対談Vol.2 平山ユージ【オンサイトの極意】 再投稿
クライミングのメンタリングって、難しいですよね。
相手の価値観を否定する気はないけど、その価値観で行くと、クライミングの醍醐味は味わえないし、そもそも、フリークライミングっていう原義に反するんですけど!みたいなのとか…。
もう二度と教えてやるかって思いましたとさ!
私は50代に入ったところ、団塊2世なので、こんな偉そ~なしゃべり方の若者がいたら、まぁ、カチンと来ますが、よくユージさんは耐えているなぁと思ったりしました…(笑)。
ジム運営しているから、若者が失礼なのには慣れているんでしょうかね。
現代の若者って、ほんと、贅沢に育っていますね…
■ 新クライミング用語 ウェブザベ
ウェブでオブザベすることらしい…。
で、検索すると、専用サイトがあった…(汗)。
うわ~ 世も末…と思ったが、心の広ーいユージさんは、俺の時は、まだそんなのなかったからね~と言って、心が広い広い…。
ウェブザベしたら、オンサイトにならない。
隣のルートからルートを観察したら、もちろんオンサイトにならない…
ビレイしている手で、クライマーが登っていて、そのロープの出具合から、ルートの様子がさぐれてしまう…
私もアイスで経験がある… ロープの出るスピードが遅くなるので、ああ、難しいんだな…と分かります…
そういうので、どれがオンサイトの程度に含まれるか…という質問ですが、相談者が、自分がやっていることを完全に肯定して、自分が法律になっていることに、ほんとに心の底から驚きました…。学ぶ気ゼロじゃん…
クライミングの伝統と異なる価値観を自分が持ち込んでいるのではないか?という不安は一切ないんですね…。
これが新時代の自己肯定感ってものなのか?だとしたら、これは、世の中は、どんどんエイドクライミング化されていくんじゃないのかなぁ…というのは、人間は安きに流れるものと歴史が証明しているからです。
すごく効きが良いチョークが出ることが全然、問題視されなくなり、ボルダリングでは、ウェブでムーブを見ることが問題視されなくなり、これを広げていけば、リードだろうがマルチだろうが、どのルートでも、今なら、ドローンで登っているところを映せる…
ルートファインディング能力はイラナイってことになりますね。
でも、ルーファイしながら、間違いを内包しつつ、岩や山と対話して、その駆け引きで、勝っていくっていうのがだいご味なのに…それが無くなるんだったら…
一切、コンフォートゾーンから出たことにならない…
リスクを取ることが面白さなのに、そうすることで、クライミング自体は面白さを減じていくだろうと思うので、そうした
ハイテク登り
は、クライマーは自ら首を絞めることになるのだろうけれども、他の人がそれに気が付く前に、うまくやった人はそれだけ楽に、トップクライマーの座に座ることができるわけで…現代の若者がやっている競争はそれですね・・・
”してやったり勝ち”・・・ YouTubeも早くデビューしたもん勝ちでしたもんね…
でも、例えば、アイスクライミングのコンペでは、ヒールフックが禁止なのですが…(そうしないとクライミングが簡単になりすぎるため)…そういう自主規制を入れないと、誰でも8aが登れるという時代は、すぐそこなんだろうなぁと思いました。
5.9が価値あるものだったのが過去のものになったように、5.12が価値あるものだった時代が過去のものになったように… 5.13が陳腐で古ぼけたものになる時代が目前に見えています。
やっぱりベアフットクライミングに回帰するべきなのかもですねぇ…(遠い目)
■ オンサイトのための戦略の立て方
高難度をオンサイトするために、どういう戦略を立てるか?というのは、低グレードを登るクライマーでも、参考になるのではないかと思いました。
湯川のアイスは、15メートルしかないのですが、あれを何往復もすることで、距離を伸ばし持久力戦をしていた時期がありました。それで相沢55mが楽勝になった。
岩も同じで、近所の油山川でも、右から左に全部登ると結構な登攀距離になります。それでマルチの持久力がつく。
今のクライマーって、40年前からの
5.12波状攻撃
から進化していないので、日がな一日ロープにぶら下がって、同じ課題をしつこくやってる。
それで、どうして、ビッグウォールに登れると思うのか?そこが謎でした…。
やっぱりユージさんもそんな登り方は、していないですよ。
私はラッキーで、師匠クラスと登っていたので、戦略は自然に身につきました。今はたくさん、ナインをオンサイトする時期なんですよね。距離を延ばせばそれが11になる。
今までのクライミング動画って、難しいのをトライにトライを重ねてやっと登れました、すごい頑張ったねーって動画しか出ていなかったからなぁ…。
こうした戦略を語るメンタリング動画は貴重だと思います。男子、一緒に登ってもそういうことは非言語に語られるので、学習しません。
米澤さんと登っていたころ、男性クライマーも一緒にいましたが、米澤さんは、岩場の端から端まで順繰りに休まず登る…それを見ても何も学習しなかったですもんね。
■ 心が広い!!
しかし、それにしても、ほんとユージさんって心広いクライマーさんなんですね!
さすが世界のユージ!そこは、吉田さんとはやっぱり違うなって思いました(笑)。