昨日は、セラピー道場を開催されているH田さんに呼ばれて、登山ガイド活動をしていた。
クライアントは、フランス人女性。ジュリエットちゃん。日本に来てWwooferで活動しているそうだ。
(知らない人のために説明すると、Wwooferは、有機農法を学ぶために労働と食・住を交換する仕組みとしてスタートした活動だが、転じて、なんらかの短時間の労働をすると、食・住が交換できる仕組みとして、若い外国人が日本を無銭旅行する仕組みになっている。ちなみに海外放浪してきた、という日本人も多くが同じ方式でやってきた人が多い。Wwooferでなくても海外では、掃除することで無料になるバックパッカー宿は多い)
■ 日本のきめの細やかな自然に感動する外国人
ジュリエットは、南フランスの出身だったけど…日本の自然のほうが素敵だと思うそうだった。
私の目には、ただの荒れた放置林で大感動し、崩落秒読みの林道で写真を撮りまくっていた(笑)。
そこで、日本は、戦後、大量に植林したが手入れがされず、50年生になっても、線香林で、間伐が必要だが、高齢化で出来ないことなどを伝える。すると、50年経過した立派な杉と間伐が必要な貧弱な杉の違いが分かるようになったみたいだった。
林道も崩落がすごい。この林道の作りが自然崩壊になっている現状を解説したら、のり面の怖さも分かったみたいだ…雨の日に、なぜ山の中に来てはいけないのか?ということも。
教育は大事ですね。
のり面が2m以上の高さがある林道は、土砂滑りの危険がある…ということ。
その下に家がある、なんて、日本の田舎では日常茶飯事ですけどね…
とはいえ、林道には、食べれる山野草もいろいろ出ているので、あれこれ紹介。食べてはいけないマムシグサなど、やっぱり目につく草に目がいくものだ。
ナルコユリが出ていたが、とっさに名前が思い出せず…帰ってから思い出した。
■ 彼女の核心は、宗教でした
気楽に山の話をしながら、なぜ日本に来たのか?などいろいろな話をしてみて、何が核心なのか?いろいろコーチとして探ってみた…
結局、彼女の悩みの核心は、宗教でした。
なんと、アルジェリアのムスリムの母とフランスカトリックの父の間に生まれた方でした。おフランスは民族問題複雑。
どっちも、一神教ですよね…と水を向けると、そこで葛藤している姿がうかがえました。
具体的には、現代女性としての先進的な生き方と保守的な生き方のどちらを取るか?みたいな葛藤があるそうでした。
そこで、そこからは、日本のマルチプルな自然崇拝の実践、に切り替えました。
未開の道を歩くには、自然界からの強力な支援が必要だと思うからです。よって立つのは本人の心ですが、そのサポートは自然界とのつながりで得ることができます。
どこまで、彼女が自然界の声を聞ける人になったか?は未知数ですが…手法としては、
1)山ヤ歩きを教える (早い歩きが良いわけではないことを伝える)
2)音を立てないで歩く猫足を伝える ちなみに、猫足はクライミングの基本です。
3)できるだけ休憩を取って、その場を感じること伝える
4)山の音に耳を澄ますことを伝える
5)ガイド任せではなく、自分の好きなところで休憩を取ってもらう
6)良い質問をする (例:あなたは日本の人に自分をどんな人として覚えてもらいたいですか? あなたをアルジェリア系フランス人として規定するものはどんな資質ですか?)
でした。
特に効果があったのは、2)の猫足。歩きが丁寧になり、音にも気が配れ、山の息吹が拾えるためには、必ず実践したほうが良いスキルだと思いました。
だいたい、山で自己顕示欲なおじさんたちって、ドスン、ドスンって感じか、クマもいない九州でクマ鈴付けているか、ですよねぇ…(苦言)
彼女自身は、2)でトランスに入ったと思います。口数が少なくなったことで伺えました。
6)の質問ですが、
・学びにどん欲な人だと思ってもらいたい (まだ与える側ではなく、もらいたい側の人みたいだなぁと個人的感想では思いました)
・アルジェリア人のジェネラスな資質と南フランス人のジョーク好きな陽気さ
だそうでした。今の彼女は、倹約旅行のケチケチ路線&クラーい顔でしたが、そのことは黙っておきました(笑)。若いときって迷いますよね。
ワタシから、山道を歩きながら彼女に与えた示唆は、
If you don't know where you going, any road will get you there.
です。トレイルを外して歩く、ということができていない姿からも、ちょっとうかがえました。フランス人に限らず、目の前に道があれば、それしか選択肢がないみたいに見えてしまうものです。
■ 山を師匠とする
山から、人生を教わるには、観察眼が必要です。
ジュリエットと岩の上に座って、山の声に耳を傾けていると、私の目に尺取り虫が飛び込んできました。
ははーん。このように進みなさいって意味ね!とピーンと来た私。
尺取り虫は、その名の通り、一歩一歩しか進まないのです。一歩進むごとに周囲を探索して、めちゃ確実な一歩しか出さない。
それでもめっちゃ遠くに行きます。
それで、これが、今21歳で人生をどう生きるか?決めかねているジュリエットにはぴったりだと思ったので、この尺取虫の在り方から、学ぶ、ということを紹介しました。
もちろん、これは事例で、別に他のなにから、学んでもいいのです。
他の事例としては、今回は、アブがありました。一度探索でブーンと来たけど、こちらが慌てず、叩いたりしなければ、刺されもせず、アブは去っていきます。人間がギャーギャー騒ぐと攻撃してきます。蜂も野生動物も同じです。
■ 素敵なおじさんにあった
今回は、鬼が鼻岩で、素敵なおじさんとの出会いもあった。
おじさんはお昼寝をしようとしていました(笑)。
あれ、おじさん、お昼寝するの~?ここ、秘密の場所があるから教えてあげようか?ということで、私のようなクライマーしか知らない秘密のスポットへ案内。
おじさんによると、お昼寝を快適にできる期間は非常に限られていて、今の時期だけで、もうちょっとすると虫が湧いて、快適性はなくなるそうです(笑)。わかるわー。
甲府では、4月でもう夏山でした。背振も、すでにハエたちが主導権争いをスタートさせていました。
おじさんの山の楽しみ方が素敵でした。
■ 西洋文明
最後に、1000年のかつらの巨樹に連れて行きました。
ここ、前にナルシストのアラーキーと一緒に来たときは、神様がお留守になってしまって、びっくりしたのでした。私一人で来たときはいたのに。
ジュリエットちゃんではどうでしょう?
彼女は、かつらの木の生命力そのものよりも、樹齢1000年の情報のほうに心動かされたみたいでした。
どうも、神様もあちゃーと思ったみたいでしたが、まぁ、とりあえず、立ち去られはしないみたいでした。
■ 温泉未遂とフキ
帰りに温泉によってもいいよ、というと、とっても嬉しそうだったのですが…なんと現金をもっておらず、連れて行けなかった…。うーん?1円もお金を持たないというのが、まぁ若さなんですかねぇ?甘えを感じました。持っていなかったら、与えられる一方でいることが可能だからです。
帰りに、林道で、この機会を作ってくれたH田さんにお礼でフキを摘みました。
フキ、いい匂いですよねぇ…。
自分に良くしてくれようとした人に返礼したい、報いたい、そういう心理的な細やかさも、おフランス出身だと難しいようで、ふーんって感じでした(笑)。でも、日本の子供と同じですもんね。
日本人のお土産文化は、相手への気遣い。
帰ったら、H田さんが首を長くして帰りを待っており、私はお土産にパンをもらって帰りました。
私のほうはコーチングして疲れたので、帰りに水辺に寄って、除霊?スピリットを鎮めてから、帰宅しました。全然違います。清らかな水に足を浸してしばらく瞑想して帰ってきただけですが…。
以上が私が今日、セラピストとして行った活動です。解説しないと誰も分かってくれないので解説しました(笑)。