さて続きを書きます。
クライミングで、ひどい目にあったよ!ということなんですが…。
■日本全国Ⅳ級A0
その原因の最大のものが、福岡ではアルパインクライミングが、全国4級Aゼロと菊地敏行さんが称する、冒険も何もないものとなってしまっている点にあるように思われました。結論から言うと。
九州には当然雪山はないので、冒険の方向性が、どんだけ命がけに耐えれるか?みたいな方向性に行ったんではないでしょうかね??
冒険って、知らないところへ行くのは冒険なので、もしかしたら九州で発達すべき冒険性は、洞窟とか地中、とか、そういう方面なのかもしれません。とにかく未知の場所。
未知の場所にロープを伸ばしていいれば、ボルトがあるから大丈夫、みたいな発想はそもそも出てこなくなって、非常に良い結果を生みそうだと思います。
まぁ普通のハイキングの山からステップアップする方向に、魅力的なものがないということになるんですが…それは大阪から西は同じみたいでした。まぁ、あったかいから。
でも、広島とか岡山とか年中あったかくて登れるので、クライマーは強いですよね。それで宮崎では、ボルダリングってことになっているんだと思いますが…。
比叡のオールドクライマーが、小山田大さんを非難する様子を見ると、わたしはどちらかというと、親父の側の世界観が古いままで、むしろ老害となっているのに、儒教的価値観の強い土地で、誰もそれを指摘できないでいるだけのように思えました。
大ランナウト大会の比叡の岩場のようなのは、そういう岩場だと自己認識して取り組めば、若いクライマーにもそれなりに得るものが多い、岩場だと思うのですが、前提となる”そういう岩場だ”という知識が、山岳会を経由しない現代クライマーには与えられないわけで…それじゃ事故になって当然ですよね。
宮崎の岩場と言えば比叡、みたいなことになって、全国から、「ボルトがある♪」という、自分でプロテクションを打つのは今からだが、とりあえずマルチピッチを登りたいみたいな人たちが来ることになるのではないかと思ったりしました。ボルトがあっても、ペツルじゃなくて40年物のカットアンカーなんですよ。
それを公式に認めていれば、よき岩場になると思います。
■三つ峠
本州にある三つ峠は、ボルトですらなく朽ちたハーケンが、あちこちにありましたが、たぶん、あれは取り除くこともできないし、あれば目印にはなるよなっていうので、残してあるのではないかと。
私は三つ峠も通ってあれこれプロテクションをつけ足して最初から登っていたのですが…最初はカムは持っていなかったのでスリングがもっぱら活躍していました。三つ峠は、クライミングシューズではなく、登山靴の岩場でした。
大学山岳部も、山岳地帯のでの岩登りの練習のために、来ていました。大人の初心者も、大学生も、登るのは同じようなところで、ロープワークが時間を食うメインの要素なので登攀スピードも変わらず、体力の差はほとんど出ないのでした(笑)。
つまり、全員がオタオタしているって意味です。
一般に初めての人は過剰にビビらさせられており、私は三つ峠で師匠の鈴木さんをハンギングビレイで確保していたら、相方候補生の女性クライマーに、「よく平気でぶら下がっていられますね」と言われました。
え?ビレイステーションって、パーティ全員の最後の砦、って習ったんですけど…。
その人はトップロープでしか登らないのに、後日沢に一緒に行ったら、プロテクションが取れない、沢のへつりでどんどん先に行っちゃって、えー、あぶないよーって感じでした。降りておいでよーって声を掛けました。
まぁ、このように何が危なくて何が危なくないのか?いまいちすっきりと切り分けられていないのが、初心者クライマーの誰もが通る道かもしれません。私も通ったと思いますし。
ただ師匠の青ちゃんは、クライミングは分かればわかるほど怖くなるっていっていました。そういう、怖くなってきたんだね、クライミングがより分かるようになってきたんだね、みたいな態度が一切かけていたのが九州。
初心者の私の目や私の耳からしても、え?その理解は間違っているのでは?ということがかなり多かったです。
そのような発言が多かった方の一人が、熊本の会のアソボウという会の会長さんだったのですが…大変よくしてくださったので、理解のまずさを指摘するのは心苦しいですが…やっぱり、変だったと思います。
■米子沢と体格
彼に初期のころ米子沢を誘われたんですよね。誘われたというか自慢気に行くことを語られたというか…
米子沢という初心者向けの沢があるのですが…私は山梨にいるときに、山梨山の会の和唐さんに誘ってもらったのですが行きませんでした。というのは、私のリードになりそうな気がしたからです(笑)。
大体の人が、背の低い人でもスラブなら楽しめる、ならどこか?と思っているんだろうと思うのですが、背が低いとスラブも危険ですよ。
スラブでもスタンスが限られることが多くて、実際は、背の高い人よりも、背の低い…というか足の短い人のほうが、ハイステップになってしまい、バランス感覚では高度なものが必要になるんですよねぇ…
相手は良かれと思って、喜ばせようと思って選択してくれているんですが…。背が小さいということは、リーチが短いということだけではなく、一歩の幅が小さいってことなんですよ。
以前、大堂海岸に相方のアラーキーが連れて行ってくれましたが、二人でいろいろエリアを偵察したんですが、アラーキーが飛び石でジャンプで行けるところが、私はジャンプで行けない…ボルダーを一回降りて、そしてよじ登らないといけないんですよ…。
これ私だけではなくて、怖いもの知らずクライマーで知られるバタちゃんこと川端さんも同じだったみたいですよ。もうルートの基部に行くだけで私の場合ボルダリング課題をいくつもこなした後になってしまいます…
そんな具合に、クライミングにおいて、体格が支配するあれやこれやの違いを、大体の男性クライマーは全く理解していないようでした。特に背が高い人。
悪気があるのではなく、全然理解していない。それだけ。
■家族クライマーは安心人材
その点が、家族クライミングを経験している、お父さんクライマーは違います。自分の子ども…男の子であれ、女の子であれ…まだちびっこの間から岩に連れて行って、のぼれるかなぁ~?と子供の安全を注視しつつ登らせているわけですから…。クライミングは自己責任、なんて子供にはありません。クライミングは親の責任。子供がクライミングで怪我でもしたら、させた親の100%責任です。
それで体格が小さい人がどれくらい登れるか?が分かるようになるみたいなんですよ。
山梨では、このことに、佐藤祐介さんと娘さんのさやかちゃんにボルジムであって理解しました。まだ小学生だったと思いますが、「さやかに登ってもらうとお客さんがどれくらいのぼれるか、大体わかるんだ」と言っていました。
私とさやかちゃんは大体同じくらい登れたので、そうだなーと思ったんですよね。ボルダリングの5級です。
というのは、私は新人クライマーの中では筋がいい方で、西湖の岩場という山梨では新人用の訓練の岩場がありますが、2度目からリードで登っていたからです。あそこは登れないで敗退になる人がいます。大体が太っているかいないかが分かれ目のような気がします。
太っていないということが、どれだけ登山からクライミングへの移行にとって重要かって意味です。
太っていないでは合格でしたが…(笑)。(=初めてでも、5.8はリードで来たので。)
身長では失格でしたね…。(=5.9が確実に登れるまで3年かかりました。)
体格で様々な不利があることが、男子は大体わからないですが、このことは古い登山の本や、クライミングの本では
「足がそろっているパーティならば」という書き方をされることが多いです。
婉曲表現すぎて分かりにくいです(笑)。
■食担
私がいた御坂山岳会では、足はそろっていないで、いつも足手まといになる人がいましたが、そういう人はたいていは食事担当をやったりして、みんなに「なら、仕方ないか」と思ってもらうためにやっているかのようでした。
なので、食担がローテーションではなく、固定制度の時は、その人はごまめの可能性が高いです(笑)。
あ、背の低さについての理解が低いという話から少しそれましたが、要するに、体格によって、様々な個性がかみ合うということです。
■熊本は山岳文化県ではない
で、熊本に話を戻すと、もしかすると、熊本では、山岳会の衰退がなおさら激しいのかもしれません。
また、信奉している登山のスタイルも、40年前からアップデートされていないのかもしれません。
というのは、私は熊本では優秀な生徒が行くことになっている熊本高校の出身なのですが…高校時代、私の同級生は、山岳部でしたが、一人だけだったんです。
仲良しの男の子で親友だった。彼は、重たいザックを背負って階段を上ったり下りたりするのが山岳部の活動でした。私は当時、文学部、兼美術部兼、となりの演劇部の大道具のお絵描き担当だったのです‥‥。まさか、年を取ってから本格的な登山に進むとはまさか思いませんよね。
まぁこのような私の世代での山岳部の廃れ具合を考えると、もしかして、熊本県の山やの廃れ具合は福岡を凌駕するもの、だったのかもしれません。
でも、いわゆる古典的なアルパインクライミングや山岳部みたいな山をしないで、日之影町のボルダリングだけでも、九州のオリジナル山岳スタイルとしては良いような気がしますが。
だって、ボルダー全盛期ですよね、ここのところ長らく。
日之影ボルダーは熊本からもアクセスが良く、トポの整備などは熊本のボルジムの方がやっていたと思います。
アソボウで、一緒に登ってくれたMさん、ほんとにありがとうございました。たぶん、私の期待するクライミングのベテランの姿とMさんがいまいちマッチしていなかったのは、現代的なアルパインを身近に感じる環境にないからではと思います。
ホント山梨では、フリーでもアルパインでも、つよつよの一流クライマーがうじゃうじゃいるんで、自然に、本格的なクライマーってこんな感じっていうのが、うかがえるんですよね。
そういう環境がないと、スラブで流して止めてあげるよーみたいなセリフを言わざるを得ないようなクライミング理解になってしまうかもしれません。きっと古い本で勉強したらこうなるんじゃないだろうか?
まぁ、要するに登山の文化的にはへき地だから仕方ないよねっていうのが総合的な結論です。
きっと、クライミング以外でも、ありとあらゆる分野で同じ構造が発生して、地方都市の文化の成熟を妨げているのではないでしょうかね?
地方が地方のままでいるわけというか…
というので、私を恐怖のふちに追いやった九州クライミングですが、まぁ仕方がなかったんだろうなぁと。
私は別にクライミングしなくても、水泳で全くハッピーに過ごせます。
そもそも、クライミング自体が山梨での生活を快適するために始めたものでしたから。