恐怖は指の強さよりも登山者を背負っているが、精神的なトレーニング対身体的なトレーニングに集中している登山者がどれくらいいるか? 現時点で、コーチのクライミング業界は、クライミングの恐怖を管理する上質な情報に敬意を表してコミュニティを大量に抑制しています。
2021/12/31
海外ではトップクライマーのオンラインコース創設が加速中
恐怖は指の強さよりも登山者を背負っているが、精神的なトレーニング対身体的なトレーニングに集中している登山者がどれくらいいるか? 現時点で、コーチのクライミング業界は、クライミングの恐怖を管理する上質な情報に敬意を表してコミュニティを大量に抑制しています。
「スラブで流して止める」=現代のロープの性能をよく知らない
ロープと支点強度の捉え方も、現代版の理解と昔の理解 の二つがあると思います。
昔の支点は脆弱、そして、ロープは麻とかで三つ撚りとかです。
一方、現代は支点強度があがり、ロープはカーンマントルです。
つまり、ロープの衝撃吸収能で、人体を損傷から守るという考えに180度方向転換していますので、流さなくていい、というのが基本になっています。
一度、スラブをリードしているときに、「落ちたら流して止めてあげますよ」と自慢げに言われて、ビックリ仰天しました。現代のロープでは、スラブで流して止めるって必要はないです。流したら怪我の量が増えるだけです。ただでも大根おろしなのに。
この方は、普通の岩場のリードでも、「落ちます」と声をかけて落ちたら、「まだ俺が準備していない、アンコントロールな墜落をしないでくれ」と言ってきました。それも間違っています。
クライマーはどこでもいつでも落ちる可能性があるので、ビレイヤーが、下でサボっていい時間はゼロ時間です。
私は、3ピン目を取るまで落ちてはいけないというクライミングを自分はしますが、1ピン目で落ちるクライマーに文句を言ったことはありませんし、止めれなかったということもありません。人工壁ですら、です。
■ ロープは体格で選ぶべきものが違いますよ
私は軽いクライマーなので、ロープは伸びが良いものを使っています。
同じロープを体重が重いクライマーが使うと、安全ではなくなります。
重たい人でハングドッグが長い人は、伸びよりもデュラブルなロープを使ったほうが合理的です。
私はロープに全体重や衝撃を与える場合というのは、ローワーダウンくらいなのです。めったに落ちないので。落ちる場合も軽いので、柔らかいロープが良いわけです。
柔らかい軽いロープは細系であることが多いので、耐久性は劣ります。毎日毎日登っている人には向きません。
そういうことが、ロープは会のもの、ではなく、
一人一本自分で自分のリードに適していると思えるロープ
を選んで持ってくるべき理由です。
■ メンテ
アイスクライミングをする人は、ロープは岩と兼用ではダメです。表皮が凍り付いて、グリップしても確保器の中を滑っていきます。防水加工は必須です。また、防水スプレーを登るたびに毎回しないといけないです。帰ったらロープを干します。
一方、岩登りだと、ロープのメンテにそこまで気を使うケースは少ないですが、雨の日のクライミングで泥が付いたりしたら、帰ってロープを洗い、日陰に干します。
カーンマントルのロープは、表皮が結構重要です。表皮の中に泥の細かい粒子が入ると、磨き粉のようになって、カラビナを削ることになってしまいます。一方、芯がふにゃっとしていても、不思議と結構、持ちます。もちろん、ふにゃっとなった時点で、そこからカットして使ったほうが良いとは思いますが。
■ 文字通り命綱
ロープも使い慣れると、文字通り命綱、であることを忘れがちになってしまいますね。
支点も同じです。
ゆでがえる現象っていうやつですね。
大丈夫、大丈夫、と言いながら、段々と大丈夫ではなくなっている…というものです。
九州の支点の、”生と死の分岐点状態”は、そのようなプロセスで発展したのであり、日本中のほかの場所でも同じではないかと思います。
『最新!アルパインクライミング』にこのような記述があります。
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いわゆる「ロープを流して止める」制動確保は30年ほど前までは、ビレイの鉄則だった。
それは、ビレイ方法も「肩がらみ」だったからという前提がある。
中略
70年代前半~中盤で、おりしもビレイは「グリップビレイ」そして「エイト環」と大きく変わりつつあり、さらに現在のビレイデバイスが登場するにいたって、確保方法はロープを瞬間にロックする「静的確保」(スタティック)へと決定づけられたのである。
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2021/12/30
ボルダリングがどのようなクライミングかよく分かる動画:Ryuichi Murai: "Floatin" (v16/8C+) FA
正月の山の回想
■ 気の置けない女友達とおしゃべりデー
昨日は、気の置けない女友達とおしゃべりデーをしていました。数年に一回こういうことをする。
気の置けない女友達、は簡単にはできません。
男には7人の敵がいる、と言われているそうですが、女にだって、7人の敵がいます(笑)。絶対的な共感レベルで、他人の脳をジブンゴトに使う機会=気の置けない女友達。
昨日は、岩盤浴に行ったのですが…よく考えたら、他の人とですが、前の回も温泉…。女友達と行くのは、”温かいところ”です。
私は思うのですが、気の置けない女友達とのおしゃべりデーと同じことを、男性は、山岳会の仲間と冬山合宿でやっているのではないですかね?
そこで、新人に女性なんかが来てしまうと…。気の置けない話ができなくなって困っちゃうから、女性には来てもらいたくないのでは(笑)???
と思って、大体、冬山合宿は譲っていました(笑)。
■ ステップ1 鳳凰三山
というので、一番楽しかった正月の山は、鳳凰三山です。会に入らなくても行ける山。
2021/12/28
これらの障害を自分の長所で補うとしたら、何ができますか?
■ これらの障害を自分の長所で補うとしたら、何ができますか?
グレード以外のクライミングの価値を文章で示すことはできると思います。
けっこう今やっていることと同じです。この数年以上のレベル感でやっていることと同じです。
自分の障害になっている性格はなんでしょう?
■ 問い)
・自分の障害になっている性格はなんでしょう?
・自分の障害になっている体質とは何でしょう?
・自分の障害になっている人は誰でしょう?
・自分の障害になっている社会とそのシステムとはなんでしょう?
・自分の障害になっている環境とはなんでしょう?
■ 答え
障害になっている性格は、なんでしょうかね?完璧主義かな?そうでもないと思ってはいるのですが、傍から見ると違うかもしれません。
自分では、怠惰、も障害になっているかもしれないと思うのですが、だとすると正反対になってしまいます。
体質としては、上半身の弱さは決定的に障害なので、直した方がいいですが、趣味のクライミングなので、急がないでいいかなって思っています。
障害になっている人は、いるのかなぁ…。いないような気がしますが、落ちろ落ちろと言ってくるクライマーは、障害かも…。落ちてもキャッチしてあげますよ、とは違うでしょう。落とそう、落とそうとするのは。北風と太陽で、落とそうとすれば、落ちまいと余計頑張り、落ちないでね、と言えば、勝手に落ちるのがクライマー心理というような気がします(笑)。
障害になっている社会とシステムは、あきらかで、グレード偏重と商業主義です。商売としてクライミングジムを運営するクライミングジムは、クライミングの本質を、グレード競争にすり替えてしまっています。
私の障害になっている環境は、グレード競争こそがクライミングの神髄だと同調圧力に流されてしまっている環境です。私はグレードは行ける岩場の選択肢を広げるだけだと思っているので、グレードで人に上下をつける世界は好きになれません。
どうしようもなく腹が立つときというのは、どんな時ですか?
■ どうしようもなく腹が立つときというのは、どんな時ですか?
あんぽんたんな回答をリスクについてするとき。
3級しか登れないクライマーが、2段を登りたいとか言いつつ、ノーマットって、言いながら、「大丈夫、俺、弱気だから」とか…矛盾の3段合成みたいな回答をするとき。
用心深いクライマーの意味を取り違えている。3級が登れる人がノーマットしていいのは、5級であって2段ではない。それでも、2段が登りたかったら、マット買って、ガンガン落ちるしかない。
というような場合、腹が立つというよりは、なんというか、怒りが腹の底から湧いてくるというか、徹底解剖してやろう、という気になります。かなりしつこいです。すいません。
命を軽んじる人は嫌いです。しかも、その軽んじよう、が、本質的でなく、ポーズだけであるとき。そこから見える人生が、”丸抱え人生”だからですね。
どんなクライマーが最も幸せだと思いますか?それはどうしてですか?
■どんなクライマーが最も幸せだと思いますか?それはどうしてですか?
これは答えるのが難しく、見渡す限り、誰も幸福そうではないのに驚きました…。
幸せそうなクライマーが周辺にいません…(汗)
誰のことを羨ましいと思っているのかなぁ…と、探してみても、誰の事も羨ましくないかもしれません…
ハイグレードが登れても、ほとんどクライミングの喜びは増えないみたいなんですよね。
なので、うーん…答えにくい。
台湾の龍洞でお世話になった米国クライミングガイドのQXと奥さんのセットは、良い結論の形かなぁ…と思っています。
ラオスで会った、年配のクライマーで、イギリス人の女性と男性は、結婚もせず、定職にもつかず、クライミングを地道な趣味にして登って来ていた人たちでしたが、いい感じでした。
自分自身と人生が幸福に結婚していそうでした。
どんなクライマーが最も不幸な人だと思いますか?それはどうしてですか?
■ どんなクライマーが最も不幸な人だと思いますか?それはどうしてですか?
甲府にいたころは、野田賢さんなど、アルパインを目指している山や上がりのクライマーにかなり強く同情していました…。今から!というところで亡くなることが多いからです。
すでに3人は亡くなった人、知っています。一人はなんと、講習会の講師と登っていて亡くなった講習仲間です。33歳で身重の妻を残して、他界、というものです。
九州に来て、ボルダリング王国であることを知り、ボルトのボロさを知り、情報から遠いにも関わらず、そのことを知らない人…つまり情報弱者…をもっとも不幸な人と思うようになりました…。
知らないということは、知れば、解決すると思うでしょう…
ところが、それでは解決しないんですね…
何か文化的に、根本的に、何かが掛け違っていると思うようになりました。
今、思っている原因は、この二つです。
1)スポーツクライミングとフリークライミングとアルパインクライミングが、峻別されていない
2)一般市民クライミングとエリートクライミングが峻別されていない
両方とも情報の欠如に基づくものですが、高齢化=ITスキルの不足、なので、情報源が、雑誌などの文字媒体からネットに移ったこともあるのかなぁ…と想像しています。
それと、指導者レベルの人であっても、自身がきちんとした教育を受ける機会が非常に少ない、ということもあるのかなと思っています。
それなのに、教わりたい人は一杯来るとしたら、その人はアップアップのハズで気の毒な不幸な人と言えるかもしれません。
どんなクライマーを助けてあげたいと思いますか?それはどうしてですか?
上記のような状態も含め、分かっていない人を助けたいという気持はあります。
それは、かつての自分がいるから、というだけで、もっとわかりやすく説明しといてよ、みたいな気持ちがあるからだけで、その人たちに共感しているわけではありません。
なんで、みんな命がかかっている事なのに、そんなに勉強不足で気がつかないのかな?くらいは思っています。
自分が苦手なタイプのクライマーはどういった人ですか?
・自分が苦手なタイプの人はどういった人ですか?
・身近な人で言えば、それは誰ですか?
・その人のどういうところを変えてもらいたいですか?
・自分では同じようなことをしますか?
自分が苦手なことは何ですか?それを克服する方法は何でしょう?
■ 当然、墜落ですね
落ちるのが嫌なクライマー、ということです。
落ちるのが怖い、と、甲府のジムピラニアで訴えると、「怖いほうがいいですよ」という返事が返ってきます。
■ 最初のころはバンバン落ちていた
私は人工壁クライミングは、山梨アルパインでスタートしました。甲府の公の人工壁は、可動式で、45度の傾斜で11aからしかないので、それを傾斜15度にして、10aとみなし、それが3往復できるようになってから、外岩にデビューしました。毎週2回、クライミングのためではなく、ビレイの習得のために通いましたが、私は登りだしたころは、3mくらい上の最初のハングの核心部で落ちていたので、そこで落ちるのは、まぁいつものこと、くらいの状態でした。3mの人がトップアウトできる筋力が付くまでも3か月くらいはかかったと思います。
ですので、最初から墜落を怖がっていたクライマーではないのです。ただ、多くの人工壁クライマーがビレイを分かっていないことを理解していく中で、恐れるようになっていきました。
基本的に人工壁では、バッツンビレイが嫌です。私は軽いので、壁にたたきつけられることが多いのです。
■ 落ちないクライマー
落ちないクライマーとして、甲府時代は歓迎され、その後、九州に来て、見慣れぬ支点を見ている間に、D助さんのおかげで、支点強度の問題を学び、さらに落ちることを回避するクライマーになりました(笑)。
それでも、組みたいな、と思った人のビレイの時は、ビレイを確かめる意味でも、終了点間際のいいなと思ったところで、一度は墜落して見せるようにしています。
■ 根拠のない恐怖は持たない
私は、リーズン、つまり、理性で恐怖心を回避できるタイプです。
根拠のない不安…例えば、セルフをしっかりとっているのに、懸垂のセットで焦る、とか、そういうのはありません。これは不思議と最初から、パニクらないタイプでした。
ある時ハンギングビレイしていたら、同行者が、「よく支点にぶら下がる気になりますね」と言いました…が、それ、自作のビレイステーションなんです。その支点が信頼できないなら、もう登れないっていう話なので、はてな?と思いました。
彼女は全く支点構築もロープワークも学ぶ気がなく、誰かにやってもらいたいというタイプでした。それでも最年少でアコンカグアを登ったそうで、その話を聞いて、歩くだけの登山に対する憧れは、あっという間に吹き飛んでしまいました…。誰かがタクティックスを組み、自分はそのタクティックス通りに登るだけ、必要なのは強い肉体だけという山=アコンカグアという山だ、と分かってしまったからです。その人の理解がぜんぜんだったことから。
なので、その時点で私にとっては挑戦でもチャレンジでもない。お金を払う価値を見出せないと感じました。
■ 克服する方法
まぁ、夫にビレイをしてもらうことでしょうね。
夫しか、信頼できる人がいないからです。
しかし、夫の元君は、そもそも、冒険に最悪に向いていないというか…。先取り思考ということができない、次の一手を想定する、というのが、苦手みたいです。
夫とは山には登れない兆候が、普通のハイキングのころからありました…。例えば、ハイキングの山であっても、尾根を上がり切って稜線に出ると、突然風が強くなるのは、誰でも知っている事です。風上に登るからですね…そのようなリスクが、自然と山を登っていくと分かってくるものですが…夫の元君は、だんだんと分かっては来ない。突風にさらされる前にジャケットを着るのが山やの定番の行動ですが、尾根の終わりが近づくと、”わーい”とむしろ、風の中に飛び込んで行ってしまうのです。これも本人の経験だから…と教えないでいると、そのままの行動を続けてしまいます。
ので、残念ながら、あまり高度な山は彼と行くのは、彼本人が危険になってしまいます。
ビレイというのは、責任感が必要な立場なので、彼には荷が重すぎる責任かもしれません。
■ 墜落対策
私は、一度、1ピン目を取った後で落ちて、その後キャッチしてもらえなかったためにグランドフォールしています。
その日のことを回想すると、トップクライマーの南裏さんが講習会講師として来ていた岩場に、誘われて、見学がてら行ったクライミングだったのでした。
連れて行ったクライマー君は、みなから回避されている人だったらしく、本人も乗り気ではなく、仕方なく来たようで、しかも、南裏さんと面識があり、会いたくない人に会ってしまった…ようでした。
私の方の事情としては、そこのリードは4回目で、いつも1ピン目を取った後、左に行くところを、飽きていたので試しに右に行ってみたのでした。そこで落ちたのですが、岩のコンディションもこの日は悪かったようなのです。ぬめっているということです。
トップクライマーですら、10bでテンションかけていたので、それが気まずくて、岩にとりついたのでしたから…。10bテンションを見たときに、あ、今日はぬめっているのかも?と気がつけばよかったのです。
この日の反省としては、ヘルメットをかぶっていなかったことです。いつもかぶっているのに、なぜか、この日はかぶっていなかった。ヘルメットで防げた事故でした。
また、この日連れて行った相方は、初めて使うクリックアップを、これまた初めて組む私のビレイで使ったのでした…。初めての二乗は、危険です。
なので、私はクリックアップは嫌いです(笑)。そうです、ただの八つ当たりですが、グリグリのほうが安心だな。
■ 徹底的な墜落練習
私自身にも言えることですが、初心者は無知なので、人工壁でバンバン落ちている人の落ちている理由は、無知、かもしれません。
私も、人工壁でデビューしていたころは、バンバン落ちていたので。
それができなくなったのは、いかに人工壁ビレイヤーのビレイが分かっていないビレイなのか?を理解できる知識がついてからです。
余談ですが、白石アシマちゃんもお父さんに落とされていましたよね。
■ 外岩で落ちていいのは3ピン目から上
人工壁で落ちても、外岩では落ちてはいけない、というのは、山梨では、特に強調して教えられていました。
3ピン目を取るまでは決して落ちるな
というのが山梨県では標準の教えのようでした。ボルトは普通にグージョンであってもです。
■ 下部核心を避ける
初心者に、下部核心のルートをリードさせる、というのは、とくに避けられていると思います。
ある程度、見識のあるリーダークラスの人であれば、その地域でどの課題をどのような順番で登って行けば、脱初心者でき、独り立ちしたクライマーとして全国の、あれやこれや、が含まれる岩場に送り出せる状態になるか?というのは、頭に入っているものだと思います。
私も山梨方面であれば、自分が教わった順に後進を育成していくということなので大丈夫ですが、九州では、その辺りが良く見えないです。
■ グレードの厚み
また、グレードピラミッドについても、山梨では、あるグレードを4本登ったら、次のグレードに進んでいい、という風には、全く思えません。
九州では4本で次、と言われましたが、みんなほんとにそうしているんですかね?それじゃ、クライミンググレードが上がっても、あれやこれやが分かっていないクライマーが出来てしまうわけですね…。
ちなみに、小山田大さんは、ボルダラーですが、ある一つのグレードがしっかり分かるためには40本、と書かれてる記述を見たことがあります。
■ みじかしい系
”みじかしい”というスラングが、クライミング界にはありますが、九州ではあまり聞きません。
大体のクライマーは、5.8でリードデビューすると思います。
初めてのリードは、成功体験を摘ませるためのもので、慎重にルートも選ばれているハズで、かなり落ちるリスクがないものが選ばれているハズなので、この段階でテンションしたり、リードができないクライマーは、もうその次、というはないかもしれません。
で、めでたく検定に合格したら?その次に取り付くのは?
当然ですが、長い5.9です。なぜなら、長い5.9が、5.9とグレーディングされている理由は、ムーブは5.8だが、長いからその分の困難度をプラスして、5.9だからです。
その後、短い5.9に進みます。つまり、みじかいがゆえに、難しさで5.9が付与されているルートという意味です。
同じように、長い10A、短い10A、長い10b、短い10b…と続くことになります。
さらに言えば、スラブ、フェイス、クラック、ワイド、フィンガー、ハング、と色々と取り混ぜて成長していくものなので、10A時代というのが、そんな早々、簡単に終わるはずがないのです。
まぁ、これは岩場資源が豊富だから出来ることで、岩場が一つしかなければ、その岩場でグレードを上げていく以外ないわけですから、贅沢な育ち、と言えるかもしれませんが。
そのようなバラエティの豊富さをもって、クライマーを育成するというのが、”5.13が登れるのに、インスボンの(あるいはヨセミテの)5.8で落ちるクライマーを育てない”、というポイントです。
まぁ、私はそのような贅沢さを享受できる立場には、今はいないので、苦手克服は、先延ばし系です。
まぁ、気が向いたらボルダーか、TRフィックスで一人登りをしていれば、墜落はしないで済み、登攀力も上がるかもしれませんが、なかなかそれは起きそうにないです。
クライミング以上に魅力がある活動は世の中たくさんあります。そういう風に割り切って考えれることは、強みかもしれません。
余談ですが、アドレナリン・ジャンキーというのは、誰にでも起こりうることで、クライミング以外の活動を粗末にしていくようになると、危険な信号のように思います。
とくに岩登りをスタートして、2~5年以内では、強い傾向があると思います。その頃は、まだリスクとクライミングの喜びを冷静に天秤にかけられるほどは、クライミングのリスクについて、知識が溜まっていないからです。
つまり、無知が原因で、天秤にかけるリスクと喜びでは、喜びが大きい、ということです。
これは、師匠が、「きぬちゃん、クライミングは知れば知るほど怖くなるんやで」と教えてくれました。私がインスボンのピンの遠さを指摘したからです。したがって、リスクを指摘した時に、そんなリスクは大してことがない、という人は、師匠とするのには微妙です。
先人の先人足るゆえんは、新人より的確にリスク判定できるから、というのがあ、師匠と崇めるべき理由で、それ以外に年配の人を尊敬する理由はないからです。
師匠の経験による判定に寄れば、私のスキルレベルの人が人気ルートのショイナードなどをリードするためには5年程度の修行が必要だそうでした。これは、別の先輩が12へ行くのに10年くらいかかったことを考慮すると、納得ができる数値かもしれません。
ちなみに私がインスボンでのリードを希望していたルートは、リッジ登攀の初心者向けコースで、デシマルレベルのルートではありません。
念のため、5.12が登れる人をインスボンで師匠と組ませてみましたが、その人もスイスイリードとはいかなかったようです。インスボンだけでなく、ヨセミテのクライミングにも言えますが、花崗岩登攀は花崗岩特有の、その岩場特有の個性を深く知る必要があるのです。普段、12登っているから大丈夫、とは言えないということです。
私が思うには、おそらくクライマーというのは、各岩場、固有の個性を知ることを楽しいと思える人、です。そうおもうのは、私が雪に取り組んでいたころは、雪の特性の理解につとめていたからです。谷川と八ヶ岳では、雪、の意味は全く違います。
私は、インスボンとラオスの石灰岩を比較すると、ラオスの石灰岩が、私の今のスキルのレベルで、楽しくスイスイ登れる選択になるので、そちらの方が好きです。
落ちても、被っているので、びよよんと宙にぶら下がるだけになりますし。落ちることを考えるとスラブより、オーバーハングの方が当然ですが、安全です。
日本には、このような現代的な岩場はないので、出来たらいいな、と思っています。