ。

その時の心の状態は、とても特殊で、その状態を私はそうでない状態と切り分けられるようになった。

アラート状態(=信頼できない状態)と名付けよう。

■ 心的パワーの半分で登れるところを登る

信頼できない状態だと、心は半ば、怒っている。つまり、矛先が相手へ向いている。

岩には向いていない。要するに、岩に集中はしていない。

しかし、理性では、分かっていない相手へ怒りを向けても仕方がないと分かっている。能力がない母に学資を期待しても仕方がないと、あきらめるようなことだ。

しかし、合理的に考えても、頼るべきところが頼れない分の負担はこちらへ来る。

岩の場合だと、落ちれもしないので、心的パワーが100という容量があるとすると、下のビレイヤーへの怒り、ちゃんとしてないビレイを監視する心配、などに、心的パワーを30程度は、振り向けなくてはならない。

残りの70が、岩に振り向けられる心的パワーになる。

落ちれないということは、技術スキルにゆとりが必要になる。つまり、ギリギリではないということだ。

ギリギリでないためには、70の心的パワーに対して、さらに20%のゆとりを残して、岩にふりむけなくてはならなくなる。

つまり、56の心的パワーしか岩に振り向けられない。確実に落ちないためには、ゆとりの20%は必要だからだ。

ということで、振り向けられる心的パワーの約半分である56が、私が登るべき困難度の限界値となり、そのビレイヤーの元では、自分の能力の半分程度の困難度の岩しか登るべきでない、という結論になる。

能力の限界を試すのは、失敗が許されない環境ではできないのだ。

■ リラックスはできない

その状態の時は、”決して落ちない”という決意が、「こうやってみよっかな~♪」という思考錯誤を楽しむ、気軽な思いを凌駕している。

 (落ちてはならぬ) > (こうやってみようかな~)

ここまで書いて気が付いた。 そうか、楽しんでいないんだ。

(楽しみ)はお預けで、(決して落ちてはならぬという義務)が優先。

何事も楽しんでやらねば、スキルは身につかない。

楽しいという思いが土台になければ、岩登りはただの苦行だ。

まぁ、今まで苦行をこなしてきたわけですね(笑)。

■ 苦行から解放

ということは、会を退会したのは、本当に良い選択肢だったのだろう・・・

神は私に楽しめ、と言っているのかもしれない(笑)。

落ちれないビレイヤーで登る苦行は、どんな初歩的なクライマーにも、イラナイ。自分も落ちれないビレイしかしないから、相手の落ちれないビレイを受け入れる、ということは、Lose:Loseの選択肢だ。

岩でも、実生活でも、Win:Winの選択肢が誰にとっても取るべき道だ。

つまり、確実なビレイを身につけ、落ちても止めてもらえるビレイヤーと登る。

クライマーは、まずはビレイを身に付けましょう。そうしなければ、互いに登れるようになりません。

2016/06/20

十二ヶ岳の岩場

■ 十二ヶ岳の岩場

ゲレンデへ一緒に行く人とは本チャンへいくことができるようになりますが、ハイキングを一緒に行っても、本チャンへ行くことはできないし、人工壁だけ一緒に行っても本チャンに行くことはできない。フリーの岩場での経験の共有は必要条件であって十分条件ではない。

今回は、旗立岩がメインで、ゲレンデはついででした。甲府近辺には、兜岩や甲府幕岩など、フリーのゲレンデもあるので、どこにしようかと迷いましたが、十二の岩場にしました。ここは情報が得難いし、真冬でも使え、御坂山塊なので、神奈川方面への帰途に立ち寄るのに使えるからです。

岩場の性格としては日和田や長野だと物見岩などと同等で易しい初心者向きの岩場です。

■ 当日の様子

この日は朝から大快晴で、石和温泉での待ち合わせでは、「今日乾徳に変えようかな~」と一瞬よぎるくらいでした。でも同行者によると

 ・時間がタイトになる
 ・山だと登りでバテて暑い

というので曇りの日の翌日に本番が入って良かったです。

この日は、真冬でも登攀OKの十二ヶ岳の岩場は暑いのではないか?と不安になりましたが、風がさわやかで、湿度も低く思ったより、暑さは堪えませんでした。ただ紫外線が・・・。ほんのちょっと岩に張り付いていただけで日焼けが痛いほどでした。

石和温泉でピックアップし、御坂トンネル経由で西湖へ。駐車スペースには先行者の富士ナンバーが一台。

次回はマルチの上部へ
岩場へ到着すると、その人は単独でした。あら!きっとベテランさんですね。一番易しいルートがカンテなのですが、そこには以前はフィックスロープが張られていました。今みると、撤去されています。あら~。

ここをリードしようと思ってきたので、なんだかなー。ここは5.7くらいはあり、上はランナウトしているので、簡単ですが、朝一なら念のためと思い、Ⅲ級のマルチの壁に行きました。アップです。当然ですがリード。同行者はこんなとこラクラクなので、完全にお付き合いですが、初めてくるところなので、そう無駄にも感じないハズ(?)です。

下のフェイス壁に戻ると、同行者が不安そうに、リードを申し出てくれましたが・・・いや、ここは初年度でもリードしてきた壁ですし、朝一にへばっていてはいけませんので、ここは心を強く!カムを借りていきます。

易しいラインのカンテは支点が乏しいので、それが嫌な場所なんですよね。下にリングボルトありますが、上で7mくらいランナウト。なんでペツルが一個もないんだぁ! 

前回は、別のベテランの方を案内し、ビレイしてもらいました。

ここは出だしが核心で、出だしの一歩が嫌な感じですが、それはまぁ分かっているし、トップロープならアプローチシューズで登ったので、大丈夫です。カムを噛ませました。

先ほどのベテランさんも降りてきて、見守ってくれました。上がランナウトしているからです。隣の課題のボルトが最終で、ぬんちゃく3つで伸ばしてから、あとは思い切りです。

この後はトップロープ支点を次々隣りに移していけば、全課題が登れ、練習になります。一人がここをリードすれば、あとはリードしたくなければしなくて済みますから、初心者向きと言うワケです(^^)。

今回も、どんどん左にずれていきました。トポはこちらです。

初めてアイゼントレで来たときに、何も知らずに取り付いて落ち、数回目で師匠にレントゲンになっているよ~、と言われた思い出の5.10Bもパンプすることなく登れ、この壁では一番難しいノーマン・ベイツ5.10cも落ちずに登れ、6本ほどで終了。

午後の日の高い時間は非常に暑かったです。

■ マルチの上部

次回は、マルチの壁の上部に行くといいかも・・・でした。

そこは支点がぼろいからと言われていましたが、発言した人が登っていたので・・・ということは登れるんでしょう。

それを言われたとき、私は初心者でしたが、支点構築を初心者の私よりもさらに初心者のパートナーに教えないといけないという事情でした。そのパートナーがそのマルチ上部を登りたがったので、体よくあきらめさせるには、そう言うしかなかったのかもしれません。

なにしろ、その日初めて流動分散を作り、セカンドの確保機能がないスポーツ用の確保器しかもっておらず、終了点に着いたら、「えっと、どうするんだっけ?」となっている状態の人が登りたがったからです。

念のため言っておくと、その人が悪いのではなく、初心者はいつも動転して、普段していることもできない状態・・・”あわわ”となります・・・その人だけではありません。

また登れるスキルがないのに、登りたがるのも初心者にはいつものことです。

■ あれ?登れるようになっている・・・

この岩場では、アンダー気味のハングの乗越がのっこせないでいましたが、パンプもせず、腕が疲れることもあまりなく、のっこせたので、単純に3年くらいクライミングを続けていればいいだけのことだったんだなーと理解。

やっぱり成長はしているようです。小川山物語では分からなかったけれど、これは確実です。

同時期にアルパインをスタートした、少し年下の知り合いの男性が、たまたま岩場にやってきていましたが、彼はもう少し上のグレードを登れるようで、5.10Aの課題もリードしていました。

男性と比べると、腕力や蛮勇に劣る女性クライマーには少し余分に時間が必要と思いますが、5.10Aなら私もリードできるグレードですし、大体誰でも同じ程度の時間が必要なんだな~と思いました。

ただ組んでいる相手とあうんの呼吸が出来上がっている様子には、ちょっと羨ましく思いました。セカンドは先輩なんだろうな~と見て取れました。

帰りは、いずみの湯と思いましたが、大型バスが2台も止めてあったので、パスし、芦川の道の駅で、230円の天ぷら丼と220円のシソジュースを頂き、みたまの湯(770円)で締めて帰りました。

みたまの湯は混雑で敗退つづきでいしたが、いいところでしたので、また夫と行きます。

帰宅して夕飯。芦川のおいしいこんにゃくやシイタケの素焼き、焼き鮭。あとは10時前に寝ました。

≪まとめ≫

・トポ
http://www.ogawayama.com/Saiko/SaikoJ.html

・マルチの壁 Ⅲ級 1ピッチ 
・トパズ 5.8 (カンテ) NP リード 上はランナウト
・マーニー 5.10b TR
・ノーマン・ベイツ 5.10c TR
・マガフィン 5.10A TR
・アンソニー・パーキンス 5.10A TR

■ その他

3年前、始めてリードしたのは、”山羊座の下に”で、5.7と思っていたら、トポをみると、5.8になっていました・・・(汗) 当時のスキルとしたのビレイヤーの経験値を考えると、それはそれは冷や汗ものです(笑)。

隣の、壁のサイコ5.9や疑惑の風5.9の箇所でやっていた男女のパーティの女性は、その当時の私くらいのようで、とても大変そうに登っており、なんだか気持ちが分かるなぁ・・・と思いました。

初心の頃、付き合ってくれるパートナーはクライマーが怖がったり登れなかったりで、大変と思いますが、温かい目で見てあげてください☆

3年くらいは5.9アンダーの初心者クラスから、5.10Aリード、5.10b・cをTRで触るくらいに行くまでかかるもののようです。そうでない人の方がむしろ例外でしょう。女性なら、子供時代の登り遊びが不足しているので、なおさらだし、クライミングに接する時間に乏しい社会人バリバリなら、なおさら。毎週登りに行けるような人でも岩場の経験は、なかなか積めません。行く期間が一週間以上離れていると、オールリセットになるので、昔の人が岩場に通い詰めたような具合には、早く上達しないものなのです。

■ 根っこを作る岩場

今回は、だいぶ岩場の木がなぎ倒されていて、驚きました。トラバースが使えなくなっていました。

岩場に生える木は、ねっこが張れないので、成長すると、頭が重くなって強風などの理由が特になくても、自然に倒れてしまうのだそうです。

このような岩場での地味なクライミングも基礎練習ですので、根っこのようなものです。

基礎練習が不足して、高難度へ進むのは、岩場に生える木の倒木のようなことになるかもしれません。

師匠は最初の頃、私が人工壁やジムに通うのを嫌がりました。

・・・それは高難度のグレードだけを目指すようになってほしくないという意味だったと思います。

しきりに「そんなにすごいクライミンググレードがなくても登れるよ」と言われました。

ジムにいくとチクチクと言われるので、言われる側としては、カチンと来ていましたが、師匠の言わんとするところは理解していました。私もジムの人工ホールドが楽しいとは思えないタイプなので・・・。アルパインの人は強い男性クライマーでもみなそうのようです。それで仲間とつるんで、だましだまし行くのです。

外の岩場は足で登れますので、女性でも取り付くことができますが、最近の人工壁は、かぶっていてフリが出てくるのが主体で女性はあまり楽しくないものが多いです。

しかし、外の岩場ではビレイが習得できないので、やはり初心者の頃はビレイ習得を目的に人工壁に通うのが良いと思います。

今はビレイ習得ではなく、2点支持の習得で通うべき時期ですが、いまひとつジムに気持ちが向かないですが、この夏は、頑張ってみようと思います。






乾徳山旗立岩中央岩稜

■ 乾徳山旗立岩中央岩稜

さて、早速ですが記録をまとめます。

乾徳山旗立岩中央岩稜は、『日本登山体系』8巻に記載があります。また岳人2000年11月号にも記載があります。(が、両方ともあまり役には立ちません)

登山口: 7:40~扇平(月見石)9:00

  アプローチ 扇平まで: 
          約1時間(大平牧場から)  標高差700 駐車800円
    約2時間(徳和から)      標高差1200  無料

        扇平~取り付き : 約40分 (ほぼ山頂直下から懸垂3P)

      懸垂下降点(10:00) ~取り付き(10:40): 懸垂下降を含め、40分 
      登攀:11:00~13:00 3P Ⅳ級+、Ⅲ級、Ⅲ級(Ⅲ級とあったがⅡ級と感じた)
 山頂 13:00頃 
扇平:14:00 休憩30分 夫と合流 
下山:15:00

天候:曇り 時々雨 下山終了後 雨
 
■ ルートの性格 初心者向け 難しいところもあるが短く、体力負担が軽く楽しいルート

初級向き。乾徳山は奥秩父の前衛であり、都心から手軽なアクセス(最寄駅塩山)。しかも標高2000mに届くため、ゲレンデにない、天候の変化など山の性質も併せ持つ。アプローチは大平牧場からの登路が最短。徳和からだと駐車料金無料。

今回は一緒に行ってくれる人の負担を軽くするため、大平牧場からの登路を選んだ。この道は一番歩きやすく、プロフィールが良い。徳和からの林道経由の道は、植林の中であまり雰囲気が良くない。徳和からだと少し長いが、駐車が無料になるので、価格を優先する人はこちらが良い。

さて、6:00起き、6:30出発、7:40ごろ、登山口到着。大平牧場への林道は、落石が多く、普通車も入れるが、林道の運転慣れ程度は必要だ。水・トイレは無料だが、ぼっとん。

林道と林道をショートカットする道をまじえて標高200mほど上がると、すぐに道満尾根と合流する。開けてきたら、扇平。1時間弱ほどだ。9:00頃到着し、休憩を取る。

扇平は開けた草原で気分が良いエリアだ。大きなボルダ―が転がっている。そこから山頂へ向うポッコリとしたピークが見える。

扇平から山頂を眺める ほんの一息で山頂 

今回は、同行者はベテラン。ダブルだと3人まで登れるので、もったいないな、あと一人、ということで、色々声を掛けた(と言っても、ゲレンデくらいはやっていて様子が分かる人限定)が、空いている人がいなかったため、贅沢にもベテランを独占。アプローチはハイキング程度でゆとりがあったので、夫を同伴した。

同行者は遠方から・・・また電車での合流だったので、ギアはロープは私の物で行き、屈曲したルートでもないと思われたので、60mのダブル1本と敗退用に30mを用意した。カムは同行者に甘えて、ワンセット持ってきてもらった。(私がまだワンセット購入していないため)

扇平では多くの登山者と鉢合わせした。おじいちゃんが小学生くらいの男の子を連れてきていたが、不用意に”岩の向こう側へ行ってみなさい”などと薦めているので、「そちらは懸垂下降が必要な崖ですよ」となんとなく注意したりした。

下降点のチムニー
冒険心をはぐくみたい気持ちは分かるのだが・・・目の入る範囲内に子供は納めていないと、地形を地図で確認していないで、不用意に登山道から外れると え?→すってんころりん となりかねないと思うんだが、不用意な人は不用意なだけに、そうであるとも知らないので、余計な心配と思われたであろう。

我々は、というと、首尾よく、懸垂下降点を見つける。大体の場所は分かっていたので、問題なし。

懸垂支点を見つけると、若い男性のグループが、物珍しげに寄ってきて見ていた。

大体、アルパインクライミングを見る機会がないから、ギアやロープを見た男性は大抵は興味を引かれるみたいだ。

早速ハーネスをつけ、支度をする。懸垂なので、とりあえず靴以外の装備を身に着ける。少し冷えてきたので、同行者はレインウエアを着ていた。私はまだ大丈夫と感じ着なかったが、ビレイがメインだったら着た方が良い。動かないほうが冷えるからだ。

懸垂支点はちょっぴり怖い場所にあったので、短くロープを出して、ごぼうで降り、各自をセルフを取る。ちょっとしたことで、めんどくさがって手間を省かないようにする。ここは個性が出るところで、こういうところでサボらない人が好きだ。

懸垂は25mきっちり3ピッチと教わってきた。1ピッチ目は狭いチムニーを行く。同行者が先行してくれたのでありがたかった。行き先に何があるか不明の懸垂などは、経験が生きるからだ。そういえば、先にいつも降りる側だったなぁ・・・。今回は高待遇だなぁ。

とりつき


落石を落としそうな地面なので、同行者が岩陰にいることを確認し、慎重に落石を落とさないように降りた。

2P目の懸垂も支点があった。が、ガレガレで、ラクが起きそう・・・同行者は落ちた場合、大怪我になりそうな、ミカン箱大の石を積極的に落としてしまってから行く・・・。

大きな音が山に響く・・・。これは北岳バットレスなんかではできないな~。ここは下は何もない樹海だからできるけど・・・。

以前、バットレスで私が邪魔な石を避けたら、先輩が「あ~!!」と大きな声を上げて、いかにも”なんと非常識なことをするんだ?!”と言うそぶりだったが、私は先に落とすように教わっていたので、”?”と思ったのだった。

同行者は下に誰もいなければ、積極的に落とす派のようだった。

1P目に引き続き、ラクに最大の注意を払いながら降りる。3P目は立木を支点にした。

3P目から左にトラバースして取り付きを探した。2つ目のルンゼ、2つめの尾根だった。ここは記録を読んでおいたことが役立った箇所だ。

ヒントは、ガレで始まるというものだったが、安定した古いガレで、錆びて、ぼろぼろのガス缶などが落ちていた。このルンゼのほうが、下りてきた下降点のチムニーより堆積した岩が安定していそうだった。



安定したガラ場が取り付き

1P目


■ 1P目 核心部 え?雨??

さて、1P目基部で10:40. ちょっと休憩をし、支度して、「1P目、やらせてもらってよいですか?」と取り付く。11時近くにスタート。

古いハーケンが並んで打ってあるのが見え、記録で見たハングの写真と一致する。少し上に新しいアルミ色のハーケンも見えた。とりあえずハーケンを目指す。寝ていてクライミングはやさしく、大きなクラックを縦に掴むことができるし、エッジも使える。ただ足場は逆層なので小さい。

このあたりで雨が降り出す。一瞬ドッキリするが、まだ、ぱらつく程度なので行くことにする。

1ピン目、長めにスリングを出して取る。2ピン目もハーケンなのでスリング。ここもクライミングは、そう難しくないが、足場が小さく、露出感がある。 3ピン目、早くもハングの下に来た。

私自身は直上したいと思うのだが、ハーケンの連打が右側に見える・・・。そっちに行くと、トラバースなので、屈曲してしまうなぁ~と思いつつ・・・、トラバース。これは記録に引っ張られた感じだ。

トラバースは振られると思うので、怖いが、仕方ない。足場がスメアしかできず、スタンスに乗ることはできないので、カチホールドにぶら下がる。このカチはフレークだったので、ホールドに使う前に、叩いて確認し、次のスタンスも蹴って確認した。この全体重を預けた状態で、欠けたら、えらいこっちゃ!

直上のほうがクライミングは易しそうに感じたんだけどなぁ・・・。でも、沢などでは、怖いと直上したくなり、行き詰まって落ちるというのがパターンだしなぁ。支点を優先するのが賢いか。ただ後で、上からみたら、こっちにもハーケンがあった。でも下からは見えないもんなぁ。

トラバースしたら、カンテに支点が。しかし、ヌンチャクで取ったら、岩角なので、ロープが屈曲して、次のクライミングで全然ロープがでない・・・。下から、「そこは伸ばさないと取れないよ」の声。

うーん・・・今クライムダウンは正直つらい。ので、すこしロープを手繰り、上のハーケンで支点を取ってから、折り返してごぼうにして、少しクライムダウンし、ランニング支点を伸ばす・・・。流れが良くなった。

さらに上が核心部で、ハングの乗越し。普通のロケーションにあれば、なんてことのないハングの乗越だが、ロケーションが怖い。せーの!でマントリングになる。ザックの重み分の負担付で大丈夫だろうか?確信がもてない。

・・・ので、さらにすこし右に避け、トラバース気味に乗越した。こちらは、せーの!がない代わり、スタンスが小さく、ぶら下げたカムなどが邪魔になり、苦労した。

ここは落ちたら、ヤバいと思うが、不必要な力が入ることなく、体の動きは悪くなく、あまり落ちる気はしなかった。 いや~、烏帽子岩左岩稜や数々のフリーのゲレンデ、行っていてよかったなー。

ただザックやギアが邪魔で、フリーはいいなぁと改めてアルパインの不自由さを思った。今度はザックを背負って登る練習しておこう。

すぐ上の小テラスは足場がよく、ロープの流れも、これ以上延ばすと悪いので、ピッチを切りたかったが、あいにくリングボルト1個しかなかった。

1P目核心部 

■ ビレイポイント構築

とりあえずカムでメインロープのセルフを取る。これはカムというより、ナッツみたいなセットになった。1点では不安なので、2点目もカムで取り、クローブヒッチ。2点目の収まりがイマイチだ。

スリングのセルフを冗長として、リングボルトに取った。このリングボルトが、低い位置に打ってあり、位置関係的に流動分散が作りづらい・・・。

ので、一番位置関係が良い、2つめのカムにセカンドの支点を作る。が、2点目は収まりが悪かったので、念のため、もう一つ薄い縦のクラックに、小型カムを入れた。これはバチ効きだった。

この3点で固定し、リングボルトの方はバックアップで4点とした。

後でセカンドの先輩に見てもらったが、「このカムは効いてない。ダメ」。2つめのカムは、もっと上に取った方が良かったようだ。

後で冷静になって考えると、リングボルトを除き、カム3点をスリングで連結し、固定分散を作れば良かったと思った。

メインロープの連結で済ませてしまった。

■ 2P目

さて、ロープアップし、セカンドに上がってきてもらう。次も行きたいが、考えてみたら、来てもらっているのに、一回もリードさせなかったら、悪いよなぁ。

「1ピン目はすぐ取ろうね~」と目の前のハングに次のカムを噛ませ、相方がスタート。出だしはまた乗越しだ。

しかし、どんどんロープがでるなぁ・・・。次のピッチはずいぶんロープが出た。最後5mのところで、「あと5mだよ~」と声を上げるが、返事なし。2m。心配だ~。「あと2m!!!」返事なし。変な所でロープが足りなくてフォール、ってならないよなぁ・・・、と心配し始めた頃、ロープが止まった。60mのロープがあと1.5mくらいしか残らなかった。

上がってみると、これは、超快適な岩尾根だった。うーん、これは、快適な、いいピッチだ。難しくなく、単純に楽しい。

が、上がってみると、もうすぐ眼前にそこに縦走路が見えており、ハイカーがお弁当を広げている姿が見えた・・・。なんだか、もうすぐ終わり感があるぞ。

支点もハーケンときどきカムで楽そうだ。歩けるピッチで、左右に切れた岩稜。

いいピッチだなぁ。さっきのドキドキ感はないなぁ。

■ 3P目

ビレイポイントに到着。支点は岩角だったので、とりあえずセルフとるが、すぐに、選手交代して、登り始める。登り初めに、しっかり1ピン目のランニングを取るべきだが、易しく、あまり必要を感じないでいたが、3mほどすぐ上にハーケンがあったので、ラッキーと1ピン目を取る。易しい箇所だったのだ。

さらに岩のとんがりを越えると、すぐに立派なペツルが並んで二つ。え?!終了点?

2ピッチ目をだいぶ伸ばしてくれたおかげで、きっと3p目は半分先取りって感じなのかなぁ。さっき、岩角に懸垂支点みたいな古いスリングがあったしなぁ。

というわけで、3P目はほとんど歩きだった。なんだ~ということで、あっけなく終了。

ベテランに良いピッチを登ってもらえて良かった☆
あれ?あそこにハイカーが。もう終わり?

■ 山は実力順

終了点は広場になっている。テント泊したら良さそうなロケーション。

一般登山者の人たちが不用意に「こっちに下山道あるんですか?」などと言って入ってくる。地図を見ていたら、そんなこと言わないはずだと思うんだが、人=道、と思っているのだろうと分かる。

一般生活における日本人大衆の考え方というのは、「他の人と同じことをする=安全」であるから、どうしても、山でも同じ考え方をして、誰かがいると、そこに行ってしまうのだ。

同じように日本社会で普通に受け入れられ、真実を反映していない考え方として、悪平等というのもあり、「その人がしているなら、自分もして良いに決まっている」と他人を見て思うのが日本人。

私がそこに居たら、登山者のおじさんは、俺だって行って良いはずだと思ってしまう。つまり、皆、結果が同じになるはずだ、という前提がある。しかも、暗黙の序列があり、無条件で、女が下で男が上になっている。

山では、上記ふたつの日本人の”常識”は、まったく正反対で、赤信号みんなで渡れば・・・?みんなで遭難。これはトムラウシなどでも証明されている。津波も同じだ。

”あれくらい俺でもできるさ” → ”いや、体重の重いメタボおじさんにこそ、つらいでしょう”と、結果は残酷だ。

逆に言えば、一般生活で、あまり実力どおりの結果を得ていない人からすると、山は実力通りの結果を出すので、山はたのしいなーとなるような気がする。

おそらく、山が楽しくない人というのは、山でシビアに自分が単独で行けるところ=自分の実力、であることに、いら立ちを感じるのではないだろうか・・・。余計な憶測だが。

そんなことを思うのは、山でふんぞり返っているオジサン連中が、いつも下界の地位を持ちだすからだ。社長だの部長だの言っても、山ではただの歩けないメタボおじさん。自分の体重の3分の2しか体重がない小柄な女性に、自分の酒を背負ってもらわないと、山で酒を飲むことすらできない。

そんなことを思わずにはいられないような、いい加減系の登山者が一杯の日だったので、山頂はいいかな・・・と一瞬よぎるが、同行者は、乾徳山が初めて、ということだったので、山頂へ向かう。

■ 山頂へ

乾徳山の山頂は、終了点から5分もかからないところにある。山頂直下は鎖場で鎖がでているが、クライマーなら鎖はイラナイで登り降りしてしまえる。

一般登山者の若い男性が、完全ぶら下がりで鎖にぶら下がって鎖を手繰り寄せていたので、終わってから取り付く。デシマルを付けるとしたら、5.6とか、5.7とかかなぁ・・・。

山頂は祠があって、お賽銭が置いてあったが中国人の人たちはお賽銭を持って帰ってしまうのだそうだった。

二人で記念写真を撮った。

山頂からは、黒金山へ続く稜線、牛首のタルなどが見える。ずっと稜線を行けば、奥秩父の主稜線に合流する。

乾徳山は主脈からは離れているので、あまり知られていない。西側を見ると、大蔵経寺山の長いラインと奥に、我が家へ続く、昇仙峡付近の無名のピークの連なりが見える。末端は岬になっていて、愛宕山で終るので、ずーっと頑張れば、愛宕山の麓の我が家からも、徒歩で奥秩父へ到達することができる。

我が家のあたりは武田神社があるが、その奥からは山で、背後に山を配し、脇に小川が流れる位置関係は、風水的にとても良いのだそうだ。

武田神社のさらに奥には、金桜神社があるが、そこを起点にして、昔は金峰山方面に9つの登路あったそうで、大体6日程度かかったそうだから、我が家から徒歩で奥秩父に行くと、6日程度、低山の藪尾根を歩くことになるのだろう・・・そそられないなぁ。

■ 下山

今回は、ベテランと二人で行ってもよかったのだが、夫はまだ乾徳山を知らなかったし、安全管理上も余分な体力があと一人分あっても良かったので、夫を伴った。夫はハイキングなので、待ち合わせは高原ヒュッテとした。

高原ヒュッテでは、電波が入らないらしく、メッセージが入れてあったが、私のスマホでは全然電波が入っていた。夫には電話をしたが、彼は山ではなくても電話を取らないタイプなので、期待していない。しかし、こういうときはいつも連絡が必ず取れるという習慣がないと不安だし、サポートにもならない。

扇平まで二人で降り、ザックはデポして、高原ヒュッテまで、一走りで10分。一登りで20分。合計30分で合流した。同行者には休憩してもらった。電話が使える状態だったら、もっと良かったのだが、まあ、仕方のない時間の支出。

あとは、登りにも使った道をピストンで大平牧場まで。それほど苦も無く降りる。降りて車に乗った途端に雨が降り始めた。

■ 山の締め

帰りは、この辺では唯一の源泉かけ流しのはやぶさ温泉(600円)へ。ちょっと混んでいた。17時前には、すっかりのんびりしていた。

さらに、お食事をして締めた。プチとはいえ、本チャンをして、ギアの入った重いザックを背負った人、二人がラーメン(670円)で、標高差700m分のハイキングしかしていない夫がとんかつ定食(笑)。

何を食べても良いのだけれど、運動量とも、貢献量とも、カロリーは比例していない。

ラーメンで締め 汗をかいた後は塩味の汁気がほしくなります

■ 夫との意識の温度差

夫からは、2時間高原ヒュッテで待つことに文句を言われたが、待つというのは、あらかじめ言ってあり、本でも持って行って、と促していた。計画書も送付していた。

私なら、自然の中でのんびり昼寝でもしながら、2時間過ごすのは苦痛ではない。建物があるくらいなら余計そうだ。むしろ外にいたいので、テント、テントが重いならツエルトでも張って、寝転んでのんびりしたい。寝転んで本でも読んで、暇をつぶすことは家でも、いつもやっていることで、なにも文句はない。

山の師匠を得た頃、強調されたのは、

 自分が何をしてもらえるか?ではなく、パーティに何を貢献できるか?

を考えることだった。

体力がゆとりがあるなら担ぎ、時間にゆとりがあるなら、作業を先に済ませておく。相方のセルフが外れていたら、かける。安環は相手の分もチェックする。懸垂のトップにはロープを弛ませてあげる。メンバーの一人に負担が偏らないようにする。

そういう発想で山岳会も選んだし、私の行動を決めるのは、相手に何がしてやれるか?だ。

今回も、大平牧場の乾徳山は標高差700mしかなく、運動不足で体力低下が気になる夫にも、同行のメリットがある、として同行をお願いした。そうでもしなければ、ソフトウェアエンジニアの夫は、365日運動しないからだ。山中の道案内も私で、トップは、初めてこの山にきたベテランが歩いてくれた。

■ 6年の待ち時間

実は、ここ山梨にいること自体が、私にとっては、6年間もの”待ち時間”、”一時停止”だ。

私の職業上のキャリアは夫の転勤によって断絶され、山梨での時間自体が、いわば、することがない、”待ち時間”だ。

その持てあます時間、夫を待っている時間を少しでも有意義に過ごしたいということで、始めたのが山だ。

山梨では山がとても良い。山が嵩じて3年で、アルパインへ進み、クライミングへ進んだ。

山ヤの皆にとって、お金を掛けてでも、やりたいのが山とするなら、私の場合は、「他にやることもないし・・・」ということでやっているのが山だ。恵まれていて、すみません。

■ 自信

仕方なしにやっているから・・・と言って、手抜きなことはしない。それはモットーだ。

行動原則は、生き方となるから。

だから、1年間の講習を受けたし、読図はゼロから出直して、独学でマスターした。

他にすることもないからやっているとはいえ、結果として、ゼロから6年目で、ここまで来れたことには、誰が何と言おうと動かぬ自負を持っている。

このタイプの自負は、努力の質と量に根拠があり、自分で自分を認めることができる、正当な自負だと思う。資格や地位、パートナーの後光をかざしているのではない。だれかにやらされたのでもない。

私のヨガの仕事のほうでは、ラジオの出演をしているが、それに自負を持つか?持たない。単なる運だからだ。選ばれるのは実力ではないので、華やかではあるが、いくら選ばれても、自信には、つながらない。だから、会社でも部長や課長など地位を与えられるのは、ご褒美とはなるが、自信にはならない。

仮にこれが、他にすることもないからと、コンビニのバイトでもしていて、同じ精神的果実を得れただろうか?単純に不幸になってしまっただろうと思う。だから、6年の待ち時間の過ごし方としては、有意義だと思う。

私にとっては、今回はとても意味がある山行だった。

なぜなら、これは師匠が私にくれようとしたプレゼントがやっと私の手に回帰してきた山だからだ。

しかも、連れて行ってもらうセカンドではなく、自分で企画し、自分でロープ構成を考え、自分でメンバーをお願いした。私の手による、私のための、わたしが作り上げた山。

この3年間の努力を積み重ねた結果、成立した山なのだ。小さいが、確実に。

そこのところが夫には全く伝わっておらず、まるで、連れてこられて迷惑とでも言うような態度しか夫は示すことができないのが残念だった。

同行してくれた先輩は、上記のような事情が分かって、ひと肌脱いでくれた人だ。

■ ケーキでお祝い♪

帰りは、シャトレーゼに立ち寄り、ケーキを買った。この日は父の日のようだった。

私にはバイオロジカルな父は、4歳くらいから会っていないから、見も知らないオジサンでしかないが、人生では、たくさんの父を持った。同様に、山でも多くの先輩がいる。とても幸せなことだ。

小中と学校でも父親代わりとなってくれた恩師がいたし、最初の職場、ロボットの開発部でも師匠がいた。英語ではメンターと言えば、良いだろう。

師匠は技術を伝授し、弟子の方は、師匠がやりたくもない大量のコード生成を受け持つ、という、持ちつ持たれつの関係ではあるが、互いに利益がある関係だった。それは仕事では、最終的には、社外まで伸びた。最後の会社を辞めてからは、客先だったアメリゴが、しばらくメンターとなってくれたものだ。

いつも、年長の実力者にはメンターになってもらう。たまたまではあるが、父娘くらいの年齢差のことが多い。

今日はシャトレーゼのケーキでお祝いだ。父の日のケーキが大きかったが、生クリームのショートケーキにした。夫はいつもチョコケーキ。

シャトレーゼからの帰り、自宅まで残りの10分は、ガス欠になってきたので、夫に運転をお願いした。

でも、帰ったら、いつも私には作業があって、夫はゴロンとするだけ。結局、自分で夫と二人分のコーヒーを淹れて、ケーキセットで祝杯を挙げた。

いつも自分で自分にご褒美を出す。まぁそれが私らしい生き方だ。高校時代に2年バイトして苦労してオール自腹で獲得した進学も、渡米やその結果のTOEICの高得点も、それがもたらした就職先も、17年毎月返済した奨学金の全返済も静かな勝利であり、誰とも分かち合うことがなく、その時が訪れた。

今回は、それを理解してくれる人が、少なくとも一人はいたから、同行者を得ることができたわけだ。

とても充実した二日間だった。


■ 参考サイト

老舗緑山岳会の記録 緑でも行動時間そう変わらない。
山の彼方に 取り付きが分かりやすい 
ぶなの会の記録  ぶななのに、これくらいで長いと言っている・・・(汗)
山と兎
無名山塾 私の感触より難しく書いてある
凄そうな方の記録 

こういう記録は山が分かっている人が書いてくれると助かりますが、分かっている人が会所属者とは限らない昨今の事情を反映しています。良き記録を選ぶのも選択眼の一つかもしれません。

初めて行った時の乾徳山 ロープワークを教わった。ムンターでカラビナ懸垂できるようになった

2016/06/19

連れて行ってもらうはずだったルートに自前で

■ 連れて行ってもらうはずだったルートに自前で♪

今週末は、山の先輩に ”良い先輩はケツを歩いてくれる先輩だ” を地でやってもらいました。

乾徳山旗立岩中央稜です。3P、Ⅳ級+、Ⅲ級、Ⅱ級。

ここは新人のアルパインデビューに良いような、アクセスがよく、アプローチも短く、ピッチ数も3Pのルートですが、一緒に行ってくれる人がいない状態でした。

前の山岳会では入会直後に、ここへ行きたいと申し出ていましたが、先輩の返事は、「支点がしっかりしているフリークライミングのルートにしてください」というもの・・・

アルパインの基本技術である、天候判断、装備の検討、ルートファインディングなどを、どんなに幼稚で、易しい段階からでも、身に着けさせようと考える、昔流の育て方を志向する師匠とは、会の先輩の考え方は乖離がありそうでした・・・。師匠は、登攀技術以前に、山を見る目を重視するということでした。

そして、師匠は易しくてもリードを重視する人でした。アイスでも初年度からリードでした。リードする気がない人には山の技術は教えないと態度をはっきりさせていました。私もその考えに賛成です。

一方、会は危ないことはさせない、ということで3年目でもトップロープだけですし、ビレイなんていつになったらマスターするのと言うような状態でした。一般的に人工壁通いをする人なら1週間でマスターする内容が数年目の人にもマスターできないので、当然の帰結としてアルパインのルートにも行けない、という状態でした。

まぁそれは、教えていない(教える時間が限られている)ので、落ちないルートしか行けない(行かない)。 このことについては現状を考えると、仕方ないなぁと理解はしたのですが、理想的な姿からは程遠いということは確実に言えることでした。ビレイができないと岩には連れて行かないと言わないから、落ちれないビレイしかできるようにならないという道理だったのです。

今回は、アルパイン初年度で、連れて行ってもらうはずだったルートに自前で行くことができるようになり、それはとてもうれしいことでした。

ケツを歩いてくれた先輩には大変感謝です☆

■ 師匠の直伝

来てくれた方は、かなり遠方からだったので、日帰りはもったいないな~ということで、1泊二日として、前日はゲレンデにしました。

ゲレンデは、どこが良いかな~と悩みましたが、せっかくなので、行ったことがない場所が良いだろうと、十二ヶ岳の岩場へお連れしました。ここは百岩場に紹介されていないので、連れて行かれないと分かりづらいからです。

土曜のほうがお天気の予報がよかったので、どちらを先にするか、悩みましたが、前日がゲレンデ、翌日が本番と言うゲレンデ→本番という正当派の流れにしました。これは、師匠の直伝です。

例えば、アイスルートに行く前には、アイスゲレンデを組み合わせ、一泊二日にします。

十二ヶ岳の岩場と乾徳山旗立岩という組み合わせは、師匠鈴木と過ごした、アルパイン初心者の日々を思い起こさせました。あのころは本当にありがとうございました。今、私があるのは、師匠鈴木のおかげです。

不思議なことに、初日の岩場に鈴木さんのお弟子さんがひょここり現れ「あれ!?」と久しぶりの再会。二人ともまったくのゼロの時点で出会い、スタートがほぼ同じ時期です。彼とはルートも師匠をまじえて行ったことがあり、二人とも三年目ですが、彼の方は、アルパイン志向の師匠の会に属して、師匠や一緒にクライミング練習する先輩や同期の仲間に恵まれた会環境で、順調に成長しました。

私は、と言えば、「〇〇さんはもう××ができる・・・」と師匠が話す内容を羨ましく聞いても、相手がいないのですから、与えられない環境に指をくわえるばかり。

一緒に岩に行く、信頼できる相手に恵まれず、クライミング経験を積みたい初心者の時期に、思うように経験値を積むことができずに、フラストレーションを貯めました。

「一緒に行く人がいないと文句を言って行動しないのではなく、会内で仲間を育てるべきだ」という師匠に意見に、「そうだな」と思い、会のメンバーを人工壁での練習に誘ったり、勉強会に誘ったりしましたが、やはり最初からモチベーションが違う人たちは、ダメでした。

善意のつもりでも、ビレイで私を引っ張り落としそうにしたり、ルートでもロープを指定しても持ってこないなど、何が分かっていないか分かっていない状態にあり、無知のために信頼することができないだけでなく、むしろお荷物状態でした。私の方がフォローに回らなくてはならなかったのです。私自身がまだ初心者なのに、ガイド並みに案内したり、安全管理しないといけなかったのです。トップロープを張ってあげる立場です。

まぁ、でも他会の友人によると、師匠の会のような状況が特別良い事例で、私のような状況のほうが、むしろ普通のようでした。特にアルパインに特化していない会では、”トンデモは当たり前”のようでした。

同行者を得ることには、苦労して登ってきたので、もし師匠の会の新人だったら、これくらいの時期には、ここへ連れて行ってもらうだろうというようなルートへは、思うように行けないでいました・・・。

この乾徳山旗立岩も、初心者当時に「おススメしますよ」と師匠から薦められてはいたものの、先輩たちも、このルートを登ったことがなく、提案しても、前述のように、考え方の違いから却下され、という状態・・・。

先輩も連れて行ってくれないし、つるべで行く相手もおらず、行くと返事してくれる相手はルート名を出しても、知らない。つまり、行きたいのかどうかも分からない。

もちろん、会の先輩は、そういうことも理解してくれ、前穂北尾根に連れて行ってくれたので、先輩たちは先輩たちなりに頑張って連れて行ってくれたわけで、感謝しています。

でも前穂北尾根に行った時、ロープ径が11mmだったことには驚きました・・・。確保器に入りません。11mmを使う人なんてイマドキいませんから、アルパインから離れて長いのだろうと分かります。そんな中、新人が行きたい!というから、頑張って行ってくれたんだろうなぁ~。そうかぁ・・・。先輩たちにとっては、とても大変なことだったのです、たぶん。

11mmがちょっと昔のロープだったことも新人は分からなかったので、”なんで私の軽量シングルではだめなのかしら・・・”と当時は思うばかりでした。

それにしても、山梨には、前穂北尾根でなくても、近場でこんなにアルパインの基本を楽しく学べる良き場所があったのねぇ・・・。

この岩場をもっと活用していれば、先輩も負担少なく、新人にアルパインって何がどういうことなのか?というところを伝えることができたでしょう。

新人のペアで連れて来れば、「もう分かったでしょ、あとは二人で勝手に成長してね」という路線も可能になったことでしょう・・・。情報はあったのに、もったいないことでした。

しかも、このルート、別の会で、話をしたら、話をした人が聞いて行ってしまったんですよね。

新人育成のノウハウ・・・それはある意味、昨今は得難いモノと思いますが・・・・は、師匠が思った相手・・・おそらくは私の会の先輩たち・・・へは、伝わらず、外野の耳敏い人に次ぐに伝わってしまった・・・。

このことは、私からしてみると、あたかも、私へ贈られたプレゼントが、私の手をするりと抜けて、誰か他の人へ渡ってしまったような、寂しい気持ちを起こさせるものでした・・・。

”ええ~?!師匠は、私のために”良いよ”と薦めてくれたルートなのに・・・”ということです。

でも、3年、機会の成立を待った甲斐がありました。

3Pと短いルートではありましたが、1P目のⅣ級+の核心部と3P目をリードし、初見でつるべで行くことができました。

初見&つるべ

っていうのが大事な点です。

核心部1P目 ハング下をリード中



2016/06/17

心配が遠ざけた甲府幕岩

■ 心配が遠ざけた甲府幕岩

最近、甲府幕岩に行った。甲府幕岩・・・ ある山の先輩がずいぶん前に、「被っていて初心者向きでない」なんて言っていた岩場だ。 先日は初めて行ったのに、2本もオンサイトがあった。初めて行った岩場でオンサイトしたこと自体が初めてだ。

なんで、あの時、彼はそんなことを言って、私を岩から遠ざけようとしたのかなぁ・・・。岩へは行かさないようにするのに、ジャミングとか自慢げに見せてくれたしなぁ・・・。

よく心臓の悪い長女の話をする人だった。娘さんはもう大人なのだが、手放すのが心配なのだろうという親心が読めた・・・。いつも心配していた。

まぁ私にもそんな感じだったんですかね・・・。娘というには、だいぶとうが立っていますが(^^;)

山岳会を選ぶとき・・・「〇〇会は子供じみている、〇△会は高齢化・・・」全部の会にダメだしして、そんなんじゃ、行くとこないじゃーん、な感じだったしな~。 

どこにも属せなければ何もできないだろう、ということだったのかもしれないが・・・どっこい。

私はresourcefulな人だったのだ。開拓営業向きかもしれない。不思議なご縁を自力で切り開いてしまった・・・。自分でも不思議だ。

”登りたい人はどこにいても、自分でパートナーを見つけ出してきて、登るんだよ~”なんて、知り合いが言う。・・・ということは?

築きあげた環境からすると ”登りたい人”なんだろうな~。ああ、苦労した。

■ 幼稚なクライマー

知り合いで女性パートナーを独占して他の人とは登らせない人がいる。

たぶん、それも心配がそうさせるんだろな~。

若い男子の安全管理についての認識は、かなり甘い。

以前、雪の山で、大きな雪割れがあった。そこで頭が空っぽの、ただのっぽなだけの新人君が私に向かって言うには、「ジャンプ!」だと! もちろん迂回しました。

山でデッドはない。 しかも、自分で自分が勝手にジャンプするなら、文句はない。人に強要してはいけない。

そういう浅はかな考えに付き合わされて、足を折っても、「山は自己責任」であるのだから、こういうことを人に強要して平気な人からは離れているに限る・・・

スタンディングアックスビレイをしてもらったら、追いついたら両手を離しており、スマホ中だった・・・(汗)。

ビレイは超だらりんで、しかも指摘しても聞かない。聞かないのは、私に嫌われるためだと分かっていた。彼は嫉妬をしていたのだ。

合宿、何しろ、私の名前のほうが上に書いてあった。そりゃそうだな。勉強量が違う。

そもそも、クライミング練習にさそったら、新人の私にトップロープ張ってくださーいと恥ずかしげもなく、頼んできた人だった・・・

・・・結局は、無知ということで、こういう人は、クライミングの本を読んだりしたりも、おそらくしない。知らないのを恥ずかしいとも思わない。

・・・がカッコいいという側面だけは理解しているので、カッコいい部分だけはやりたいわけなので・・・ 

結果としては安全管理不在になる。自分に対しての責任感がないから、他の人に対してもあるわけがない。

こういう若い人は多い。格好の良さが先行している人だ。大体登りたいだけでビレイスキルがお留守だ。

そう言う人も、経験を積んで、ロープをまたいで落ちたり、1ピン目を取る前に落ちたり、手繰り落ちしてグランドスレスレになったり、経験から学んで行くのだろう・・・

そういう風にしか学べない人もいるだろう。

死なない程度のヒヤリハットが一番勉強になるのは、なにも、危険認知ゼロの人には限らない。

けれども、そういう人と組むことになると、困るのは組んだクライマーの方だ。

・・・という”非常に危険な”立場に、私が陥るのを嫌気してくれたんだろうな~と、回想中。

大丈夫です、一流クライマーを選んで一緒に登っています☆

実力差がありすぎると

■ すっきりしない日々

ここ数日、気分の切り替えがうまく行かないというか、すっきりしない気分の日々を送っていた・・・

頑張りたいのに頑張れない感じと言うか・・・ 。

しばらく前に、アルパインのルートに行ったら、とっても楽しかったので、私としては、これまでの努力が報われたような、超・ご褒美感があった。

が問題が・・・ 相方には、それは”ご褒美”ではなく、”ちゃっちゃと片づけちゃいたい”感であることだった。

実力差がありすぎる相方と組むのも、難しいモノなんだなぁ・・・と学習中。

私には、とっても新鮮で、何度も「すっごい景色ですね!!!」と連呼。でも、相方からは良く考えたら、返答無し・・・何しろ、30回も登っているのだそうで。

■ 小さい喜び

最近、岩では少し上手になった。 それで、喜びを味わっていたら・・・ あっという間に相方は次の課題を用意していて、なぜか触るのは、10dとかになっていた。もう次は11になってしまう・・・(汗)

まぁ c の次は d なんだけど・・・ 大体、2グレードづつ上を触ることになっているみたい・・・

登れて楽しい!!という瞬間って、一瞬なんだな~。

また登れない自分を味わう日々か~  

ということで、しょげてしまったのだった。はぁ・・・

■ 山ヤさんはM
 
こうなってくると、私はそもそも、山をしたいのだろうか?と疑問になってきてしまう・・・

だって、ずーっと、満足って瞬間はないわけなんですよね、この調子で続けると。

前に苦労した箇所がなんとも快適だな~という幸せを噛みしめたいのに・・・

■ 上達すると失うもの

でも、私も相方の気持ちが分かる・・・

というのは、南沢小滝に行った時のことだ・・・ なんと、あの時私は退屈していたんだよな~。

アイスでいく小滝は3年目に過ぎなかったのに。初めての学生らはとても楽しそうで、なんとなく、私は、保護者な感じになっていた。

登ってもいいんだけど、登らなくてもいい感じと言うか・・・ 前にも登ったしなぁというか…

きっと上達すると失うものもあるんだな~ということがうっすらわかってしまった・・・。

まぁリードへ進む頃合いってことなんだろうなぁ。

岩ではそこまで繰り返し登った課題はないかもしれない・・・ 退屈するような課題は今のところない。

ので、何を触っても楽しくて、何をやっても新鮮なんだが・・・一緒に行ってくれる人の方はそうでもないのかもしれない・・・。

山は、ローテーションだな~と感じる。先輩は後輩の面倒を見る。後輩はいつか誰かの先輩になる。

私もいつかどのルートも同じように感じてしまう日が来てしまうのだろうか???

そうだとすると、あんまり早く上達してしまうと、楽しみの日々が少なくなってしまうのではないだろうか???

登れないほうが幸せ、ってのもあるのかもしれない・・・

すぐに登れない方が幸せなのかもしれない・・・

そんなことを考える今日この頃。

■ 気持ちを明るくするには?

でも、今日は、図書館で、マルチピッチのルート集と登山体系を借りてきて、すこし元気が回復した。

また山の本ですか、的な感じは否めないが・・・。

私が一番元気になれる本は、今のところ、登山体系である(笑)。

マイナールートが気になる。

調子のよくない日の対応法

■ 調子のよくないときのことを考えておく

1)簡単な課題をたくさん登る  = 自分は登れるんだ!というイメージを体や頭に焼きつける

2)あとに楽しみになるようなイベントを予定にいれる ビール?

3)クライミングをやめて違うことをする

4)まったく違ったトレーニングをする 何が良いでしょう?

■ 調子が悪いとは ・・・心身の消耗のサイン

1)当初届いていたホールドが届かなくなる → 筋力が低下

2)苦痛を感じる → 同じ部位を酷使(指の皮) (腱に過負荷)

3)ムーブの精度が悪くなってくる → 保持力・集中力が途絶えてきている。

4)クリップがやばい → 保持力が低下している。

5)やばい落ち方をするようになる → いっぱいいっぱい

これらの兆候が「やめ時」を告げるサイン「やめ時サイン」

ということです。 しかし、全く違ったトレーニングってのは、なかなか難しい~。クライマーが好きなことって後他に何があるっけな感じです。

普通の山歩きだったら、特に困難なく歩けてしまうからな~。後は食事の楽しみを追求するとか、焚火とか、お酒とかでしょうか?

夫であれば、確実に温泉だな~。

■ 腕の張り

腕が今もまだ張ってるんですが・・・これ完全になくなるまで登らないというのはないなーと。

そんなことしていたら、1週間丸々登れないです。

ので、やっぱり、クライミングするのかなぁ・・・ 今日は晴れて、とても気持ちが良い日なので、岩に行きたいな~という気分ですが、ぶらりと行くわけにもいかないのが岩。

活動的で生き生きとした毎日のためには、晴れていない日にしっかり準備しておくのが大事だな~と思った今日でした。



2016/06/13

ハプニングのあった小川山

さて、昨日の記録を書いておかなくては・・・。

一日目: 兄岩 ピクニクラ 5.10b
          タジヤン Ⅳ 5.10A
          三日月のピン・クリップ 5.10B

          あまり岩の状態がよくなかった。リードは不許可。
2日目:兄岩 
          もみじ 5.10A TR これは上部で苦戦
          マガジン 5.10A  これは登らず。
          
          ガンバレクマさん 5.10b フェイスで取り付くしまなし
     父岩  小川山ストリート 5.9 Tr
          小川山ストーリー 5.9 Tr

うーん、今回は、課題の性質が徐々にフェイス寄りになってきた。すると、フェイス登りはあまり得意でないらしく、腕が張って今日は大変。

 スラブ → 何かを掴みかけているような?

 フェイス → ガンバレクマさんで、まったくフェイス(保持力)なしと判明。

 クラック → 出てこなかった 残念~

クラックでも、マガジンは、シンハンドで、まったく指が入らないようだった。11代後半を登っているパートナーが、中間部で苦戦中なのを見て、私にはないなと見て思った。マガジンは、ロケーションが緊張を強いる場所にあり、真下はずーっと下まで、空間。露出感あり。

ディエドルなので、ステミングの技が使えるのか?と思ったら、全然そうではなく、ほとんどフェイス的に小さいカチを拾って、登る課題のようだった。登っていないので、相方のムーブを見て理解。

これは私は離陸から無理だろう・・・と思ったので、登らなかった。

初日は、結構いい感じに登れたが、翌日はちょっと調子が悪かった。相方の調子がとても悪く、なんだかいつものようには楽しそうではなかったのが残念・・・

■ハプニング

たまたま朝、講習会の時世話になった講師とバッタリ出くわす。 それで、夜そっちのテントにも顔を出しまーす、ということになったのだが、ちょっとしたハプニングが起こってしまった。

遭難や事故についての話をたしか、していて、相棒が、「結果があるところには、かならず原因がある」・・・と、一般論としてはしごくまともなことを言った。

ただ雰囲気で、その一般論やまともなセリフがひどく残酷に聞こえてしまうようなシーンだったのかもしれない・・・

えっ?と思った時には時すでに遅く、飛び跳ねたポップコーンみたいな勢いで、テーブルの向こう側に座っていたおじさんが相棒に殴り掛かっていた・・・

すぐに周囲の大人(・・・ということは、それ以外は子供か)が止めにかかったが・・・

ビックリした・・・(汗)

不用意な発言だったのかもしれない。でも、それでも今日初めて会った人を殴る理由はないだろう。

というか、今日初めて会った人だから、殴れたのだろう・・・

というわけで、なんとなく後味の悪ーい宴会の終わり。

■ 調子の出ない日

というわけで、相方は翌日はクライミングの調子は出なかった。目の横を殴られていたので、少々痛そうにしていた。

なんだか、気の毒だが、一体どういうことでこうなってしまったんだろうなぁ・・・。はぁ(ため息)。

朝は支度をし
ていると、向こうの会の人が謝りに来てくれたが、来てくれる人は限られた人だったし、肝心の知り合いの先生は来なかったし・・・

どうしたらいいんでしょうねぇ。 傷害事件で訴えることもできるのに・・・ただ、相方は強い奴なので、あまり怪我もせず、動揺もしていないようだった。強い人だ。

それで私も大したことないかなと思ってしまったが、やっぱり、クライミングは調子が出なかったので、なんだかんだと言っても、やっぱりハプニングがあったら、あんまり良いことはない。

もしかしたら、通常のスケジュールを変更して、さっさと温泉にでも入りに行けば良かったのかもしれない。

二人でできる、何か楽しいことをすべきだった。前の晩は、スモークなどをして、おいしい食べ物をたくさん食べて、上機嫌だったのになぁ。

頭の切り替え、何でするか? クライミングをする人はクライミングで頭の切り替えをしたいと思うものかもしれないが・・・クライミング自体が精神力を要するものなので、まぁ気分が乗らないときは、どうするか?というようなことも考えておかなくてはいけないな、と思った機会だった。








2016/06/12

安心感で解凍中

■ 成長?

最近、パートナーからも、「会ったころとは全然違うね」なんて言われて、

 もしかしてクライミング成長期?

と、内心喜んでいた・・・ら、なんだかどうも違うようだった・・・(汗)

単純にマイナスレベルに振れていた針が、ゼロを差しただけみたいだ。

■ 小川山物語

本格的な登山を始めて、まだ半年くらいのときに、先輩が小川山物語に連れて行ってくれた。このとき、私は小川山自体が、まだ2回目などで、ぜんぜん外の岩場になじんでいない頃だった。

なので、完全初心者なのだが、小川山物語は長くて、上まではいけなかったが、ムーブや高度感など、特に何も問題とは感じなかった。上まで行けなかったのは、スタミナ上の問題で、だるくなってしまったのだった。

クライミング3年目に突入の今、小川山物語へ行ったら・・・・前と変わっていなかった・・・(汗)

あれ?成長してないなぁ・・・ 今日は、昨日の夜宴会でお酒を飲みすぎたきらいがあって、パートナーも私も、調子が悪かった・・・のは事実だが、小川山物語、2年前と比べて、スムーズ度が上がっているかと言うと・・・ 上がっていないような?!

あれぇ・・・。

・・・ということは、つまり、初心者で何も分かっていないがために何も怖くなく、したがって体がスムーズに動いていた当時に戻っただけ?! もしかして???

■ ビビり

実は、8mの転落のあと、クライミングにいくのが、どうにも怖くて仕方なくなった。でも、頑張って、ビビり癖を付けると良くないと思って、岩に通った。

確保理論などを勉強したり、実際に遭難事例を知ったり、何より、分かっていない人の危険行為をいくつも見たりして、どんどん、山に行くのが、特にクライミングに行くのが怖くなった。

三つ峠などは最たるもので、初めて師匠に連れられて行った時は、中央カンテ、「何が難しいんです?」って感じだったのだが、2回目からはリードするようになり、リードするようになると、ビレイが信用できないので、怖くなり、しまいには、岩のフリクションも信頼できない感じになった。

三つ峠はとくに他のフリーのルートと比較しても、怖いと感じた。 フリーのルートでは、短い課題を最初の頃は、やりたかったが、実は高度感があっても、高いほうがグランドしないので、安全だ、ということが分かるようになり、ショートも怖くなった。

離陸が核心だったりすると、もう「張り気味でお願いします」(笑)

最初の頃は、全然怖くなかったのに・・・。つまり、どこで落ちたらグランドするか、理解ができるようになり、それで怖くなってしまったのだった。

三つ峠では、落石の危険を分かるようになってしまい、それで、怖さ倍増。

雪稜もスタンディングアックスビレイで両手を離してスマホしているのを見て、怖さ倍増。

アイスのだらりんビレイをみても、怖さ倍増。

とはいえ、クライミングはしないと上達しない。

なので、結局不安を抱えたまま、初心者のビレイに身を任せて登ることになった。

  確実な確保をもとめることや、
  安全管理の抜け目なさ

を期待することは初心者にはムリだろう・・・と、半ばあきらめ、落ちれないビレイヤーだけど、登りたいのだから仕方ない、と受け入れてクライミングしていたような気がする。

この考え方が師匠には気に入ってもらえない一つの理由となったかもしれない。

つまり、クライミングは、落ちれない確保で登ってきたから、クライミングしたいのにしたくないという超矛盾したことになっていたんだろうなぁ・・・。

最近一緒に組んでいる人のことは信用したのか?どうか良く分からないが、リードで落ちたけれど、止めてもらったし、アブナイことはあぶないよ、と言ってくれる人だと信頼しているので、あんまり怖いとは感じなくなった。

昨日は、けっこう体を倒してムーブの体制を作ったりした。今のパートナーになってから、なんだか、緊張が解凍中ってわけだ。

つまり、私はクライミングでは落ちて死ぬかもしれないという怖さで縮こまって、とっても固い動きになっていたんだろうな。

いや~ やっぱりクライミングに必要なのは、

 ・止めてもらえるという安心感

 ・喰われないという安心感

なんだろうな~。

喰うか喰われるか、FightORFlight (戦うか逃げるか)と言われる、そういう緊迫した状態にいて、本当にリラックスとは無縁に登っていたんだなぁ・・・。

やっぱりビレイが確実な人と組むのが一番ですね。