地方出身クライマーの平均像(ユーザー像)
1. 背景
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地方都市や山間部で育つ
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自然との距離が近く、幼少期から野山で遊ぶ経験あり
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情報や文化の中心からやや遅れてクライミング文化を受け取る
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学生時代や社会人サークルでクライミングに触れたケースが多い
2. 心理的傾向
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見栄・劣等感
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「都会のクライマーに負けたくない」
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「実力以上に強そうに見せたい」
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伝統への順応
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地方のクライミング文化に根づいた「根性・命懸け・我慢」を自然に受け入れやすい
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「伝統だから」「先輩がそうしてきたから」と考える傾向
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矛盾した欲求
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安全で楽しいクライミングを望みつつも、伝統的な「危険を誇る文化」に引っ張られる
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自己の安全欲求と、他者に認められたい承認欲求の間で揺れる
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3. 行動様式
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グレードや課題に過剰なこだわりを見せる
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ランナウトや危険なトライを「美学」として受け入れる場合がある
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一方で、ジム(ボルダリング施設)では安全で快適なクライミングも好む
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「ジムでは楽しむ/外岩では伝統に従う」といった二重基準を持ちやすい
4. 文化との関係
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地元のクライマー仲間・先輩の影響を強く受ける
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伝統的価値観を「哲学」として信じ込む傾向がある
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実際には「個人の見栄やコンプレックス」が文化にすり替わったものだと気づきにくい
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若い世代では、こうした暴力性を敏感に感じ取り、ジム文化へ移行する人も多い
5. ペルソナとしての要点
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属性:30〜50代、地方都市在住、会社員 or 公務員、週末クライマー
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価値観:「伝統」「男らしさ/根性」「安全と楽しさの両立」
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課題:見栄や承認欲求が安全より優先されやすい/文化的暴力に無自覚
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ニーズ:安心して挑戦できる場、見栄ではなく自己探求に基づくクライミングの再定義
👉 まとめると、
「地方出身の一般クライマー」は、見栄や劣等感に影響されつつ伝統文化に染まりやすく、結果として安全と本質的な哲学をないがしろにしてしまう平均像を持っている。
ただし、その一方でジム文化を通じて「暴力性を脱したクライミング」への潜在的欲求も抱えている。
この像をユーザー像として用いると、
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どこに響く言葉を使えばよいか(例:「命を大事にする新しい伝統」)
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どんな価値提案が必要か(例:「見栄ではなく本質で語れる強さ」)
といった発信の方向性を導けます。
■瑞牆イベントとの相性
https://www.alpine-climb.jp/post/20251004_mizugakiyama_gathering
はい、確認しました。このイベント(瑞牆山クライミング連絡協議会 主催「瑞牆山の未来を考える集い」)が、先ほど描いた 「地方出身の一般クライマーの平均像」 に響くかどうかを分析します。
ペルソナの特徴との照合
1. 自然・地元志向
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地方出身クライマーは「地元の自然や山に関わる」ことに価値を置きやすい。
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植樹補助具撤去や瑞牆山岩壁群見学ハイキングは「地域に根ざす」「自然と関わる」という文脈に合致。
👉 この層には比較的響きやすい。
2. 見栄や伝統への順応
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伝統的な価値観(先輩がやってきたこと・地元に貢献する姿勢)を重んじやすい。
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「瑞牆山の未来を考える」「地域の山を守る」という大義は“伝統の延長”として納得しやすい。
👉 安全や哲学性を直接語らずとも「守り・残す」フレーズで参加動機が生まれる。
3. 行動様式(ジム vs 外岩)
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外岩文化の「美学」には従いやすいが、安全志向の側面も持つ。
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本イベントは「危険なチャレンジ」ではなく、むしろ親子ボルダリング体験や自然保全活動といった安心志向のプログラムが中心。
👉 見栄や競争心を満たす場ではないため、“やや物足りなさ”を感じる層も出る。
4. ディスカッションへの参加動機
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「山の未来を考える」「利用方法を議論する」といった抽象的テーマは、哲学性や主体性を重んじる一部には響くが、平均的な地方出身クライマーには敷居が高く感じられる可能性。
👉 ただし「地元を守る」という文脈で語られると共感を得やすい。
総合評価
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響きやすい部分
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植樹補助具撤去(地域貢献・共同作業感)
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見学ハイキング(自然とのふれあい)
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「伝統を守る・未来へ残す」という大義名分
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響きにくい部分
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親子体験(対象外の年齢層には関係が薄い)
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ディスカッション(哲学的議論にはハードルを感じやすい)
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👉 結論:
このペルソナにとって本イベントは、「派手さや見栄を張る場ではないが、地元の自然・伝統に関わりたい気持ち」には響きやすい。特に 「植樹補助具撤去」 や 「山を守るための集い」 といったメッセージは強く刺さる。
■何が刺さるか?
キャッチコピー再提案
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「瑞牆に筋を通す一日。」
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「登るだけじゃ終われない、本物のクライマーの集い。」
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「挑戦した山に、敬意で応える。」
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「瑞牆の未来は、俺たちが作る。」
誘い文句(再設計)
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「瑞牆は俺たちに挑戦をくれた。その山に敬意を返すのが、本物のクライマーの姿だ。」
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「命を懸けた先輩たちの舞台を、未来に残せるかどうかは俺たち次第。」
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「誇れるのは登った数じゃない。残した山の姿だ。」
👉 まとめると:
誠実さは「嫌われる言葉」だから前に出さない。
代わりに「筋」「敬意」「本物」といった、地方クライマーの見栄や伝統意識を刺激する言葉を選ぶと、同じ行為(山を守る活動)に参加してもらいやすくなる。
「地方出身の一般クライマーの平均像」が 嫌う言葉 / 好む言葉 を対比表で整理してみます。
地方出身クライマーの言葉感受性マップ
カテゴリ | 嫌う言葉(拒否・距離を置く) | 好む言葉(共感・誇りを刺激する) |
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倫理・姿勢 | 誠実 / 真面目 / 丁寧 / 安全第一 | 筋を通す / 本物 / 男気 / 義理 |
感情表現 | 優しさ / 思いやり / 共感 / 調和 | 根性 / 気合 / 覚悟 / 負けん気 |
目的・意味 | 自己成長 / セラピー / 癒し / 豊かさ | 挑戦 / 伝統 / 誇り / 武勇伝 |
安全・リスク | 無理せず / 事故ゼロ / 慎重に / 安心 | 命懸け / 死闘 / 修羅場 / 覚悟を示す |
仲間関係 | フラット / 対等 / みんなで / 共に支え合う | 先輩 / 後輩 / 筋目 / 礼儀 / 仲間(内輪的) |
自然との関係 | 癒しの自然 / リフレッシュ / リラックス | 挑戦の山 / 試練 / 舞台 / 宿命 |
特徴的な傾向
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嫌うのは「都会的・綺麗ごと・セラピー的な表現」
→ 「誠実」「丁寧」「安心」「自己成長」など -
好むのは「武士道的・伝統的・強者的ニュアンス」
→ 「筋」「本物」「覚悟」「誇り」「挑戦」など
活用のヒント
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告知やキャッチコピーでは 「誠実に山を守ろう」ではなく「瑞牆に筋を通そう」 とする。
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「安全活動です」ではなく「命を懸けて挑んだ舞台を、未来に残す」と言い換える。
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「みんなで仲良く」ではなく「本物の仲間と集う」と伝える。
👉 つまりこの層は、
「誠実さ」を嫌いながら、実は“筋”や“敬意”の形でなら受け取れる、というひねりのある心理構造を持っています。
■Kinnyの感想
これ関係者読んでくれたらいいなぁ。
アルパインクライミングって、若いクライマーから見たら楽しくなさそう。
逆に俺様クライマーから見たら、何がおいしいの?何にも威張れないじゃん。って活動になっているんです。
だって、アルパイン登っても、写真に残ります?残りませんよね。
男性たちが残したいのは、俺の偉業、なんです。それが現代的基準で見たら、あまりすごいことでないとしても。
■一般クライマーとクライミングイベント
なるほど、かなり本質的な問いですね。
いただいた「九州クライミングの現状」と「瑞牆山のイベント」をマーケティング心理学の観点から照らし合わせてみます。
1. 地方クライミングに見られる心理的背景
先ほどの九州の事例から浮かび上がるのは、
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権威や知識の独占(「教えないジム」文化)
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市場競争への過敏な反応(ジム同士の敵対)
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外部からの評価に敏感(「見栄・劣等感」の強さ)
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誠実さや啓蒙を嫌う傾向(“上から目線で説教される”ことを嫌がる)
つまり、地方クライマーやジム経営者の多くは、
👉「自分の立場を脅かす存在」や「自分のやり方を否定される場」に強く抵抗する心理傾向がある。
これはマーケティング的にいうと「心理的リアクタンス(反発)」が強い状態です。
2. 瑞牆山イベントの訴求構造
瑞牆山のイベントは、
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植樹や補助具撤去(社会貢献活動)
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親子ボルダリング体験(入門層への開放)
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岩壁群ハイキング(観光客や一般登山者との接点)
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ディスカッション(意見交換・啓蒙的な場)
といった 「公益性・誠実さ・環境保全」 を強調する構成です。
これは一般市民や自然保護層には非常に好意的に響くのですが、
上記の「地方クライマー心理」とは逆方向のバリューを打ち出しています。
3. マーケティング心理学的分析
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自己防衛バイアス
クライマーにとって「啓蒙イベント」は、自分のやり方を正される場に見えやすい。
→ 参加を避ける・形だけの参加で実質無関心、という行動になる。 -
外的動機づけの弱さ
「環境保全」や「未来を考える」といった大義は、地方クライマーの心を動かすには遠すぎる。
→ 彼らのモチベーションは「見栄・仲間内の承認」に近いため、公益性訴求は刺さらない。 -
リアクタンス(反発心)
公的協議会・有名ブランド(ノースフェイス、モンベル、ペツル)が関与するほど、
「また都会の連中が仕切る」「業界の権威が正解を押し付けてくる」と感じる。
👉 結果として、この種のイベントは 「啓蒙したい層」には届くが、「本当に変化が必要な地方クライマー層」にはむしろ届かないか、拒否される 可能性が高い。
4. 有効なアプローチ(心理的観点から)
地方クライマーの心理に刺さるためには、
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「あなたのやり方を否定しない」という姿勢
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「見栄や承認欲求」をポジティブに利用する設計
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「自分が得をする・格好がつく」形での参加理由づけ
が必要です。
例えば:
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植樹や補助具撤去を「インスタ映え・仲間内アピールができるアクティビティ」として打ち出す
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ブランドの権威を前に出すのではなく、「地元のベテランクライマーが主役」と見せる
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ディスカッションは「講義」ではなく「武勇伝を語れる場」に変える(経験自慢を承認欲求のはけ口にする)
結論
マーケティング心理学的に見れば、
瑞牆山イベントのような「誠実さ・公益性訴求型イベント」は、地方クライマーの啓蒙には効果が薄いか、むしろ反発を招く。
本当に変えたいなら、
👉「誠実さを押し付ける」のではなく、「承認欲求に寄り添いながら誠実さへ誘導する」
という設計が必須になります。
■武勇伝がしょぼい問題対策
そこが地方クライミング文化の一番のジレンマですね。
マーケティング心理学的に整理すると:
1. 「武勇伝の不在」という問題
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本人たちは「自分を大きく見せたい」という承認欲求がある
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しかし語れる成果や経験は小さい
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結果、「しょぼい武勇伝」しか出せず、聞き手も盛り上がらない
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それを補うために 攻撃性(マウンティング、他者否定) に変換することが多い
👉 武勇伝が不在だと、承認欲求が「他者の否定」という形で発露しやすい。
2. イベントでの失敗リスク
瑞牆山イベントのように「語り合いましょう」「未来を考えましょう」とやると、
地方クライマーは 「武勇伝を出したいが、出せるものがない」→恥をかくか、他人を叩く」 という流れになりがちです。
つまり、建設的な対話より、場の空気が濁る 可能性が高い。
3. 有効な仕掛け(心理的工夫)
「しょぼい武勇伝しかない」前提で設計するなら、
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武勇伝を相対化する仕組みを作る
→ 「みんなで失敗談を語ろう」「自分史の一番ダサかった瞬間」など、ネガティブ自慢に変換すると承認欲求が満たされやすい。 -
外的な成果を”肩借り”できる場を作る
→ 「海外やトップクライマーの話題を一緒に語る」「有名ルートに触れたことを自慢できる」ようにすれば、自分の体験を補強できる。 -
数や参加自体を誇れるようにする
→ 「参加した人の名前一覧」「SNSでハッシュタグ拡散」など、体験そのものを武勇伝化する。
4. 戦略的まとめ
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武勇伝がしょぼい人たちに「立派な武勇伝を語れ」と促すのは失敗する
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代わりに「しょぼさを逆に誇れる」仕掛けや「外部の力を借りて武勇伝っぽく見せられる」環境を作れば、心理的リアクタンスを避けつつ参加を促せる
💡つまり、瑞牆山のようなイベントが本当に「啓蒙の場」になりたければ、
クライマーの承認欲求を 武勇伝以外の形 で満たしてあげる設計に変える必要がある、ということです。