2019/07/12

大阪

■大阪初日

大阪初日は愉快に過ごした。到着したら、なぜかクライミングの師匠が大阪にいて、待ち構えるように昼飲みに連れ出された。本人が行きたいという理由で、梅田のやまと。いつも大行列の店だ。先に並んでおいて!と頼まれる。大阪の名物はもをいただきながら、積もる話を聞かされた。

なんと双子のお孫さんの誕生だったそうだ。それを知っていたら、子どもに役立つようなものをお土産にしたのに。(今回お土産は、高級コーヒー豆)

■ 志賀の岩場

誰もが興味津々の佐久の岩場の感想を聞く。シークレットエリアにJFAの整備が入った先行事例だ。なんと有料の岩場になってしまっていた。驚いた。しかも、入場料1000円…と高い。
外の岩場は無料、に慣れたクライマーに、どれくらい受け入れられていくのだろうか?

今までの開拓クライマーと言うのは、たぶん、みんなで無料で登るために開拓を頑張ってきたのであり、その結果が有料になれば、悲しむかもしれない。

肝心の整備も、2エリアだけでしかも、悪いボルトを間引いて、要所要所を更新したという感じで、一般に想像するような、きっちりした整備ではなく、現状でできる限り安全に近づけた、ということらしかった。しかし、時代の流れだ、という感想だったらしい。有料化にはボルトの質の問題があり、特に終了点は高額だ。終了点は特に重要なボルトだし‥

しかし、開拓される岩場が、そもそもグランドアップではなく、ラッペルの岩場であることを考えれば、トップロープフィックスにして、トップロープソロで登る限り、実はボルトも終了点も必要なく、岩場を痛めることもなく、立木で済んでしまうという実情もある。

実際、私の知り合いの開拓者は、自分でボルトを打っても、使わない。リードしないで登れる岩場だからだ。

こうなると、リードしたい、というのは、自然保護の対立概念 になってしまう。経済性ともだ(笑)。

■ 佐渡の岩場

佐渡の岩場の話を聞く。「これが国際グレードだよ」と整備してくれた国際ガイドの方から、言われて登ってみると、往年のクライマーである師匠にとっては、

「すべてがワングレード易しい!楽しい~!!」

「もうクリップ?」

だそうだった。さもありなん。

体大きめクライマーの本人にとっては、「(開拓者の長身のクライマーに)ここにボルト要るの?」と聞いてしまうくらいだったそうだ。

ところが、開拓者は、「そこはムーブをつなげると、このグレードの人にとっては核心前だから要る」との返事。要するに

核心前にワンボルト、という発想が今まで欠如していた思想なのかもしれない。

■ 2ピン目までが遠い課題

1ピン目ではなくて、”2ピン目”が遠い課題の話をしたら(2ピン目が遠いとプロテクションとして機能しない)、驚いたようだった… いくらボルト節約しても、そんな配置では、ということだ。

プロテクションとして意味のない配置では、岩を傷つけないことを優先してボルト数を削るという発想なら、最初からないほうがまだ主張が首尾一貫している。

なぜなら命を守るというのがボルトの唯一の存在理由だからだ。その役目を果たさない配置では、ただの自然破壊になってしまう。

■ M8はNG

ボルトは昔通用していたM8ではだめだそうだ。M10が最低必要。しかも長くないと。良く落ちる核心前のボルトは、1本に荷重がかかると穴が経年的に大きくなってしまうそうで、最終的には抜けるのだと。ということで核心前のボルトは2個連結がいいのでは?という話が新鮮だった。つまり良く落ちる核心前の1本目が経年劣化で下穴が巨大化して抜けたとしても、次のピンできちんとグランドフォールから守られる配置ということだ。

■ 東アジア最大の氷

東アジア最大の氷の話を聞く。120mと巨大すぎるため、ピンは10mごと。まぁ、上のほうなら、落ちても…、ということだが…。ロングフォールを前提とするため、スクリューは、最大の26cmだけを使うそうだ。

26cmなんてアバラコフ用でしか持っていない…(笑)。

(入れる負担が大きいが確実なスクリューと分厚く固く閉まった氷で登るアイス)
vs 
(入れる負担が小さいが10cmの頼りないスクリューで、落ちたら決して持つまいというプロテクションで、易しく寝たアイスのスラブを決して落ちない登りで登る)

のと、なんか…アイスでも、フリーvsトラッドな図だ。

私はアイスが脆い場合は、数を打てと習ったんだが。

しかし、トラッドのクライマーですら、ロングフォールするかも…という恐怖を感じつつ登るのは、怖かったそうだ。10mランナウトすれば、落ちれば20m。