2020/12/29

クライマーのスコトーマ

■指導者のスコトーマ(盲点)

私はクライミングパートナーが、何もかもを分かっている、とは期待していないので、組んだ人とは、互いを理解し合うために登っていると理解していますが…。私はクライミング歴が浅いので、大体組む人は、自分より経験が長い方です。

前提として、盲点は誰にでもある。しかし、一般的には、経験の長さで、盲点は、カバーできる確率が多くなります。一般的には、というのは、ところがそうはならない場合もあります。思考停止している場合ですね。

以下、私が気が付いた(経験の偏り)×(スコトーマ)の存在です。

1)女性と登る経験がないクライマー
女性を男性のミニチュアと思っている

2)若い人と登る経験がないクライマー
これくらい知っていて当然と思っている

3)会で登る経験がないクライマー
助け合いができない

4)能力が高いクライマー
他の人の能力が限界に来ても理解できない

5)年を取ったクライマー
相手を思いやることができない

6)経験が浅いクライマー
考え深さで、経験の浅さをカバーしないといけないのが分からない

7)会でしか登っていないクライマー
自分が自立していないことに気が付いていない

8)男性初心者
年配の人の言うことを聞いていればすべて大丈夫だと思っている

と言う感じかなぁ…。私が相手のスコトーマをカバーできないと感じられる場合は、パートナーシップは断ってきました。

 例: 女性でイケイケの人…

男性クライマーが世の中は多いので、男女の体力差をあまり理解していないなーと思われる場合、その女性は、男性の論理構造の中に自分を当てはめて登っており、絶対怪我をする論理構造の上にいるので、パートナー候補としては断ってきました。私がどんなに良いビレイをしても、本人が怪我や大事故に結びつく因を持っているので、縁が揃えば、事故になってしまうから…。

ヒマラヤキャンプにも参加した30代の女性で、かなりトレーニングを積んだはずの方がいましたが…宝剣で遭難。彼女は、山ヤだったら、誰にも理解できそうな因を持っていました。

アルパインクライマーの谷口ケイさんも大雪山で遭難しています。が、因と縁と言うことを考えると、因に縁が揃ったなぁと思ったのは、前者です。谷口さんは、杉野保さんと同じく、なぜ、こんなところで?ということでした…。むしろ、魔が差した、に近い感じですかね。もちろん、クライミングや登山と言う危険をそもそも含んだ行為をしている人は、すべて因を持っているとは言えるのですが、それを言うなら、人は生まれたら必ず死ぬので、因はそのままなのです。ただ縁を引き寄せそうな人とそうでない人がいます。

登攀やクライミングで死にそうな因がある、というのは、

1)計算されていないリスクを好む傾向がある、
2)プライドなどの非論理的な面で譲れない傾向がある
3)リスクを積み上げることに快楽を覚える傾向がある

と言うことかなぁと思います。ギャンブルと同じで、論理に根差した行動原則を守れば、そこまで危険と言うことはないので。

もちろん、論理は情熱でバックアップされていないといけないのではありますが…。その情熱が論理を凌駕する場合、時にリスクに盲目になってしまうことがある、ということなのかもしれません。

あるいは、傲慢の罪もあるかもしれません。これくらい平気という傲慢さのことです。

多くのケースでは、それは、気のゆるみとか、慢心、と表現されていると思いますが、慢心とはリラックスのことなので、そうそういつでも気を張っていたら、山自体の愉しみを楽しみそこないますし…

緩急のバランスが、どのような活動でも大事かなと思ったりします。