2025/11/20

回想録その4…失われゆく登攀文化:九州で感じたスタイルの崩壊

 さて、続きを書きます。

で、Hiltiを買おうとしたって件からですが…私は山梨では、先輩の監視の下でトップロープ時代を過ごしつつ、脱トップロープで、すこしずつリードを取るくらいの段階で福岡に来たので、リードを取るとなると重要になってくるのがボルトの質でした。

しかし、プロテクションの重要性が、なかなか分かってもらえない土地柄でした。まるで『生と死の分岐点』でみたレトロ支点が現実に現れたみたいでした。

なんせボルトルートしかない。しかも、ボルトルートなら全部安全だと考えているようで、ボルト自体の老朽化とか、ボルト同士が離れているとか、リーチには個性があることとか、理解しているのかなぁ?疑問、って感じでした。飛びついて落ちるのがクライミングだと思っていそうな気がした。

飛びついて落ちてかっこいいのはオリンピックではそうなんですけど…。それをやると死への近道だというのは、山梨では外岩クライマーには共有されていたような気がしたんだけどなぁ・・・。スタティックに取る。ダイナミックムーブって、ボルダーだけでしょみたいな?

山梨では、強度の分からないボルトに恐る恐る体重を預けるのが外岩課題、みたいな理解でした。なんで、落ちるくらいならテンション。この構えが九州ではないみたいでした。

アイスクライミングでは私は最初からリードを取っていましたが、アイスの価値観でも、どか落ちやふい落ちは、避けるような感じでしたけど…。特にアイスでは、アックスを落とすと危険だからです。自分に突き刺さったりしますよね。落ちるくらいならアックステンション。

で、いきなり価値観が逆転したみたいな感じでした。

それで、こんなスタイルで登ってグレード上げていたら、早晩死にそう、っていう感想になりました。

これは、実は、熊本の会で起きているだけの現象だったのかもしれません。大分当たりの人はもっとまともな価値観で登っているのかもしれませんが、よくわかりません。

ただ私が感知したのは、私個人が殺されそうだ、ということだからです。

あれを登れ、これを登れといろいろとアドバイスしたがるのがホスト側だと思いますが、その課題の選択が、どうも、怖がらせることを目的にした選択に思え、初心者のリード向きの課題選びとは、全く異なるのではないか?と思えました。

後で、グレードが辛いことで有名な三倉に行き、三倉の地元の人によると、それはわざとであり、都会から来た人を追い返すためだという話でした。そこで、同じ心理が九州でも働いているのではないか?と思いました。

しかし、昭和は終わって令和であり、地方都市は、観光収入を必要とする時代。時代の変化にあまり考慮していない考えであるのではないだろうか?

結局、蛮勇とルサンチマン(嫉妬)というアルパイン界の、悪しき二大伝統を、時代にそぐわない形で温存しているだけなのではないか?と思われました。

蛮勇とルサンチマンを裏返すと、冒険と承認欲求。つまり、冒険性を強調しすぎることが蛮勇への道であり、ルサンチマン、嫉妬となるのは、承認欲求が満たされないから。

それは、男性のほうが落ちやすい心理的罠のようで、私は落ちなくて、アラーキーは落ちたのではないかと思います。

それがちょっと残念でした。なんか、鬼滅の刃みたいな感じだった。

■クロスケオテ谷

で起きたのがクロスケオテの件で、あーあ、なんてこった、というのが率直な感想でした。

もちろん、初登の栄誉に浴したいというのは、別に持って良い、誰にでもある欲求で、あーあ、はそこにはないです。

あーあ…はエイドだったことです。まぁ、人の記録に難癖付けなくてもいいっていうのが、まっとうな大人ですが、相方だったからこそ残念。

折角、現代レベルのクライミングでこれまで頑張ってきたのに…最後の最後で欲に負けてしまったのね…みたいな。

記録が出るまで、まさか彼がエイドでの記録をロクスノに上げようとは思ってもみませんでした。

その前に、雌鉾の大滝のアイスクライミングの記録が見開き2ページくらいで、ロクスノに載ったのですが、あれ、アイスクライミングをしている人なら、誰でもわかると思いましたが、同じ時期に登られた石原幸恵さんの二口渓谷の第二登よりうんと簡単です。石原さんの記録は巻末にちょろっと。必要になる努力の量が圧倒的に違うのに、この扱いの差が、えー?でした。

しかも、書いた内容が赤面するような冒険譚になっていました。アイスクライミングって氷の凍結が未熟だと危険で、スクリューをねじ込むと水道の蛇口みたいに水がジャーっと流れたりします。私もそういうのを初心者の時にやって、それは、ああ、こういうのには登ってはいけないのだな、と登ってはいけないアイスを見極めるという経験値になったのですが…。まぁ意外にアイスは堅牢でその時は登れたんですが。

八ヶ岳でも近年は凍結が甘くて、氷の下でジャンジャン水流が流れていたりします。アイスクライミングの経験値の半分くらいは、登ってはいけないアイスと登っていいアイスを見極める能力をつけることなんですよね。

私の以前の師匠の鈴木さんはときどき、岳人に寄稿する人でした。彼によると、雑誌社は大体、紙面を埋めるのに困っており、記事を欲しがっているそうなのです。ロクスノも同じなのかもしれませんね。

まぁ、以上の経験で、現代アイスの女性トップクライマーの一人である石原さんがまったく無名で名を世間に知られることなく、ただの初心者の九州のクライマーが九州の仲間内でまるでトップクライマーであるかのように、尊敬されることになった、ので、ああ、こういうことか、と思いました。

前にいた山梨でも、トップクライマーが謙虚すぎて地元に人に知られず、とくに価値ある内容の登攀をしているわけでもなさそうな人…事例としては、栗城さんを上げたいですが…ほかに南谷マリンさん…が超有名人で冒険家扱いになっている理由が分かりました。

当人のプレゼンだけを聞いて、クライミング自体のレベル感とその人のやっていることのレベルを理解していなければ、聴衆側は意外に簡単に当人の自己評価を受け入れてしまうというものです。

「登攀の内容」そのものよりも「物語」を作る能力のほうが社会的評価につながりやすい現象ってことなんですねぇ…みたいな。

でも、エイドでの初登だと、それすら不可能です。だっていくら初登でも今の技術水準だとフリーが前提だからです。

というわけで、応援していただけにとても残念でした。私は、全国レベルで、あちこち渡り歩いているトップクライマーがローカルクライマーを出し抜いて記録を積み上げるよりも、地元でコツコツ、まだ踏まれていない尾根やら沢やらを丹念に探して、積み上げるということに価値があると思うので、ローカルクライマー応援派だからです。

“まだ踏まれていない尾根や沢を、自分の足で探し当てる”という努力こそローカルクライミングの価値なのに、その真逆方向を行ってしまった。

というわけで残念の一言でした。

まぁ、そういうわけで、フリークライミングもイマイチ、アルパインは輪をかけてイマイチ、みたいな九州に対する感想でした。

アルパインクライミングは、現代フリークライミングによって底上げされているんですよ。いまだにこっちのアルパインクライミング志願者は、根子岳に行けるようなアルパインクライマーになりたいですって世界観で、登攀が上達する前に、文字通り足元が崩れるというだけの理由で亡くなっているかもしれません。根子岳以外に適当なアルパインの練習場がないからという理由みたいでしたが、ちょっとクライミングを学んだ後に普通に日向神でマルチに行けばいいだけなのでは???(←あってる)

まぁでも、山梨でも、鶏冠尾根とか、星穴とか危険なだけで登攀の魅力がさしてあるわけでもなさそうなところを登りたがるのが登山とアルパインの境目の人でした。私は南アルプスの深南部でひどい目にあわされそうになって難を逃れたことがありました。(鎌ナギ)

九州人が誇るべき成果というのは、やっぱり門田ギハードだと思いますけど…。みんなは応援していないというか、あまり名前が九州内で知られていないみたいなのが不思議でした。

アイスやっていたら、知らない人いないと思うんだけどなぁ。NHKにも出たのにね。

九州限定の山雑誌、のぼろ、にギンちゃんが出ないからかもしれませんね。

■まとめ

九州に来て、

  • スタイル軽視
  • 精度の甘いアドバイス
  • 基礎的安全観念の欠如
  • 歴史・文脈の理解が弱い
  • ローカルに本来の成果が残っていない

を知り、世紀末…という感想でした。アルパインクライミングという一つの文化の死を見た、って感じです。今のウクライナを見るような…。

その中で一筋の光がギンちゃん。

  • 世界的に通用する成果
  • 技術の高さと精神力の両方を備えた本物の登攀
  • 記録としての価値も明確

記録を出し続けるのは、なかなか大変だと思いますよ。なんせ一番大変なのは、スポンサーになってくれる側が価値の理解をしないことなんじゃないのかな?だって地元九州クライミング界が、今こんな状態なんですから。

2025/11/19

【トレーニング】クライミングにもテーパー概念がいるのでは?

水泳の動画を見ていて、テーパーって概念をクライミングにも入れたほうがいいよなって思いました。

私、1年半くらい泳いでいなかったのですが…二度目の成長期ですよ(笑)


クライミングにおける「テーパー」のニーズとは?

――休むことで強くなる、パフォーマンス最大化の科学

クライミング界では、まだあまり一般化していない「テーパー(試合前の調整期)」という概念。
これは本来、スイマーやランナーなどの持久系競技で使われる方法ですが、実は、クライマーにこそ必要な“最後の仕上げ”なのでは?

■ テーパーとは?

簡単に言えば、

「本番に向けて練習量を意図的に減らし、疲労を抜いてピークパフォーマンスを引き出す調整」
のこと。

普段の練習では強くなりません。


強くなるのは、トレーニングで身体にストレスを与え、その後の回復期に適応が起きるとき。テーパーは、この“超回復のピーク”を本番に合わせる技術です。


■ クライミングがテーパーを必要とする理由

① クライミングは「疲労が成功率を決める」競技だから

クライミングの成功率は、地力よりも当日のコンディションに強く左右されます。

  • 前腕のわずかな張り

  • 神経系の疲れ

  • 体幹の微妙なダルさ

  • 判断力の減衰

これらは数%の差に見えて、実際は完登率を大幅に落とす致命的要因になります。

だからこそ、直前に疲労をためないことが成果に直結します。


② 強度の高い課題は“力の出しきり”を要求する

RP(レッドポイント)や本気トライは、
握力・爆発力・神経系のキレが最も必要な場面。

テーパーによって神経系の疲れが抜けると、

  • 動きのキレが上がる

  • タイミングが合う

  • 指先がスッと効く

  • 呼吸とムーブが一致する

という“ピーク状態”に入れます。


③ ケガの予防になる

本番前に疲労が残った状態は、“ただの疲れ”ではなく腱・指・肩まわりの損傷リスクが高い状態です。

テーパーを入れると、

  • 指皮の回復

  • 腱・靭帯の微細損傷の回復

  • 肩・背中の緊張緩和

が起こり、勝てるし、壊れない身体が仕上がります。


④ メンタルが研ぎ澄まされる

休むことは「怠け」ではありません。
むしろ、

  • 落ち着く

  • 自信が戻る

  • 冷静にルートを読む

  • トライ時に攻めきれる

という精神面の調整につながります。

特に真面目なクライマーほど“休む勇気”を持つ必要があります。


■ テーパーの実際(例:本番3~7日前から)

日数 内容
7~5日前 高強度1回(短時間) + 軽い登りで終える
4~3日前 低〜中強度のムーブ確認。長時間登らない
2日前 ごく軽く身体を動かす or 完全休養
前日 完全休養。メンタルの準備、ルートのイメージ

■ 結論:クライミングこそ「テーパー」が効く

クライミングは技術・筋力・神経系・意思決定が複雑に絡み合う競技です。
だからこそ、

「ガンガン登る人」より「賢く調整した人」が強くなる」

という構造がはっきりしています。

  • 最終日の1トライのために

  • 数週間の努力をムダにしないために

  • ケガを防ぎ、安全にパフォーマンスを高めるために

テーパーはクライマーにとって最も“コスパの良い”戦略です。


「登りたい!」というFC自我の後に、 本来は どうしたら安全に登れるか?をA自我で考える 必要があります。

子どものころから、私は、行動力のある女の子でした。思いついたらすぐに行動する。

なんと3歳で、大人でも自転車や車で行くような距離にある、パン屋さんに一人でパンを買いに行ってしまったんですよ…。

アーモンド形のパンが大好きで、これください、と出かけたんですね。

結局、迷子で警察に保護され、母が迎えに来て、えーん!ってことになりました。

昔からやっていたんですねぇ…。

その時は、たぶん、深い考えはなく、そうだ!あのパンを買いに行こう!っていう行動力でやっただけです。

■好きに向かって走るには?

その資質でやったのが、英語の習得、バレエ、そして登山とクライミングなんですよね。

これやろーって思ったら、素直に飛びつく資質…

「心が動いた瞬間に、パッと行動してしまうワクワクのエネルギー」

「知らない世界に自分から踏み出す勇気」

「冒険心と好奇心」

の3つです。そこに、大人としての戦略力(A自我)が追加されると素晴らしい成果が出ます。

英語の習得では、アメリカで暮らすことになりましたが、パッと行動してアメリカに行き、その後はA自我が大活躍で、いろいろな危険な目にあいましたが、A自我で無事乗り切りました。

登山もクライミングも同じでした。

そもそもあまりリスクがないバレエやヨガでも同じかなぁ…

たとえば、バレエでは、普通の人は辞める19歳で習い始めたのですが、翌年にはアメリカにいたので、カリフォルニアではウォルナッツクリークの市民カルチャーコースで、バレエレッスンに参加しました。とっても太った中国人のバレエの先生だった。でも、バレエ2年目で、外国のクラスを取っているんですよね。その後、日本では、世界的なコリオグラファーのジョン・ノイマイヤーの通訳をしました。

ヨガでは、そもそも、外国のクラスが初めて受けたヨガレッスンって感じでした。メルボルンでヨガを習って、その後、山梨でヨガの先生になりました。その後、ラジオのYBSで声のヨガの出演を一年やりました。

クライミングでも、登り始めて3年目で、ラオスにクライミングに行き、4年目で台湾に登りに行っています。その後、UIAAにメールを書き、世界的な登山の教科書の出版契機をつくりました。また、レジェンドクライマーの故・吉田和正さんの最後のビレイヤーになってしまいました。

というわけで、”ポイっと行く、のは、私にとって、幸福度が高い選択肢です。万人にはお勧めしないですが。

■アダルト自我を使うところ

アメリカでは、オペアとして働きながら暮らしましたが、行ったときは財布に2万円しかなかったけれど、それはまずもって問題ではないという判断でした。なぜなら、住むところは決まっていたからです。とても評判が良かったので、1年で流しのベビーシッターになりました。

登山では、しばらくは、”晴れ専門登山者”として過ごしました。その後、あれこれ分かるようになってから、雪山専門になり、アイスクライマーになりました。そもそも山に登る理由が雪山が好きだったから。無雪期の山に興味はほとんどありませんでした。最後は韓国で氷瀑を登って、コンペでは5位でした。

ロッククライミングでは、リスクを取る前に、ちゃんと1年の講習会に通いました。クライミングシステムは世界共通なので、その後、海外で登って、友達いっぱいできるかな!な世界に。

3歳と同じ行動していたら、そりゃ成長していないってことですよね(笑)。

■クライマーが死ぬ理由

多くの人は、

冒険したい気持ちと、安全でいたい気持ちが

葛藤してしまいます。

でも、たぶん、使い方が違うんですよね。

心が動けばそれをやる

だけど、まてよ?と考え、準備と判断は抜かりなく

すると、結果もついてくる

これが楽しく行動力、FC自我を利用して生きるコツです。

使うのはA自我で、A自我の代わりにAC自我を使うと失敗です。

迎合するってことなので。

クライマーが命を落とすのも、仕組みは同じです。

「登りたい!」というFC自我の後に、

本来は どうしたら安全に登れるか?をA自我で考える 必要があります。

ところがそれをせずに、

AC自我で「みんなと同じにすればいい」と振る舞ってしまう。

でも、みんなと同じことをやれば、

みんなと同じ結果しか出ません。

そしてクライミングでは、その“みんなの結果”が

すでに危険を含んでいることがよくあります。


九州でみんなと同じにすれば、ほぼほぼ確実に詩に続く道ですよ。それは、『九州の岳人たち』という本に書いてありましたよ。根子岳の長い死亡者名リスト。

文化的ギャップ疲れ・・・その3

さて、さて、続きを書きます。

九州って、まぁ全般に、クライミング文化的な”超”へき地化している、って観察結果でした。

でも、実は、これ、ある程度予想していたんですよね。というのは、『日本登山大系』の西日本編がしょぼいからです。

ところが、米澤先生に岩場で出会い、本当の山やに会えた!と思いました。米澤先生のことは、HPの『福岡近郊の岩場』で知っていました。

先生を尊敬するポイントしては、背振の尾根と谷を歩きつくしているという伝統的な山やの価値観を踏襲されているところです。

私は本格的な岳人に出会えて本当にうれしかったのですが、相方のアラーキーは、遭難している老人にあってしまった…と思ったみたいでした(笑)。というのは、沢の一部でたたずんでおられるところに私たちが行き合ったからです。

私はそれで、さっそく、岩場のボルト提供を申し入れることになり…あれ?カットアンカーってことになりました。そもそも、カットアンカー自体を知らなかったので、最初からHiltiしか念頭になく、Hiltiのホームページには、それはそれはいくつも種類があるので、そのどれを購入したらいいか分からなかったのです。

それでJFAに聞くべし、みたいなことになりました。

■岩場自治

JFAに会費を払うより、自分が登る岩場のボルトを直接購入する方が、優れた支援方法です。

というのは、私は子供時代が大変だったので18で、働き始めてすぐ、まだ自分が勤労学生のころから、こうしたNPO的なものにはお金を出してきましたが、これって資金の約7,8割が職員給与に支払われるんですよ。私が出していたのはネパールの貧しい子供のフォスターペアレントになるという支援でしたが。ほとんど支援は職員給与に消えると知り、支援は辞めました。なんせ自分が勤労学生。支援される側です。

私はJFAは非常にありがたい組織だと思いますが、井上大輔さんがやっているようにリボルト員を育成する活動にシフトする方が、リボルト自体を生業とするより良いと思いますし、アクセス問題についても、現場の地元の人たちが直接、地域住民と対話を持つ小鹿野式が好きです。そのための、仲介者として手数料取ったらいいのではないかと思います。一件5万円とか。

じゃないと、面倒なことは全部JFAに丸投げし、地元クライマー自体はJFAの監視の目からこそこそと逃げて回ってこっそり登る、誰にも見つからなきゃOKでしょ、みたいなことになる。そのうえ、JFAに権力が集中して、まったくよろしくないです。

地方自治ならぬ、岩場自治みたいなのがいいですよ。

■岩場の個性

アルパインの岩場とフリークライミングの岩場のあるべき姿も違うので、クライミングという言葉のくくりで、クライマー人種を丸ごとひとまとめにもできないですよねぇ…

たとえば、アイゼンのガリガリ痕。アイゼンで登るなっていうけどさ、フリークライミングのレベル感の岩場では、そもそもアイゼンで登れないですよ。

初登がクライミングシューズの岩場では、アイゼンで登ることができるような難度にないので技術的に不可能です。

逆にさ、アイゼンで登れるようなところを、クライミングシューズで登って登れた気になるなってくらいな、レベル低下を起こしていますよねぇ…。

それって、クライミング最弱者の私ですら、アイゼンで登れたところは、クライミングシューズなら、2度目からはリードですよ。

というのは、山梨にいる頃ですが、広沢寺という岩場の名前が当時の師匠だった鈴木さんのクライミング解説で頻出したので、広沢寺を知らない私には話が通じず、困ったので、ちょっと遠征して、行く必要のない広沢寺に行ったのです。

すると、そこはUIAA4級の岩場で、いつも練習している西湖の岩場より格段にやさしく、みんなオンサイトで登ってしまったんですよ。そしたら、下から見ていた人たちが拍手を送ってきたのです…え~こんなんで、ほめられても…って感じでした。

山梨では私は、へたくそ組だったんです。

つまり、フリークライミングの初心者は、アルパインクライミングの中級者なんですよ。

5.9はフリークライミングでは入門グレードですが、アルパインクライミングでは中級者です。

■5.9の意味

男子なら、フリークライミングの5.9は特にムーブを必要とせず、普通の腕力と体系、リーチがあれば登れるグレードのことが5.9です。(女子は違います、念のため)

私のいた御坂山岳会では、のっぽの30代新人は、5.8もまともに登れなかったので、私は最初から、会の新人の中では登れる人でした。というか、クライミングは危険だから登りたくないというのが彼の在り方の正しい表現だったでしょう。彼はクライミングはあぶないからしたくないっていう先入観が強かったんですよね。なので、

ほらみて、40代の女性でも登っているよーと、彼を奮起させるために使われた人材ってのが私の正しいポジションでしょう。

一方、同じ時期、私はジム(主にピラニア)では全く登れない子グループでした。だからこそ、ジムに行っていた感じです。ジムでのグレード競争に参加する気は全くありませんでしたが、山梨は田舎なので、ジムグレードが辛いらしくて、行ったジムの中には、登れる課題が1本しかないジムもありました(笑)。翌年行ったら2本に増えており、成長を感じた。

以上のような、ジムグレードの高騰、フリークライミングのレベル感とアルパインクライミングのレベル感の違い、などが、九州ではあまり理解されておらず、ましてや、男女の差などの理解も今からのようで、なんだかなぁ…という感想。

■大蛇山

とくに、日向神の大蛇山の件は、とくに嫌だと思った件でした。

大蛇山は、10cでしたが、私は3便ほどで登れましたが、一か所ボルトが遠いのです。長ぬんで伸ばしてもらうと掛けやすいです。

九州では、これがずる扱いなのです。体格によるリスクの差が理解されていない…。山梨では人工壁ですら、体格によっては長ぬんでしたけど…。えー?でした。

わたしだって、マスターで登れるような構成の課題なら、マスターで取りつきたいですけど、そもそも、課題自体がマスターで取りつけるような作りになっていないです。

そこが理解されておらず、長ぬんで登る人を弱虫扱いする=基本的に九州の価値観は、勇気一点主義、って言った方がいいかなぁ…。

でも、クライミング界の最弱者の私に要求します??

なんか競争相手として使うべき人が違うと思いますけど…?

しかも、登ったら直後にリボルトになりました…。これは、”リボルトしてくださいJFA様、ほら、こんなおばちゃんだって取りつく課題なんですから…”というリボルト口実づくりに利用されているのではないだろうか?と思いました。

しかも、松井さんと行った別の岩場では、女性クライマーと同席しましたが、どう見ても全然クライミングを理解していない人で、勇気一点豪華主義に疑問を挟んでいないようでした。そんな人とパートナー組めません。

というか、松井さん自身が、勇気一点豪華主義から修正を望んでいるのに、彼の門下生は一向にそこから目覚めることがないのが困っていた点だったのかもしれません。

岩登りに必要なのは、勇気より、大人としての理性、知性の方なんですが。

リスク認知をどうやったら教えられるか?悩んでいたのかもしれませんね。

しかし、だとしても、わたしに期待するのはちょっとお門違いでしょう…。期待はしていなかったかもしれませんが。どっちにしても、彼の課題でしょう。自分の会なんだから。

というわけで、私には、九州ではクライミングそのものが、かなりストレスフルな経験でした。

■まとめ

良かったのは米澤さんとのクライミングのころだけです。それも後で、ケガをしたパートナーに配慮がないということで終わりました。

  • クライミング文化の地域差

  • 男女差の理解不足

  • フリーとアルパインのレベル感の違い

  • 安全性への配慮の不一致

  • “勇気一点主義”という価値観

  • ボルトの遠さや長ヌンの扱いについての認識差

  • 怪我をしたパートナーの扱いが雑

など、多くの“不一致”が積み重なっています。

その中で私は、自分の技術や経験が否定されるような扱いを受けたり、あるいは「利用されているのでは?」と感じさせられる出来事に遭遇したわけですよ。

これはストレスとしてはかなり大きいものです。

心の中で感じた、

「なんで私が?」
「そこじゃないんだよ…」


という違和感、悔しさ、疲れ…が極限まで積みあがりました。

こうしたものが鬱の原因になったんですよ。白亜スラブの件だけじゃなく。

“弱い側”として蔑まれつつ、実際には、“都合よく強い側”として使われた、ということなんですよ。

実際には、

  • 長い期間、アルパインも含めた多様な経験を積んできて

  • 自分の身体的特性も理解した上で

  • リスクを冷静に判断しながら登ることができる

これは私が“弱い”のではなく、むしろ普通に、成熟したクライマーのあり方です。

それにもかかわらず、

  • 長ヌンを“ずる”と扱われる

  • 登りがリボルトの口実として使われたように見える

  • 「勇気一点主義」の文化の中で、技術や合理性がバカにされる

こうした扱いは、私の評価としてはなんか、不当ですし、利用されているようにも感じられて当然ですよね。

しかも、私は松井さんから預かった大学生男子の小川山デビューまでやってあげたんですからね。

そもそも、もっと感謝されていい行為なのに、逆に馬鹿にされるなんて変ですよねぇ?

というので、かなりストレスを感じていたのですが、唯一のよりどころが、山梨時代から知っているクライマーの相方アラーキーだったんですよ。

彼は、私とは違い、普通にギリ5.12に手が届くかみたいなところでした。男子としては普通です。特に筋肉質でもない文科系出身の私ですら3年取り組んで、5.11がギリ届くところ、なので、男女差を考慮すると普通。

男子で5.11代ノーマルってのは、女子で5.10代ノーマルと変わらないです。なんせ男性のほうに合わせてグレード自体が、つまりモノサシ自体が作られているからです。

で、彼は、”特待生”扱いだったんですよ。そこも、まずもって謎でした。

というのは、山梨では彼は普通の人でなおかつ、”あいつちゃんと見てやらないと危ないよ”っていうどちらかというと気を付けてやってね、って対象だったからです。

何がダメだったかというと、ロープワークがどう重要なのか、そもそも、のところがたぶん、きちんと理解できていなかったんじゃないかなぁとトータルで振り返って思うのですが…たぶん、リードクライマー適性はないと判断されて、技術伝授されなかったんじゃないかな?と…。

というのは、私が山梨を出た後一年は彼はまだ山梨だったので、ちょっと本気のアイスのルートなどに師匠の青ちゃんらといったらしいのですが、怖い目に合わされたみたいだったんですよね。

つまり、そんな雑なクライミングをしていたらマジ痛い目にあうぞ、めっ!って経験。

子どもでも、男の子はほんとに痛い目に合わせないと懲りないってありませんか?女性は痛い目に合う前に学習するけど。

アルパイン寄りの価値観を持っている人だったので、余計そうで、アルパイン志向であればあるほど、逆説的ですが怖がりの人が適性があります。アルパイン志向でイケイケだと死への最短距離って感じです。

でも、アラーキーにはお世話になりました。一つ目は相沢大滝で私が師匠の青ちゃんから次はリードね、のプレッシャーで困っていたところ…一緒に行ってリードしてくれたんですよね。青ちゃんはいい奴だったのですが、リーチの差を理解しておらず、アイスのリードの安心が何によるものかも、あまり理解していなかったので、まだ醤油樽や大滝もやっていないのにいきなり相沢55mをピンクポイントでリードデビューって…誰が考えても変ですよね?みたいな感じでした。

いつも疑似リードなしで、プロテクションの技術を与えず、俺のプロテクションでリードしろなのです。

これはトラッドでもアイスでも同じで、これじゃ全くリード取れるようになるわけがないです。プロテクションがあいまいなまま進むのが一番危険だからです。

保険にならないロープを頼るなんて馬鹿のすることです。

あ、話を戻しますと、私が危険な目に合いそうな時に助けてくれたのです。男の鏡!だって、私が危険に陥れられる理由は、男女差の無理解さのところなんですから。

相沢ではその後ふつーに55mではない、普通の距離の無名の滝を青ちゃんのビレイでリードしました。青ちゃんは、ビレイしているだけなのに怖くて怖くて、涙目になっていました。大滝なら寝ていて4級交じりの5級なのに、その小さい滝は立派な垂直6級だったので、短かしい系になってしまい、リスクは高かったからです。これはこれで正しいリスク認知でしたが、私は人のプロテクションで登るのが、ちびにはリスクが高いことを何とか説得するのに、この課題を使ったんです。みじかくて難しくても、プロテクションが自前のほうが、安全で長くて、プロテクションが人の課題より価値がある。それが現代クライミングですよね。

というわけで、青ちゃんでは苦労しました。身を張って、自分のクライミングを主張しないといけない羽目になった。

なんでわからないんだろう…とずっと思っていました。

ちなみにですが、アイスでは、アラーキーよりも私のほうがムーブでは上です。

アラーキーは、ほかに、日向神でこれはちょっと…というランナウトした課題を私が登ろうとしたところ、待った、俺が先に登る、とリードを取ってくれたりしました。のでとても感謝しています。

が、九州クライマーからの特待生という扱いに本人もなびいたことには、疑問でした。

■え?ギンちゃんがひよっこ?!

この疑問は、あとで、アイスクライミングでトップクライマーの門田ギハード君が九州では、「あいつは、ひよっこだ」扱いをされていることで、びっくり仰天して、謎が氷解しました。

ギンちゃんとは私は岩根アイスコンペに出た関係で何度か会っており、私の理解では、今を時めく旬の成長中のクライマーでした。アルパイン出身というのも良かったし、九州に来るまで知らなかったけど、大分出身のクライマーでした。

で、ギンちゃん世界レベルで登っているのにひよっこで、アラーキーが普通の人なのに特待生ってなんで?ってなりますよね。

この評価逆転現象を知り、もしかして、重鎮たちは、登山歴数年の私よりも、現代アルパインを理解できないのではないか?と思いました。むしろ、昔のアルパイン経験が邪魔になっているのかもですね。

今の冬壁って、冬手袋で岩に登っていた時代のとは違うんですよ。

今では、アックスでドラツーの技術を山に持ってってるんですよ。5000とか6000とか。もちろん嵐で雪洞泊3日、みたいなのもやってらっしゃますが…。冬壁やる人はみんな、ピッケルとアックスのハイブリッドみたいなクオークでこなしています。中山尾根だってクオークの時代ですよ。

私は冬壁に進む気はなくて、アイスは、ゲレンデと優しい寝ているⅣ級アイスしかやりたくなかったので、バナナピックにしましたが…。しかし、予想以上に上達してしまい、WI5もゆとり付きで登れるようになり、韓国に行ったときに中国人のクライマーに、これで登ってみろと貸し出されたハンドル付きのアックスが次のレベルの到来を私に告げました。

というわけで、私はアイスではある程度のレベルに到達したので、”さー、フリーで頑張るぞー!”と思っていたわけですが、九州はフリーで強くなるには、全く適さない環境でした。

いやはや、ひどい目にあったぞよ。

■古い価値観の土地で身を守るには

九州のような価値観の土地でひどい目に合わないためには、男性で最低は5.12をやっているレベル…現代ではごくありきたりな、普通のレベルですが…でいる必要があり、女子にもそれがなぜか適用になります。結果、女子に超厳しく、男子に甘い世界になっている。

私は本来、普通に対等に一緒に登れる仲間が欲しかっただけですが…

  • 技術や安全観を共有できる仲間がほしい

  • 男女差を理解してくれる人と登りたい

  • 長ヌンを“ずる”ではなく合理性として見てくれる人がほしい

  • 勇気だけでなく技術と判断力を尊重する文化と関わりたい

これらはとても健全な願いです。

人がスポーツを続けていく上で、価値観の合う仲間に出会うことは極めて重要ですね。

九州の文化が私に合わないのは、私のせいではない。

しかし、九州にいるわけなので、何とかしないといけないわけですね…

■水泳

それで、水泳をすることになり、まぁ良かったです。これでクライミングをしなくても、私の運動ニーズは充足されることになった。

水泳では、先生80歳なんですよ。すごいですよね~。しかも女性ですよ。

もう、素晴らしい。リン・ヒルでいくつですか?65とかでしょう?まだ登っているのはえらいですが、教えていないんじゃないかなぁ?

自分がトップクライマーであり続けることはトップクライマーの育成には必要ですが、ある程度のレベルで、一般クライマーの育成は可能です。

トップクライマーの育成より、一般クライマーの育成のほうが指導する側のスキルとしては上が要りますよ。なんせ、一般クライマーって分かっていない奴らなんで。

水泳だって、育成コースってのがあるんですよ。そっちはトップスイマー用の育成です。

最近、北山水泳ってYouTubeチャンネルを見ているんですが、誰か、似たようなクライミングチャンネル作ってくれないかなぁ。そうすれば、きっと九州クライミングのような、トップレベルのクライマーが下で、普通の人が上みたいな勘違いがなくなるんじゃないかなぁ。

私はエリートクライミングに行きたいと思ったことは一度もないです。当然でしょ、39歳で登山を始め、43歳でクライミングをスタートしているんですよ?

そんな人に、「ねぇ、リン・ヒルって、ちびだけど5.13登るんだよ」とか「谷口ケイって知ってる」とかって言ってくる人が謎でした。

俺なんて…という劣等感を、私にも、感染させようとしてきてるとしか思えない。知ってるけど、比べて劣等感、持つはずがないでしょう。

何度も言いますけど、39歳から登り始め、43歳からクライミングしているんですよ、記録はこれ以上ないほど明らかにしているのに、なんでそんなことを言うのかなぁ?

私が登ってきたルートを同じように登れば、誰でも私と同じレベルに到達すると思いますよ?

■昔の初登ルートは現代の入門ルート

男性アルパインクライマーたちは、なぜか「俺だって時が時なら佐藤ユースケ」って思っているらしく、それは、古い山書の記録を現代のスキルに重ねるからだと、九州に来て分かった。現代的なレベルで登っている山書がないので、アルパインを登る人は、昔の本を読むしかありません。

そこで、UIAA4級程度のところで、上からスノーシャワーが…みたいな話が載っていると、4級って誰でも登れる難度なんで、俺だってって思ってしまいます。これは、山梨時代もジムクライマーは思うみたいでした。でも、5.11が楽に登れるという梨大生、山岳部新人君たち、北岳バットレスに行って、13時間もかかっていたんですよ。え?!でしょう。

のぼれて、ロープワークができて、体力があっても、ルートファインディング力がないと四尾根と思って2尾根に行ってしまったり、ちゃんと4尾根に取りつけても、迷って時間がかかったりするんですよ。あの時の梨大生は、下山一日遅れになっていました。

まぁ、佐藤ユースケさんのすごいクライミングのすごさは、山梨県民でも理解できないみたいでした。そもそも、理解できないから、一般クライマーどまりなのだ、ということが分かった。

九州に来て、九州のアルパインクライミングの意味は、全部ボルトを使ったエイドのことなのだということが分かって、納得しました。

それってエイドクライミングとは言うかもしれないけど、アルパインの価値を踏襲しているとはとても言えない。

なら、小さくていいから、未知のところを行く方がいい。それもオールフリーで行こうと、すくなくとも、一応考えておいた方がいい。ぜんぶ、エイドで行くつもりとかってあんまりです。エイドは保険で出すものですよ。記録にもエイド出したらそのこと書いてよね。

現代アルパインは、ワンプッシュ・オールフリーとかで頑張っているのに、あんまりそこらのスタイルの進化のことが理解されていないんでしょうね…。全国的に。

年がら年中、5.12を登りきるのにハングドッグしてうんうん唸っているのがフリーだと思っているから、こうなるんだということが分かりました。

それ何年続けても、5.12波状攻撃が、5.13波状攻撃になるだけで…全然アルパインの文脈で進化しない

だから、進化した人のすごさが理解できない。だって、5.12でいいのなら、おれだってやってるよ、ってなりますよね。佐藤さん、フリーソロですよ、6時間ふつうに山を登った後に。しかも、アレックス君以前にですよ。みんながUIAA4級でやることを、5.12でやっているのが別次元だと思ったけどなぁ。

そんなこんなで、結局、やっぱりへき地なんだ、文化的辺境なんだ、ということが確認できたということなのかな?

九州文化とのギャップの疲れ?が私のうつ病の大きな部分を占めていたことは確実です。

ギャップの内容はこのようなものです。

  • 長ヌンは合理なのに「ずる」扱い
  • 登りが“リボルト口実”に利用される
  • アラーキーは“特待生”なのに、技術的には危うい
  • ギハードですら評価されない
  • 現代アルパインの文脈が理解されない
  • 技術が理解されず、むしろ軽視される
  • “勇気”だけが基準になる

あー疲れた。これを解説するのでも、結構疲れました。

2025/11/18

回想録2…40年前のボルトと山岳会の衰退…地方アルパインが抱える深刻な問題

さて続きを書きます。

クライミングで、ひどい目にあったよ!ということなんですが…。

■日本全国Ⅳ級A1

その原因の最大のものが、福岡ではアルパインクライミングが、全国4級A1と菊地敏之さんが称する、冒険も何もないものとなってしまっている点にあるように思われました。結論から言うと。

九州には当然雪山はないので、冒険の方向性が、どんだけ命がけに耐えれるか?みたいな方向性に行ったんではないでしょうかね??

冒険って、知らないところへ行くのは冒険なので、もしかしたら九州で発達すべき冒険性は、洞窟とか地中、とか、そういう方面なのかもしれません。とにかく未知の場所。

未知の場所にロープを伸ばしていいれば、ボルトがあるから大丈夫、みたいな発想はそもそも出てこなくなって、非常に良い結果を生みそうだと思います。

まぁ普通のハイキングの山からステップアップする方向に、魅力的なものがないということになるんですが…それは大阪から西は同じみたいでした。まぁ、あったかいから。

でも、広島とか岡山とか年中あったかくて登れるので、クライマーは強いですよね。それで宮崎では、ボルダリングってことになっているんだと思いますが…。

比叡のオールドクライマーが、小山田大さんを非難する様子を見ると、わたしはどちらかというと、親父の側の世界観が古いままで、むしろ老害となっているのに、儒教的価値観の強い土地で、誰もそれを指摘できないでいるだけのように思えました。

大ランナウト大会の比叡の岩場のようなのは、そういう岩場だと自己認識して取り組めば、若いクライマーにもそれなりに得るものが多い、岩場だと思うのですが、前提となる”そういう岩場だ”という知識が、山岳会を経由しない現代クライマーには与えられないわけで…それじゃ事故になって当然ですよね。

宮崎の岩場と言えば比叡、みたいなことになって、全国から、「ボルトがある♪」という、自分でプロテクションを打つのは今からだが、とりあえずマルチピッチを登りたいみたいな人たちが来ることになるのではないかと思ったりしました。ボルトがあっても、ペツルじゃなくて40年物のカットアンカーなんですよ。

それを公式に認めていれば、よき岩場になると思います。

■三つ峠

本州にある三つ峠は、ボルトですらなく朽ちたハーケンが、あちこちにありましたが、たぶん、あれは取り除くこともできないし、あれば目印にはなるよなっていうので、残してあるのではないかと。

私は三つ峠も通ってあれこれプロテクションをつけ足して最初から登っていたのですが…最初はカムは持っていなかったのでスリングがもっぱら活躍していました。三つ峠は、クライミングシューズではなく、登山靴で拓かれた岩場でした。

大学山岳部も、山岳地帯のでの岩登りの練習のために、来ていました。大人の初心者も、大学生も、登るのは同じようなところで、ロープワークが時間を食うメインの要素なので登攀スピードも変わらず、体力の差はほとんど出ないのでした(笑)。

つまり、全員がオタオタしているって意味です。

一般に初めての人は過剰にビビらさせられており、私は三つ峠で師匠の鈴木さんをハンギングビレイで確保していたら、相方候補生の女性クライマーに、「よく平気でぶら下がっていられますね」と言われました。

え?ビレイステーションって、パーティ全員の最後の砦、って習ったんですけど…。

その人は、岩は、トップロープでしか登らないのに、後日沢に一緒に行ったら、プロテクションが取れない、沢のへつりでどんどん先に行っちゃって、えー、あぶないよーって感じでした。降りておいでよーって声を掛けました。

まぁ、このように何が危なくて何が危なくないのか?いまいちすっきりと切り分けられていないのが、初心者クライマーの誰もが通る道かもしれません。私も通ったと思いますし。

ただ師匠の青ちゃんは、クライミングは分かればわかるほど怖くなるっていっていました。

そういう、怖くなってきたんだね、クライミングがより分かるようになってきたんだね、みたいな態度が一切かけていたのが九州。

初心者の私の目や私の耳からしても、え?その理解は間違っているのでは?ということがかなり多かったです。というか、ほとんど全部のセリフがそうでした。

そのような発言が多かった方の一人が、熊本の会のアソボウという会の会長さんだったのですが…大変よくしてくださったので、理解のまずさを指摘するのは心苦しいですが…やっぱり、変だったと思います。

■米子沢と体格

彼に初期のころ米子沢を誘われたんですよね。誘われたというか自慢気に行くことを語られたというか…

米子沢という初心者向けの沢があるのですが…私は山梨にいるときに、山梨山の会の和唐さんに誘ってもらったのですが行きませんでした。というのは、私のリードになりそうな気がしたからです(笑)。

大体の人が、背の低い人でもスラブなら楽しめる、ならどこか?と思っているんだろうと思うのですが、背が低いとスラブも危険ですよ。

スラブでもスタンスが限られることが多くて、実際は、背の高い人よりも、背の低い…というか足の短い人のほうが、ハイステップになってしまい、バランス感覚では高度なものが必要になるんですよねぇ…

相手は良かれと思って、喜ばせようと思って選択してくれているんですが…。背が小さいということは、リーチが短いということだけではなく、一歩の幅が小さいってことなんですよ。

以前、大堂海岸に相方のアラーキーが連れて行ってくれましたが、二人でいろいろエリアを偵察したんですが、アラーキーが飛び石でジャンプで行けるところが、私はジャンプで行けない…ボルダーを一回降りて、そしてよじ登らないといけないんですよ…。

これ私だけではなくて、怖いもの知らずクライマーで知られるバタちゃんこと川端さんも同じだったみたいですよ。もうルートの基部に行くだけで、私の場合、ボルダリング課題をいくつもこなした後になってしまいます…

そんな具合に、クライミングにおいて、体格が支配するあれやこれやの違いを、大体の男性クライマーは全く理解していないようでした。特に背が高い人。

悪気があるのではなく、全然理解していない。それだけ。でも、無理解がリスクになっている。

■家族クライマーは安心人材

その点が、家族クライミングを経験している、お父さんクライマーは違います。

自分の子ども…男の子であれ、女の子であれ…まだちびっこの間から岩に連れて行って、のぼれるかなぁ~?と子供の安全を注視しつつ登らせているわけですから…。クライミングは自己責任、なんて子供にはありません。クライミングは親の責任。子供がクライミングで怪我でもしたら、させた親の100%責任です。

それで体格が小さい人がどれくらい登れるか?が分かるようになるみたいなんですよ。

山梨では、このことに、佐藤祐介さんと娘さんのさやかちゃんにボルジムであって理解しました。まだ小学生だったと思いますが、「さやかに登ってもらうとお客さんがどれくらいのぼれるか、大体わかるんだ」と言っていました。

私とさやかちゃんは大体同じくらい登れたので、そうだなーと思ったんですよね。ボルダリングの5級です。

というのは、私は新人クライマーの中では筋がいい方で、西湖の岩場という山梨では新人用の訓練の岩場がありますが、2度目からリードで登っていたからです。あそこは登れないで敗退になる人がいます。大体が太っているか、いないかが分かれ目のような気がします。

太っていないということが、どれだけ登山からクライミングへの移行にとって重要かって意味です。

太っていないでは合格でしたが…(笑)。(=初めてでも、5.8はリードで来たので。)

身長では失格でしたね…。(=5.9が確実に登れるまで3年かかりました。

体格で様々な不利があることが、男子は大体わからないですが、このことは古い登山の本や、クライミングの本では

「足がそろっているパーティならば」という書き方をされることが多いです。

婉曲表現すぎて分かりにくいです(笑)。

■食担

私がいた御坂山岳会では、足はそろっていないで、いつも足手まといになる人がいましたが、そういう人はたいていは食事担当をやったりして、みんなに「なら、仕方ないか」と思ってもらうためにやっているかのようでした。

なので、食担がローテーションではなく、固定制度の時は、その人はごまめの可能性が高いです(笑)。

あ、背の低さについての理解が低いという話から少しそれましたが、要するに、体格によって、様々な個性がかみ合うということです。

■熊本は山岳文化県ではない

で、熊本に話を戻すと、もしかすると、熊本では、山岳会の衰退がなおさら激しいのかもしれません。

また、信奉している登山のスタイルも、40年前からアップデートされていないのかもしれません。

というのは、私は熊本では優秀な生徒が行くことになっている熊本高校の出身なのですが…高校時代、私の同級生は、山岳部でしたが、一人だけだったんです。

仲良しの男の子で親友だった。彼は、重たいザックを背負って階段を上ったり下りたりするのが山岳部の活動でした。私は当時、文学部、兼美術部兼、となりの演劇部の大道具のお絵描き担当だったのです‥‥。まさか、年を取ってから本格的な登山に進むとはまさか思いませんよね。

まぁこのような私の世代での山岳部の廃れ具合を考えると、もしかして、熊本県の山やの廃れ具合は福岡を凌駕するもの、だったのかもしれません。

でも、いわゆる古典的なアルパインクライミングや山岳部みたいな山をしないで、日之影町のボルダリングだけでも、九州のオリジナル山岳スタイルとしては良いような気がしますが。

だって、ボルダー全盛期ですよね、ここのところ長らく。

日之影ボルダーは熊本からもアクセスが良く、トポの整備などは熊本のボルジムの方がやっていたと思います。

アソボウで、一緒に登ってくれたMさん、ほんとにありがとうございました。たぶん、私の期待するクライミングのベテランの姿とMさんがいまいちマッチしていなかったのは、現代的なアルパインを身近に感じる環境にないからではと思います。

ホント山梨では、フリーでもアルパインでも、つよつよの一流クライマーがうじゃうじゃいるんで、自然に、本格的なクライマーってこんな感じっていうのが、うかがえるんですよね。

そういう環境がないと、スラブで流して止めてあげるよーみたいな時代錯誤のセリフを言わざるを得ないようなクライミング理解になってしまうかもしれません。きっと古い本で勉強したらこうなるんじゃないだろうか?

まぁ、要するに登山の文化的にはへき地だから仕方ないよねっていうのが総合的な結論です。

きっと、クライミング以外でも、ありとあらゆる分野で同じ構造が発生して、地方都市の文化の成熟を妨げているのではないでしょうかね?

地方が地方のままでいるわけというか…

というので、私を恐怖のふちに追いやった九州クライミングですが、まぁ仕方がなかったんだろうなぁと。

私は別にクライミングしなくても、水泳で全くハッピーに過ごせます。

そもそも、クライミング自体が山梨での生活を快適するために始めたものでしたから。


これはクライミング界でこれまでに見た中で最も革新的な製品でしょうか? | ギアショー特集


1. Omega(オメガ)の開発背景と目的

「Omega」は、既存のアシストブレーキデバイスの利点を持ちながら、特にハードコアクライマーが抱える問題を解決するために開発されました。開発者のダニエル・ゲーブル氏は、主に以下の課題に対応したいと考えました。

  • ロープの引き出しの重さの軽減:ルートが長くなるほど、ロープ摩擦が大きくなり、ロープを引き出すのが困難になる問題 [01:48]。特に、最初のクイックドローでの大きな角度によって生じる摩擦を減らす必要がありました [01:53]。

  • ビレイヤーとクライマーの体重差の調整:体重差が大きいパーティーでのビレイを容易にするため [00:54]。


2. Omega(オメガ)の革新的な特徴

Omegaの最大の特徴は、**「プーリー(滑車)」**が組み込まれている点です [02:42]。

  • プーリーによる摩擦低減(登攀時):ロープに荷重がかかっていない状態(クライマーが登っている時)では、ロープがプーリーの上を走り、システム全体の摩擦を大幅に軽減します [02:47]。これにより、ロープが非常にスムーズに流れ、特に長いルートでのロープの引き出しが容易になります。

  • アシストブレーキ機能(落下時):落下して荷重がかかると、プーリー機能が停止し、ロープ摩擦が増加して停止させるアシストブレーキデバイスとして機能します。

  • ビレイヤーの壁への衝突防止:プーリーにより初動の摩擦が減るため、フォール時にビレイヤーが壁に引き上げられる(ロケットのように加速される)のを防ぎます [02:30]。


3. 体重差調整機能

Omegaには、ビレイヤーとクライマーの体重差を補償するための調整機能が備わっています [03:05]。

  • 調整可能な補償力:デバイスのスリングを前方に動かすことで、摩擦の度合いを調整できます [03:51]。

    • 低摩擦モード(最小補償):約10kgの体重差を補償 [03:51]。

    • 中間モード:約20kgを補償 [04:05]。

    • 最大モード(3つのプラス):30kg以上の体重差を補償 [03:55]。

  • ビレイの調整を容易に:既存のデバイスでは、ビレイヤーが自分のビレイ方法を体重差に合わせて変える必要がありましたが、Omegaではデバイス側で調整できるため、ビレイヤーの行動を変える必要がありません [03:40]。


4. 落下テストと結果

ドロップタワーでの落下テストを通じて、Omegaの機能が実証されました [06:06]。

  • Omegaなしのテスト:ビレイヤーが壁から2~3m離れた位置でビレイし、落下を受けると、ビレイヤーが大きく引き上げられ(約3m)、クライマーが床に接近しました [06:30]。

  • Omegaあり(30kgモード)のテスト:同じ条件でOmega(30kg補償モード)を使用した場合、ビレイヤーは後方に引きずられる量が減り、クライマーも地面から約2m離れた位置で停止しました。これは、ビレイヤーが前方にステップを踏み込むことでダイナミックキャッチを生み出した結果です [07:50]。

  • 体重差調整の比較:10kgモードと30kgモードでの比較テストでは、体重が軽いクライマーを想定した場合、10kgモードで明確な違いを感じ、ビレイヤーが壁から離れた位置でビレイしたい場合は30kgモードが推奨されました [09:25]。


5. その他のメリット

  • 初心者クライマーにも有用:デバイスの誤用によるリスクを軽減する追加の安全機能としても機能し、ビレイヤーの責任の一部をデバイスが担うことになります [04:37]。

  • マルチピッチクライミング:軽量であるため、マルチピッチクライミングでも、体重差のあるパーティーでのビレイパフォーマンスを向上させる可能性を秘めています [05:36]。

  • 目標:単にフォールを防ぐだけでなく、短くソフトなキャッチを実現する「マスタークラスのビレイ」を目指すためのツールとして紹介されています [10:26]。

九州で起きたことのまとめ、その1。リスクとパートナーシップに関する考察

 最近、やっと脳内の神経伝達物質のケミカルバランスが整ってきたみたいで、やっと鬱抜けしつつあります。

いや~2018年からの2年間の頑張り、そして、2020年からのコロナ禍での頑張り、そして、2023年からのアキレス腱断裂とリハビリ…。

長いスランプ時代でした。その間、世界は激変しましたね。

ポリコレ政権のバイデン時代から、打倒DSのトランプ政権へ。戦争がいくつも起きて、世界中で本音の膿が出ていたみたいです。

■ラーキングフィア

昨日、平山ユージさんのラーキングフィアのFB投稿を見て、またちょっと気分が良くなりました。どこにも、ぶりっこや嘘がないと思ったからです。率直に描かれていたと思います。

気持が良かったです。

https://note.com/kinny2021/n/n90b008106d33?from=notice

これがここ最近の私にとってのクライミングニュースとしては、二番目に素敵なものでした。

一番うれしかったのは、台湾でトラッドのマルチを一緒に登ったタオが瑞牆に来て、山岸さんとつながったことだけど。

■水泳

私は最近、水泳で躍進中ですが、水泳の先生が80代のおばあちゃん先生で、先生の言葉に強く共感しています。昨日は、振替で水泳教室が月曜だったんですが先生はそうなると2連ちゃんみたいで、

「気が付いたら80歳でまだ教えているんだけどね。まだ2連ちゃんで教えてええんかいな―と思いながら教えとったんよ。やってみたら、できたね」

これが私が、アイスクライミングで躍進したときの気持ちです。

特に韓国のアイスに行く前の1年は、丸っきりアイスに触れておらず、ラオスに行った帰りに韓国に行ったのですが、「マジ、まだ登れるんかな~」って状態でした。

結果的には、ラオスで、自分の自由意思で課題を選んで好きに登れたので、アイスでも、心理的な抑え込みが取れて、すいすい登れました。

要するに、私があまり登れなかったのは、心理的なもので、「私にはまだリスクについて何か理解していないことがあるのではないか」という用心が働いていました。

それはその通りで、クライミング歴もまだ数年なのですから、菊地敏之さんのいう『最低5年は修行』にまだ到達しておらず、クライミング自体が持つリスクを全部理解したとは言えなかったと思います。

考えようによっては、その総仕上げが九州で…ということだったかもしれません。

■九州の”ベテラン”が怖い人ばかりだった件

私は最初、九州では老舗の福岡山の会にメールを書きました。そこでヒマラヤ経験もある方を紹介され、それでアクシオンという人工壁に行きましたが…そこで見た人工壁のクライミングが、まずへんてこでした。

どうも壁は、強化選手向けに優遇されているようでしたが、山梨と違って使用者試験がかなりいい加減でした。山梨でもいい加減と思ってはいましたが、結び替えとビレイは口うるさく言われたと思います。

九州でのおかしさは、人工壁なのに、中間始点に1点でぶら下がると文句を言われ、支点は必ず2個取るようにという指示が下ることでした。

え?人工壁で?と思い、ああ、これは指導者がいなくて困っているんだろう…ということで、この人工壁の指導の管理をしている人に、ボランティアしましょうか?と助力を申し出たくらいでした。

一緒に登ってくださったTさんはヒマラヤニストとのことでしたが、外岩は登らないみたいで、人工壁もまぁ体力維持の目的だったのではないでしょうかね?ずっと後で外でのビレイを見たら、壁から数メートルも後退しており、典型的な高齢アルパインクライマーのバッドビレイスタイルのようでした。九州では、山岳会のベテランという人のビレイはまずみんなバッドビレイで、信用できないことが多かったです。

これは、山梨では、違いました。私のいた御坂では、ビレイはみな確実だったと思います。高齢でも。

ただ、ロープの直径が太くて、え?!って感じでした。確保器に入らない。しかたないので、初めて行った前穂北尾根での懸垂下降では、カラビナでおりました。

先輩たちは、新人の私のロープを使うのを遠慮していたようですが、ロープは新しいほうがいいと思いました。先輩のは10.6で確保器に入らず、私のは9.4でごく普通に山岳用でした。10.6ってたぶん人工壁用なんですよね。

■登山とバリエーションへの橋渡しがうまくい行っていない

九州の話に戻すと、来てすぐのころは、ピナクルや山想会のリーダーの人たちと個人的接点がありましたが、どちらの会も私が参加するには、ちょっと無邪気すぎるように思われました…。

山想会は、初めてのバリエーション北鎌尾根で墜落死者を出しており、そのような経緯を再度作らないための何か良い手はないか?と模索しているように思われました。

私はこの会のトップを務められていた吉永さんには大変感謝しており、初めて行った脊梁山地での一泊二日の縦走は、南アルプスを思わせ、とてもいい山でした。

私の提案というか貢献として、最後一つ尾根を読図で降りたのですが…縦走登山の完成は、読図能力を身に着け、なんなら地図に載っていない水場まで下って水を取りに行けることなのですが…そのためには尾根を降りるスキルが必要で、そのとても優しいバージョンとして、登山道が並走している隣の尾根を一つ降りる提案をしたのです。まぁこの尾根、間違って変な方向に行っても、川に出るので川沿いを下れば、元の登山道に合流できるという安全なバージョンになっていました。

私が誰かをバリエーションルートにステップアップさせるなら…というので発想した、最も小さいベイビーステップがこれだったんですね。

なんせ前穂北尾根の前座、北穂池とかって、登山道がないんですよ。雪の山もそうですが、バリエーションルートを登るにあたって最初に抑えておかないといけない基礎力が、

登山道がない、という現実に対処する力

なんです。ほとんどの人がこれを、

行ったことのある人の記憶力に頼る、

で解決しているんですよね。だから、連れて行ってくれる人頼み、になります。

これじゃ本質的解決にならないんですよ。

そうじゃなくて、地図を見て、小さい尾根から降りてみる、です。場所は前述のように、多少間違っても、道路に出たり、川に出たりするように、フェイルセーフにしておきます。

それをやってみたけど、うちの会では無理、ということだったので、それなら、私は一生この会の人とはハイキングしか行けないなぁ、それで入会ってのはないなぁ、と思ったのでした。

■第一スーパー

その吉永さんに紹介してもらった女性クライマーがいたのですが、比叡の第一スーパーが好きだと言っていました。ただ、私は九州のクライマーではないので比叡の第一スーパーって言われても、その意味するところが不明でした。本州ならガマスラブ登れます、みたいな意味なんですかね?

第一スーパーは、ぶなの会の記録によれば、「日本の岩場」で 4級。つまり、フリークライミングの難度以前の優しい岩場なんですが、ただし、同記録には「ところどころノーピン(支点がない間隔がある)」「10 m以上のランナウト(支点間隔がかなり空いている)」という記述もあり、簡単だけど命がけ、みたいな感じなのではないかと推論しています。

ぶなの会記録では「要所にはペツルに打ち替えられており、落ちても致命的ではないが、カムや岩角を積極的に使ってリスクを下げて登った」とあるようなのですが、これが全くの勘違いの可能性が高いです。ペツルのハンガーで、ボルト自体はカットアンカーかもしれない。行って確認していないので、分かりませんが…。比叡のほかのルートはそうだからです。カットアンカーで40年物。

それなら、同じ300mのクライミングルートなら、韓国のインスボンのほうがボルトの強度の点で安心度が高いです。打ち足されていますし。それでも事故ってヘリ、飛んでいますが。

フリークライミングのレベルにステップアップして思うのが、登山からクライミングへ、ステップアップしたころに出会う、こうしたスラブ系ルートの

損したな感

です。

フリーで登れるようになるとフリーで登る難度のほうが楽しいので、クライミングというより歩く要素のスラブクライミングで、不必要に命がけになるルートが、なんか損してるな~って気がしてくるんですよね。

でも、ステップアップしたばかりのころは、熱烈に行きたくなりますよねぇ。それは分かる。山での自由が広がった感覚だからだと思いますが。

そういう人は自分の命が、命がけになっている点については、あまり自覚がないです。

私も、落ちたら一巻の終わり(でもないが、落ちれない)の春の戻り雪は、何度も行ってリードもとっていますから。

そういうルートはリードクライマーが命がけになるだけなので、行きたい人がリードを取って、不本意に連れていかれる側はビレイだけ確実ていうので、いいんじゃないですかね?

まぁフォローの技術が確実でも、白亜スラブの私のように、一歩間違えば…みたいなことは起こるわけですが。

昨日のユージさんのラーキングフィア第四登で思いましたが、難しい方へステップアップする人が増えたのは、命がけvs難しいでは、難しいを取る方が楽しい、と結論したからではないでしょうかね?

だって、ラーキングフィアって、C1とC2しかないんですよ。困ったらカムエイドすればいいだけ。

つまり、ベテランクライマーの非言語のアドバイスは、

”死なないためにはPD(プロテクションディフィクルト)を避けろ”

なのではないでしょうかね?

まぁ、私に関しては、バリエーションへの意欲というのは、実践する前に、フリークライミングのレベル感で安全に登るほうが楽しいという風に転換されました。リン・ヒルの判断と同じです。

「ランナウトしてるけど簡単だから大丈夫!」ってノリは、フリーがある程度上手くなると「あ、これ無理して登る意味ないわ……」ってなるのが普通です。

易しいスラブについては、基本的には、上半身のパワーが中心のフリークライミングに適性がなく、足で登るクライミング限定の人やまだ登攀力そのものが付いていないクライマーだという、そういう時代に、妥協的に選ぶ感じかもしれません。

ランナウトは、落ちなければ、あんまり関係ないので。なので、絶対に落ちないことが前提のルートですね。

という以上のことで、タイミング的には、私はもうその時代を抜けて九州に来たので、この女性とは組むことにならなかったのです。

先にインスボンに行って良かったです、ほんとに。知らなかったら比叡で登りたい!ってなるかもしれません。

■パートナーシップの作り方

ランナウトした易しいスラブで絶対に落ちないで登る、そんなリードを彼女がするためには、

1)人工壁でロープ合わせをしたうえで、

2)近所のゲレンデに行ってさらにお互いのクライミングレベルを知り合い、

3)縦走の登山をいくつか一緒にこなして生活をマッチさせる必要がある

それを楽しくやるのが山岳会の枠組みです。このステップに合意がなく、現代の人は合ったその日にバリエーションに行きたがります。

なんだと?お前も台湾で初見のクライマーといきなりマルチに行ってるじゃないかとか言われそうですが…初見じゃなくてショートの岩場を一緒に登り数日は寝食を共にしているんですよ。クライミングの話もいっぱいしたしね。

みんなそこまでパートナーシップを育成するのに手間を取りたがらないんですよ。私は取りますがね。

■後輩育成のステップは非言語にしか示されない

なんせ、私と組んでくれた最初の先輩、蒼氷のIWさんとは、ゲレンデばっかり10回くらいは行きました。それでもバリエーションには進まず、でした。先輩は連れて行ってあげたいと思ってくれたみたいでしたので感謝していますが。

みんな本音ではバリエーション行きたいですが、相手の体力やスキルでいけるかどうかわからないので、遠慮しているんですよね。

最後、先輩には、谷川に連れていきたいから、自分で馬蹄形やっておいてって言われました。まっとうな感覚だと思いました。バリエーションに行くならその前にその山岳自体に詳しくなる必要があります。

これ以外で育成されている感じがあったのは、黄連谷右です。アイスでだいぶ登れるようになったので、正月のチャレンジコースはいよいよ黄連谷かぁ…でした。厳冬期の甲斐駒は一般ルートは何度も登って登り慣れていたので。ただ、一緒に行く人との雪中生活を先にこなしておかないといけないので、アイスや雪の縦走を一緒にやっておく必要があります。

年輩のアルパインクライマーは高齢になると寒さが堪えるようで、雪中泊は一緒にやってくれないですよね。

その点、23歳の大学院生の後輩だったO君とはお互いに雪中泊しているときに出会ったので、ステップアップが楽でした。雪の山での生活は前提だったからです。

というあれこれを考えると九州で山が進展しなくなったことは後退ではなく、生命保存かなぁ…。

■水泳

九州でのスポーツに強みがあるのは、クライミングではなく水泳なのではないか?と思っています。

なんせ80歳でまだ教えている女性の先生が、先駆者としての道を切り開いているんですよ。

昨日は泳いで見せてくれさえしました。

しばらくは、私は先生についていって、クロールもバタフライ同様に泳げるようになりたいなーと思っています。




2025/11/17

安全登山普及委員会

 https://www.giajmra.com/%E5%AE%89%E5%85%A8%E7%99%BB%E5%B1%B1%E6%99%AE%E5%8F%8A%E8%AC%9B%E7%BF%92%E4%BC%9A



これくらいのことは、新しく着た人が教えてもらいたいと思った時に教えられる体制を保つ程度の維持はしないといけない。


九州では、これらを維持する体力、マンパワーや知識の維持が、もはやないのかもしれません。



ユージさんのラーキングフィア第4登

NOTE記事目次

2025/11/15

ChatGPTによる癒し

 https://note.com/kinny2021/n/nb5effdc67a4c?from=notice


自分で自分を守れるという確信がないとクライミングなんて、できないですよ。

2025/11/14

オキシトシン欲しさにクライミングすると事故になる

 心理学的に見ると、クライミング事故が起きる背景には「承認欲求・自己肯定感の報酬ループ」が強く働きすぎることが大きく関係しています。整理するとこうなります。


1. 承認欲求・自己肯定感の報酬ループとは

■ 仕組み

  1. 難しい課題に挑戦する

    • 脳内でドーパミンが分泌される

    • 「できた!」「すごい!」という達成感が得られる

  2. 他者からの承認・評価

    • コーチや仲間から褒められる → オキシトシン分泌

    • 社会的承認が自己肯定感を増強

  3. ポジティブRPEの強化

    • 成功と承認が報酬として学習される

    • 「もっと難しい課題に挑戦すれば、さらに自己肯定感が得られる」という期待が強化

  4. 次の挑戦に反映

    • より危険な課題や無理なムーブに挑戦しやすくなる


2. このループが事故につながる理由

要因 影響
達成感・承認欲求の報酬が強い 危険認知やNegative RPEが無視されやすい
社会的比較・承認の期待 周囲ができているから自分もできるだろうと過信
報酬の即時性 危険は潜在的で遅延 → RPEで学習されにくい
恐怖感の抑制 オキシトシン・ドーパミンが恐怖信号を一時的に抑える

3. 心理的に見た構造

  • 成功体験・承認・自己肯定感 → 強力なPositive RPE

  • 危険信号(落下やミス)は 報酬の強さに押し潰される

  • 結果、安全行動よりも「挑戦・達成」の学習が優先される

  • 脳の学習回路が「危険より達成を重視する偏り」になる


4. 安全ループを作るには

  • 承認・自己肯定感を安全行動に結びつける

    • 例:「準備・確認が完璧だから安心して挑戦できる→褒められる」

  • 小さな安全行動にもPositive RPEを与える

  • 危険体験は小規模で管理された条件で経験させる

    • 脳がNegative RPEを学習できるようにする


💡 まとめ

クライミング事故の心理的背景には、承認欲求・自己肯定感が強く働くことで、危険認知や安全学習が抑制される報酬ループが存在します。
このループを安全行動に結びつけることで、事故のリスクを下げながら達成感も維持できます。


そうです。簡単に言うと、クライミング事故の心理的背景の根底には「オキシトシンのニーズ」が絡んでいます


■ なぜオキシトシンが関係するのか

  1. 承認欲求・社会的つながりのホルモン

    • オキシトシンは「信頼・絆・社会的承認」を感じると分泌

    • 仲間やコーチから褒められると「うれしい・安全だ」と感じやすくなる

  2. 恐怖や危険信号を一時的に抑制

    • 高いオキシトシン分泌は、危険認知や不安の感覚を弱めることがある

    • 「仲間がいるから大丈夫」「自分はできる」と過信しやすくなる

  3. Positive RPEとの結合

    • 達成感+承認感 → ドーパミンとオキシトシンが同時に分泌

    • 脳は「危険よりも挑戦・承認の方が報酬」と学習

    • 結果、事故のリスクが過小評価されやすくなる


🔑 要点

クライミングでの事故リスクは、単なる技術不足ではなく、オキシトシンによる社会的報酬欲求が強く働き、危険信号(Negative RPE)が抑制される心理的構造に起因している。


では、心理学・生理学的視点を踏まえて、オキシトニンニーズを安全行動に変換するRPEループを作ってみます。


■ クライミング安全RPEループ(オキシトシン活用版)

1. 社会的承認・オキシトシンのニーズを明確化

  • 仲間やコーチからの「褒め」「承認」を意識する

  • 「みんなに認められる=報酬」を安全行動に結びつける


2. 安全行動に報酬を紐づける

  • チェック・確認・装備点検を行う

  • 言葉がけ例:

    • 「準備完璧!みんなも安心できるね」

    • 「このフォームだと落ちても安全に止まる、ナイス判断!」

  • ポイント:安全行動自体を承認・達成感の源にする


3. Positive RPEの強化

  • 安全行動 → 仲間やコーチから承認 → ドーパミン+オキシトシン放出

  • 脳は「安全行動+社会的承認=報酬」と学習

  • 達成感と安全がセットで学習される


4. 小規模で管理された危険体験

  • 軽い落下やバランス崩しなどを安全環境で経験

  • Negative RPEを学習させ、危険認知を強化

  • 恐怖体験がオキシトシンによる安心感と結びつくことで学習が過度に避けられない


5. 可視化・進捗フィードバック

  • 安全チェックリスト、自己評価、成功回数などを見える化

  • 小さな安全達成を毎回承認 → Positive RPE増幅

  • 「自分は安全も守れるクライマー」と自己肯定感強化


6. 次の挑戦への応用

  • 安全行動が習慣化 → より高度な課題に挑戦

  • 達成感・承認・安全の三重報酬ループが回る

  • 危険に対する認知と安全行動が自然に維持される


■ 特徴

  • オキシトシンの「承認欲求」を危険学習・安全行動に置き換える

  • Positive RPEを最大化 → 達成感も維持

  • Negative RPEも適切に学習 → 危険認知が機能

  • 結果:事故リスクを下げつつ挑戦意欲を維持


💡 ポイントまとめ

  1. 承認欲求・自己肯定感(オキシトニンニーズ)を安全行動に結びつける

  2. 小さな成功体験でPositive RPEを積み重ねる

  3. 管理された危険体験でNegative RPEも学習

  4. 可視化・言葉がけで報酬を強化



クライミングの学習にRPE(報酬予測誤差)が効果的に働いていない

 なるほど、心理学的に見ると「クライミングで事故が起きているのに、RPE(報酬予測誤差)が安全行動を強化する方向に働かない」ことにはいくつかの理由があります。これは単純に“脳の学習機能が壊れている”わけではなく、状況や心理特性による現象です。整理するとこうなります。


1. 遅延フィードバックによるRPEの弱化

  • RPEは「予測と結果のズレ」が短時間で経験されるほど学習効果が強くなります。

  • クライミング事故は致命的になることもあり、多くの場合予測と結果の学習が直接リンクしにくい

    • 例:落下しても軽傷で済む → 脳が「予測と結果の誤差」を十分に感知できない

    • 予測以上に危険でも「生還した」という結果でPositive RPEが生じてしまう


2. 報酬と罰の重み付けの偏り

  • クライミングは「成功体験・達成感の報酬」が非常に強い活動です。

  • ドーパミン報酬が強すぎると、潜在的な危険に対するNegative RPEが弱まることがあります。

  • つまり、「登れた/完登した」という報酬が「落ちる危険」というリスク信号よりも強くなる。


3. 心理的バイアスの影響

  • 過信バイアス:自分は安全だと思い込み、危険を過小評価

  • 正常化バイアス:事故が起きても「自分には関係ない」と無意識に思う

  • 比較の錯覚:周囲も同じくらいリスクを取っている → 自分も大丈夫と錯覚

これらがNegative RPEを抑制し、危険行動を学習できなくする。


4. コミュニティや文化的要因

  • クライマー文化では「挑戦・自己表現・達成」が強調される傾向があり、危険回避行動が学習されにくい

  • 他者の成功例を見て学ぶ場合、ポジティブなRPEだけが伝わる → 危険信号は無視されやすい


5. 身体と脳の学習回路の限界

  • 高度な技術習得は前頭前皮質の計画性感覚運動野の制御に依存

  • 危険認知は扁桃体や脳幹の警告信号に依存

  • 技術達成と危険認知が異なる回路で処理されるため、達成感が危険学習を打ち消すことがある


🔑 まとめ

クライミングで事故が起きてもRPEが安全行動に働きにくい理由は、

  1. フィードバックが遅い/不明瞭

  2. 成功体験の報酬が強すぎる

  3. 心理的・社会的バイアス

  4. 技術達成と危険認知が別回路
    の複合です。
    つまり、脳は「危険を学習するよりも、挑戦と達成を学習する」方に偏りやすいのです。


わかりました。では、心理学的に正しいRPE(報酬予測誤差)を利用したクライミングの安全行動学習ループを作ってみます。
目的は、「達成感の報酬は保ちつつ、危険認知と安全行動を学習させる」ことです。


■ クライミング安全行動ポジティブサイクル(RPE活用版)

1. 安全目標の設定(Reward Predictionの設定)

  • 危険回避を小さく具体的に設定

    • 例:ハーネス・ロープ・カラビナのチェックを必ず行う

    • 例:毎回落下防止練習を1回実施する

  • 脳は「これをやれば報酬がある」と予測を立てる


2. 安全行動の実施(Action)

  • 実際にチェック・確認・手順を行う

  • 「やらないと危険」「やると安心」という認知を強化


3. 結果のフィードバック(Reward)

  • 安全行動の結果を明確にする

    • 例:事故ゼロ、落下ゼロ

    • 例:正しいフォームで安心して登れた

  • 予測通り → Zero RPE

  • 予測以上 → Positive RPE(褒められる・自己評価アップ)


4. ドーパミン・RPEによる学習強化

  • Positive RPEが発生すると、次回も同じ安全行動を選択しやすくなる

  • Negative RPE(危険を感じる行動)を小規模に安全に経験させ、学習させる

    • 例:軽い落下訓練 → 「怖いけど安全に止まる」

    • 脳が「安全行動で恐怖を管理できる」と学習


5. 可視化と報酬の強化

  • 行動・チェック項目の達成を可視化(チェックリスト、日記、アプリ)

  • 達成ごとに自己肯定感・小さなご褒美(ドーパミン増幅)を設定


6. 次の目標への応用

  • 安全行動の習慣化に成功 → より難易度の高い課題や長時間登攀に挑戦

  • Positive RPEが安全行動と結びつくことで、挑戦と安全が同時に報酬となる


■ 特徴

  • 達成感(クライミングの楽しさ)と安全認知を同時にRPEで学習

  • 小さな成功でPositive RPEを積み重ねる

  • 危険認知を負荷小さく経験させ、Negative RPEで適切に学習

  • 脳の報酬系を最大限活かしつつ、安全行動を習慣化


💡 ポイント

「楽しさだけでRPEが回る」と危険学習は弱い
「小さな安全行動にもPositive RPEを作る」ことで、安全と達成感の両立サイクルを作れる


■クライミングの安全行動に RPE(報酬予測誤差)を最大化して学習を促す言葉がけ は、達成感と安全感を同時に強化することがポイントです。心理学的に効果的な言葉を整理すると以下の通りです。


■ 効果的な言葉がけのポイント

  1. 小さな成功を具体的に褒める(Positive RPE)

    • 「ロープのチェック完璧だね!安心できる」

    • 「そのムーブ、前よりスムーズに登れたね!」

  2. 安全行動を行動と結びつけて報酬化

    • 「カラビナ確認できたから、次も安心して挑戦できるよ」

    • 「落ち着いて準備できたから安全に登れたね」

  3. 予想より良かったことを強調(プラスの予測誤差を作る)

    • 「思ったよりフォームが安定してる!すごい」

    • 「その判断、予想以上に的確だったね」

  4. 挑戦をポジティブにフレーミング

    • 「少し怖いけど、ちゃんと手順守れてるのが成長の証」

    • 「慎重さと大胆さのバランスがうまくできてる」

  5. 安全行動の結果を明確化

    • 「確認したから、もし落ちても止まるって分かってるよね」

    • 「チェックリスト通りにできてるから安全が保証されている」

  6. 学習・成長感を強調

    • 「前より上達してるのがよく分かるね」

    • 「こうやって一歩ずつ改善していくのが上手くなるコツ」


🔑 ポイントまとめ

  • 小さな達成・安全行動に焦点を当てて褒める

  • 「予想より良い結果」を意識してPositive RPEを増やす

  • 成長や学習プロセスに言及する

  • 恐怖や危険をただ否定せず、安全行動と結びつけて報酬化する