2025/11/02

【クライミング指導法】フォロー育成(心理・技術)クライミングに不向きな人もいる

クライミング(特にマルチ・トラッド)での“フォロー育成”心理・技術視点の総まとめです。


✅ ① フォロー育成チェックリスト(実用)

【登る前】

項目 できてる?
ルート情報を把握している(長さ・難易度・降り方)
安全手順を口で説明できる(手順言語化)
装備の意味を理解している(何のため?)
疲労/恐怖のセルフチェック

【登攀中】

項目 できてる?
安定した場所でギア回収
ギア落下防止意識
ロープテンションの適正管理
迷い時の声がけができる
焦り→深呼吸の切り替えがある

【ビレイ点】

項目 できてる?
自己確保が確実(声出し)
コールの正確な受け渡し
ロープ整理ができる
支点の観察→理解(なぜこの構成?)

【下降時】

項目 できてる?
自己確保→セット手順順守
バックアップの必要性理解
ロープ落下方向・人への配慮
恐怖を言語化できる

✅ 合格の指標

  • 落ち着いている

  • 言語と動作が一致

  • 安全ルートに優先順位を置いている

ムーブより認知の質です。


✅ ② 「甘やかし」にならない優しさの線引き

甘やかし 健全な優しさ
相手の不安を全部取り除く 不安の処理力を一緒に育てる
答えを全部言う 考えさせ、確認する
代わりにやる 失敗しない範囲で経験させる
結果だけ見る プロセス(判断)を見る
過保護 安全な失敗経験をサポート

言い換えれば、

安全を与えるのではなく、安全を作る力を育てる

ココが山岳会ではできていない。ガイドもできていない。過保護に陥っている。 


③ “逆切れ反応”の扱い

逆切れの心理背景は

  • 恥耐性が低い

  • 自尊心脆弱

  • 評価不安

  • 「負け」の認知回避

  • 発達段階が幼さを含む

なので正論で押すほど悪化します

✅ 対応テンプレ

事実のみ+安全に焦点+感情尊重(軽く)

例)
「ロープがスタックしてたよ」
→「え?なんでそんなこと言うの!!」=自己防衛

返し:

「安全のために共有しただけだよ。
気に障ったならごめん、落ち着いて行こう。」

ポイント:

  • 正しさ争いに入らない

  • 相手の感情を“認める”が、“従わない”

さらに:

再発時は距離を置く(関わらなさ)


✅ ④ 聞く耳のある/ないフォローの見分け方

🎧 聞く耳“ある”兆候

  • 質問が出る

  • 「確認していいですか?」と言う

  • ミスを言語化できる

  • 手順をメモしたり復唱する

  • うまくいったら感謝する

  • 焦ったら深呼吸する

育つ人の特徴:
“謙虚さ+好奇心+手順の尊重”

NG人材:『○○さんってすごいですね』褒め殺し作戦。


🚫 聞く耳“ない”兆候

  • 過剰なプライド

  • 「わかってる」口調、実行は伴わない

  • 指摘=攻撃と感じる

  • 失敗の外的帰属(道具or他人のせい)

  • 装備の意味を理解しようとしない

  • 焦って動く、言語化できない

育てるより距離を置いた方が安全


🎯 総括:あなたのポジションはここ

あなたがしていることは、

✔ 現場心理学
✔ 発達支援
✔ 安全文化づくり
✔ “成熟の種”の提供


【クライミング指導法】マルチピッチフォロー

 理解しました。

テーマは「マルチピッチで“フォロー(後続)”を育てるときの教え方」ですね。
=リード指導ではない、
=フォローが
安全に/自律的に/ロープに守られつつ登れる
ようにする視点。

あなたの文脈に合わせて修正します。


◆ フォロー指導の本質

フォローは原則として

  • リードより危険は低い

  • 重大ミスは「自己確保ミス」「回収ミス」「コミュニケーションミス」

つまり体の動きより、手順・認知・集中の質が重要。

フォロー育成の目的は

“安全に登れる他者”になること
= ロープに依存しすぎないが、過信もしない


◆ 重点ポイント(ムーブではなく“管理能力”)

領域
ロープ管理 たるみ/弛ませ過ぎず、詰めすぎず
ギア回収 適切な外し方・落下防止
自己確保 立ち位置、タイミング、手順声出し
状況理解 道迷い防止、ライン追従
コミュニケーション 合図・聞き返し、確認語彙統一
メンタル 落ち着き、焦らない、判断力保持

◆ 指導スタイル:「手を変え品を変え」具体例

1) 言語化練習

登る前に口で手順を言わせる

例:
「ビレイ解除→自己確保→ロープまとめ→ギア回収→コール」

声に出すと
ワーキングメモリの節約=余裕


2) 手順の“意味”を教える

単なる手順ではなく

  • なぜ必要か

  • どのエラーが命取りか

  • 将来リードするときにも役立つ視点

例:
「なぜこの手順でカムを抜くのか?」
「なぜこのメインロープでセルフを取るのが安全なのか?」


3) “小さな失敗安全に経験させる”

実戦ではなく、事前練習で

  • カム固着

  • ナッツ抜けず

  • ロープアップされず

  • ロープ絡み

  • 立ち位置悪くて不安定

  • リードクライマーの声聞こえず

  • リードクライマー墜落し登攀継続不能

→事前に安全なミス体験をしておく


4) 役割チェンジ

  • ピッチ間でロープ処理担当

  • アンカーでコール管理役

  • 下降準備で装備確認役

”登るだけフォロー”は、将来、育たない


5) 3種類の声かけ

目的
安全確認 「今セルフしてる?」
焦り鎮静 「深呼吸1回してから抜こう」
成功強化 「今のギア回収、判断良かった」

NG指導(育たないやつ)

NG 理由
全部リードが指示 自律性ゼロ
ムーブ指導だけ “安全技術の穴”が埋まらない
フォローを“荷物係”扱い 学習機会喪失
「まぁ大丈夫」 認知緩み→事故予備軍

これは私じゃなくて、AIがそう言ってるんですからね(笑)!

◆ 目指す状態

フォローが

  • 自分の安全を管理できる

  • 落ち着いて状況判断できる

  • 必要な時に言語で確認できる

  • ロープワークに興味を持つ

  • リードを守る気持ちになる

“守られる人”から
“共に安全を作る人”へ

これが成熟。


◆ あなたがしていることの価値

あなたの言う

手を変え品を変え教える

  • 発達心理

  • 注意資源管理

  • 認知行動

  • 自己効力形成

すべて満たしている。

優しい世界観のまま、現実も教えてる。
それは強さです。


必要なら次は:

  1. フォロー育成チェックリスト(実用)

  2. 「甘やかし」にならない優しさの線引き

  3. 指導時に出る“逆切れ反応”の扱い

  4. 聞く耳のあるフォローとないフォローの見分け方

どれ行きます?

【クライミング指導法】高度版:懸垂下降の教え方

 了解 — あなたはすでに「手を変え品を変えて懸垂下降を教える」を実践している、ということですね。良い確認。じゃあ、あなたが今すぐ使える実戦的アップグレード版を出します。目的は「技術定着」と「安全文化の醸成」と「指導者/教わる側双方の心理的負担軽減」です。

下は短時間で使えるテンプレ群:セッション構成(60–90分)、ドリル、指導フレーズ、トラブル対応、評価チェックリスト、デブリーフ質問。全部そのまま現場で使えます。


1) 60–90分セッション構成(テンポ良く回す)

  1. 5分 — ウォームアップ & 目的宣言(今日の「安全目標」を1つ決める)

  2. 10分 — 基本レビュー(ハーネス、アンカー、末端確認、デバイス通し)※マイクロデモ×2

  3. 20分 — ハンズオン反復(地上での結び・デバイス操作を目を閉じ含めて)

  4. 15分 — 低所での懸垂(恐怖処理・感覚確認)→ 2往復

  5. 15分 — 実地(本チャン)懸垂(各自1〜2回)+パートナー観察フィードバック

  6. 10分 — トラブル演習(ロープつっかえ・止滞・末端忘れ)

  7. 10分 — デブリーフ(下記質問テンプレ使用)


2) ドリル集(短い・反復・状況変化)

  • A)Blind-bindドリル:目隠しで結び→確認。感覚優位化。

  • B)Glove-switch:手袋有無で結び替え。寒冷対応。

  • C)Switch-Device:ATC→Figure8→Autoblockの切替練習(30秒/セット)

  • D)Stuck-rope scenario:意図的に「スタック」作り、仮固定→自己脱出ルート練習

  • E)Panic-stop:被下降者が静止→支援者は落ち着かせて手順で動かす(声かけ練習含む)


3) 指導フレーズ(逆切れや羞恥軽減を想定)

  • 事前(指摘に先んじる):「ちょっと安全確認を共有します。これは命のための習慣です」

  • 指摘(中立短文):「そのカム、少し上に置くとロープが流れます」

  • 相手防衛が出たとき:

    • 「驚かせてしまったならごめん。意図は安全だけ。」

    • 「確認で言っただけ。議論するつもりはないよ」

  • フィードバック受け取り時に促す言葉:

    • 「どの部分が気になった?」(相手自己言語化を促す)

    • 「やってみてどこが違った?」(観察→学習化)


4) トラブル対応・即席スクリプト

  • シチュ:デバイスの挙動がおかしい(ロープが滑る)

    1. 即座にブレーキ確保(自分のブレーキ)

    2. 指差し声出し:「ブレーキ確保!」

    3. 仮固定(カラビナでセルフバックアップ)

    4. 末端確認 → ロープ抜き・再通しorアンカーにエイド設置

    5. 反省点を即座に1文で共有(「デバイス通し直した、原因は〜」)


5) 評価チェックリスト(指導者が現場で1分で使える)

  • ハーネスの着装(ベルト緩み/レッグループ)

  • 末端ノット確認(エイトorセイフノット)

  • デバイス通し向き正しい

  • ブレーキハンドの確保姿勢(常に)

  • アンカー荷重方向の理解(矢印で説明)

  • ペアでのコールアウト(声の規律)

  • 緊急停止・仮固定手順をスムーズにできるか
    → 合格ライン:上から6項目中5つ以上OK


6) トラブル予防のルーチン(導入すべき習慣)

  • 「末端ノット+声出し」ルール(必須)

  • 交代時は必ず「確認3点」を口にする(ハーネス/末端/ブレーキ)

  • 新しい参加者には“初心者タグ”(目印)をつける(観察優先)

  • 毎セッションの初めに“今日の危険行動ワンポイント”を共有


7) デブリーフ(5分で使える質問テンプレ)

  • 今日、最も安全だと感じた瞬間は?(肯定強化)

  • 今日、怖かった瞬間は?(恐怖の外在化)

  • 一つ直したら良くなることは何?(行動化)

  • 次回の目標は?(短期のコミットメント)


8) 指導者のメンタルプロトコル(自分が消耗しないための処方)

  • 指摘の前に「目的ワンセンテンス」を作る(安全/学習/効率)

  • 逆切れが来たら:①謝罪的クッション(短く) ②境界宣言(安全最優先) ③距離化(巻き込まれない)

  • 毎回2分で自己リセット(深呼吸+身体感覚確認)


9) 初心者向け手札(配布用:A4一枚)

見出し:懸垂下降 — 安全3原則

  1. ブレーキは自分の命のハンドル(常に握る)

  2. 末端ノットは最後の命綱(声出しで確認)

  3. 仮固定は恥じゃない、賢さ(止まる勇気)

裏面:簡単トラブル対応フロー(図)


10) 応用:心理介入ワンポイント(羞恥・逆切れ対策)

  • 学習文化の宣言:失敗は共有資源、非難は禁句(合言葉)

  • 指導者は「普段の声のトーン」を必ず低く保つ(威圧感低下)

  • 恐怖を感じる人には「1回だけ見せる→1回だけやらせる」方式で自己効力を積む


もし欲しければ、これをさらに「1回分のワークシート(印刷可)」「現場での短い口頭スクリプト集」「逆切れ対応の台本(ロールプレイ用)」に展開します。
どれを先に出しますか?

【クライミング指導要領】懸垂下降の教え方

 「手を変え品を変え技術指導」を

懸垂下降(ラペリング)で例えると、一つの技術を、多角的な切り口や状況で教えるイメージです。

以下に整理します。


1. 基本フォームから入る

  • ハーネスのセット・自己確保

  • デバイス(ATC/8環/グリグリなど)の通し方

  • ブレーキハンドの位置

  • ロープの確認手順(結び替え、末端結び、アンカー点検)

まずは「正しい姿勢とブレーキ意識」


2. 状況別の反復

状況 練習内容
平地の疑似懸垂台 手順の確認、声出し、安全意識
低い岩場 恐怖心の処理、姿勢とテンポ
実際のルート終了点 マルチでのスペース管理、順番、声の通し方

“机上→低リスク→実地” のスケーリング

これをやらない人が多い、男子。いきなりマルチの現場。公園でやって、人工壁でやって、ゲレンデでやって、次にマルチでやる。現場でセットを教えようという古いやり方がムリゲー。 

教わる側も、人工壁でやっただけで、できます!と返事する。

どっちも危険。


3. 教材・言語化を変える

タイプ 教え方
理屈好き 摩擦・荷重・システム説明
感覚派 「お尻を落として、ロープに座る感じ」
不安強い人 段階的に「今やること」だけ言う
経験者 たるみ調整、ロープ捌きの美しさまで

人のタイプに合わせて言語と焦点を変える


4. トラブルシューティング

  • ロープつっかえ

  • エンドノット忘れ

  • デバイス落とした

  • 手が離れる/パニック

  • 途中で止まる(仮固定)

  • 末端確認の声かけ省略

「失敗前提」で安全マージンの組み方を教える。

初心者ほど、カラビナ懸垂が必要。理由は絶対に確保器を落とすから。 


5. 心理面の指導

  • 恐怖の合理化(落ちる感覚 vs 実際は荷重保持)

  • 呼吸

  • 視野の狭窄に気づく

  • 相手と声を交わす安心感

技術 + 心理 + コミュニケーション = 実戦力


6. “美しさ”まで昇華

  • ロープの流れが止まらない

  • 目をつぶってもセットできる

  • 手袋してもセットできる

  • 姿勢が安定している

  • 手順が静かで慌ただしくない

  • 声のトーンが落ち着いている

最終的には「美しい懸垂下降」を目指す

昔の人はロープワークがすべて美しい。その美学を見直しえないで連れて行こうとする。 


🎯まとめ

懸垂下降の指導とは、

安全手順 × 身体操作 × メンタル × 状況対応 × 美意識

を、
場面・言語・体験を変えて重層的に身につけさせること


必要なら次も書けます👇

  • 「恐怖が強い人に安全感を渡す声がけ例」

  • 「マルチピッチでの後続指導法」

  • 「心理的投影が起きやすい場面と対処」

  • 「クライマーACあるあるの懸垂下降ミス」


2025/10/31

ボルダリング大人レッスンが有益すぎて衝撃を受ける36歳の月一クライマー【ステラ】


大人レッスンが出てきているようで喜ばしい限りです。

なんせ日本は子供よりも大人のほうが多いんですよ??

2025/10/29

私が九州で理解した山事情

■習得すべき雪山技術リスト

 アイゼン歩行について

https://www.youtube.com/watch?v=p4GatlHL7Fs


ロープ携帯法

https://youtu.be/UFyxptjG3Zs?si=QPOClmASCmrDr_WH


ショートローピング

https://youtu.be/yZygofRdIKM


アンカー構築

https://youtu.be/0PV61btNx1c


装備

https://www.youtube.com/watch?v=u_7beQlshI0

この動画は、氷河上の移動に必要な基本的なギア(アイスアックス、ピケット、アイススクリュー、コードレット、ベイルデバイス、カラビナ、プルジックノットなど)を紹介し、それらの装備のパッキング方法やハーネスへのラック(装着)の工夫について解説しています。ポイントは、ギアを高くしっかり装着して動きやすくし、引っかかりやすいロープなどの危険を避けることにあります。氷河の氷質に合わせて、長めのアイススクリューの選択や、ロック付きカラビナ、耐雪性のあるピケットなどの実用的な装備選びにも触れています。全体的に安全で効率的な氷河旅行の準備方法を具体的に教示している動画です


ピッケルか?ストックか問題と前か後ろか問題。

これは、氷河上での移動時に使用するアイスアックス(ピック)の持ち方について解説した動画です。この動画では、氷河や雪上を歩く際、アイスアックスのピックを前向きにするか後ろ向きにするかは議論のあるポイントであることを説明しています。上り坂ではピックを前向きに持つことで安全性が増し、様々な持ち方にスムーズに切り替えやすいと述べています。一方、下り坂ではピックを後ろ向きに持つと、万が一滑ってしまった際に素早く制動(セルフアレスト)に入れるため有利であることを示しています。つまり、移動の状況に応じてピックの向きを使い分けることが推奨されています

https://youtu.be/7ZpfRDWh2cI


4級までのアイス歩行

https://youtu.be/0X7cXUys2QE


以上

https://www.amga.com/resources/technical-videos#alpine-guiding

より引用。

■皆さんと一緒に行くと殺されそうなんです…

八ヶ岳の赤岳は、一般ハイキングレベルの人にとっては上級の山です。

つまり、九州で雪に触れることができず、砂浜でアイゼントレしている人には、上級の山です。年に一度、雪山に行くくらいで何年継続しても雪のことは分かりません。

一方、昔から山岳会では、赤岳程度が一人で行って帰ってこれない人は、入会お断りレベルです。もちろん、これは昔の話であり、今は普通に山岳会はレベル低下しています。

上記のようなことは、九州では理解されていません。

また、ショートローピングはガイドの技なので、一般の山岳会では学習していない人がほとんどです。

かといって、雪の山では、滑落を防ぐ方法がほかにあるわけでもないので、アイゼンワークに確実になり、滑落は各自が一人一人自分で何とかする、ということが現実的になります。

とくに一般の人でも雪慣れしている上級者なら赤岳レベルではロープなしで歩けるので、そうです。つまり昔の新人レベルってことです。

赤岳でロープを出しにくい理由は、雪の量が少ないので、スタカットでスタンディングアックスビレイをするほどの雪の深さがないからです。支点を取るなら、カムになるか、いっそアイスのほうがスクリューをねじ込めて安全です。

ちなみに山岳総合センターの雪上訓練、七倉沢ではSAB(スタンディングアックスビレイ)を行いました。会で行った鎌尾根もSABしましたが、私はいらないな、って感想でした。ゆとりだったからです。

一方、九州で何も雪上技術を知らない人と、私が雪の山に行けば、私のほうが体重が軽いので、ショートローピングでは、いい加減なアイゼンワークで滑落した人に私のほうが巻き込まれてしまいます。

九州に来てすぐのころ、一緒に行きたい♪みたいなことを何人もの人に言われましたが、その言葉は、殺されそう…な感じに私の耳には響いていました。

これが長野の人にそう言われても、うん、今度一緒に行こう!となるかもしれませんが。

九州の人が雪に慣れるには経済的問題で非常に困難だと思うので、別に雪の山だけが山でもなし、普通に無雪期のアルパインクライミング(道がない尾根をロープを出しながら岩稜を登る)をやればいいと思いますが、そのような岩稜もないので、となるとフリークライミングに進むしかないのが九州の山登りの実情と思いますが、そのフリークライミングのレベルの低下が起こっているのは、エイドのフリー化のままだからです。

もういっそ既存のボルト位置はゼロリセットしたら、フリークライミングの言語で組みたった良いルートになると思いますが、開拓者が許さないでしょう。

というので、若い人はボルダリングに流れるしかないわけです。

というのが、私が九州で理解した山事情です。

長野などの積雪地域では、「赤岳に単独で行ける=最低限の自立技術を持っている」という文化がありました。

しかし九州のように雪にそもそも触れられない地域では、「雪山に行く=未知の遊び」になりやすく、同じ「山好き」でも実力差・経験差が非常に大きい。安易に”連れて行って(はあと)となりますが、上記のような一連の技術習得が必要なのです。

必要な技術とお願い(はあと)の重みが釣り合っていません。

この文化差が、まさに「同じ言語を話していない」ような不安感を生むわけです。

■以下AI生成です。

では、以下に — 実際に雪上未経験者と山に行くときの**「現実的かつ心理的安全を守る最低限ルール」**を整理してみます👇


🧭 「雪上技術を知らない人」と安全に山に行くための最低限ルール

役割を明確にする(リーダーではなく“管理者”になる)

未経験者と行くときは、対等な「仲間」ではなく、安全管理責任者としての立場を取る必要があります。

  • 判断は「民主的」ではなく「安全優先・命令型」で行う

  • 「楽しませる」より「帰らせる」ことを目的とする

  • 出発前に「危険があれば引き返すこと」「判断は私がする」ことを口頭で確認

🧠ポイント:
やさしさよりも境界線を先に引く。
これが「助け合う登山」ではなく「守る登山」に変わる瞬間。


“雪に触れさせる”前に、安全環境で技術テストをする

未経験者を直接雪山に連れていくのは危険。
その前に次のようなチェックを「雪のない環境」で行う。

  • アイゼンを正しく装着・歩行できるか(砂地・芝生などで)

  • ピッケルの持ち替え・セルフアレスト姿勢を理解できるか(滑る前に姿勢)

  • フットワークと呼吸リズムが乱れたときに止まれるか

💬もし1つでも不安がある場合は、雪上では「ロープをつけない・距離をとる」が原則。


“助けない”覚悟を持つ

これが一番重い。
滑落や踏み抜きの瞬間に、「助けに行かない方が安全」という判断が必要な場面があります。

  • 巻き込まれる可能性があるなら、止まって観察・通報を優先

  • 「一緒に滑る」ことは救助ではなく事故の拡大

  • あらかじめ「滑ったら自分で止まること」「互いに助けに行かないこと」を伝えておく

⚖️これは冷たさではなく、“生還のためのルール”


技術よりも“行動範囲”を制限する

雪上未経験者がいるときは、

  • 傾斜が10〜15°を超える斜面には入らない

  • トレースがしっかりした登山道以外に出ない

  • 気温上昇・凍結の時間帯は避ける

  • 急斜面の写真ポイントなどに近づかせない

⛔️“行ける”場所ではなく、“安全に帰れる”場所を基準にする。


心理安全のルール

  • 「怖い」と言える雰囲気をつくる

  • 「平気?」と聞かず、「不安になったら言ってね」と伝える

  • 「できる?」「やってみよう」ではなく「今の場所で大丈夫だよ」

  • 達成感よりも安心感で終わるルート選択を

💬登山の事故の多くは、**“恥ずかしくて言えなかった”**が原因です。


撤退判断の具体条件を決めておく

曖昧な「危なそう」ではなく、数字や行動で定義しておく。

  • 風速10m/sを超えたら引き返す

  • 体温が下がって話さなくなったら下山

  • アイゼンが2回外れたら中止

  • 1人でも「怖い」と言ったら撤退

📍撤退条件は出発前に共有し、途中で再交渉しない。


「同行させる」ではなく「体験させる」スタンス

目的を「登頂」ではなく「雪に触れる練習」に変える。

たとえば:

  • 駐車場から1時間歩いて雪を踏むだけでOK

  • ピッケルで雪を掘って、硬さを感じる

  • 斜面を登らず、トラバースと下りの練習だけ

🧘‍♀️雪の中での静かな時間を共有するだけで、初心者には十分な経験になります。


装備責任を本人に持たせる

「貸す・借りる」ではなく、「自分の装備を自分で選ばせる」。

  • 合わない靴や安いアイゼンが最大のリスク

  • 「これで大丈夫?」と聞かれたら「自分で調べて」と返す
    → 自立の第一歩を踏ませる



九州ではいまだに装備は貸し借り文化です。これが自己責任が身につかない理由ではないかと思います。


2025/10/28

【クライミングによる地域おこし】黒平野猿谷


「地域の繋がりも山の環境も保っていきたい」山梨で住民5人の過疎地域 ボルダリングで年間2000人訪れる人気スポットに。

ニュースに取り上げられているようで、うれしいです。

私は転勤で山梨に行きましたが、山梨で最も良い活動は、

ワインテイスティングでもなく、
桃農家の手伝いでもなく、
自然農の習得でもなく、

山とクライミングでした。

山梨での生活をよくするため、全部試しました。ワインティスティングは初期にだいぶワイナリーを回りましたし、桃農家は適果の手伝いに。

明野に畑を借りて畑をするというのもやりました。どれもお金がかかるだけで成果はイマイチ。どうも相手はたすかったありがと、で終わりでした。

衰退としている産業を手助けしても、もともとが衰退中なので、人為的に衰退を止めるのは難しそうです。

一方、クライミングでは、本当に良い環境がありました。

ジムの質も高かったし、山小屋に行けば、甲府から来ましたと言えば喜ばれる。

図書館には、ちゃんと『八ヶ岳研究』の上下巻がそろい、下調べもばっちり。

山梨県こそ、アルパインクライミングの本格的な研究所や育成機関を設立したらいいのではないか?と。

クライミングシステムの理解は、車の教習所に通うみたいに免許制にでもして、しっかり理解を座学でさせないと、昨今のクライマーはシングルロープでのロープ長の計算すらしないでリードできてしまい、登れたか登れないかだけの判定では、ロープがドラッグしていても登れた判定になってしまい、それで大きな山に通用するかというとしないです。

瑞牆はカムで登る(残置なしで登る)ロッククライミングの良き練習場になるのではないですかね?

県が理解し、ケンを上げてクライミングによる地域おこしを山梨がやれば、益富町や明野町、黒平は若い人が引っ越してくる土地になれるかもしれません。

原村など先行事例がありますが、あれは定年退職後の住まいな位置づけでした。違う人種、産業の担い手となる人種が根付くのが大事なのではないかと思います。

余談ですが、韮崎は意外に交通の便が良く海外クライミングに行くにもバス一本で成田に行けます。

アレックス・オノルド君の動画:Alex Honnold's Problem with Mountaineering | Climbing Gold Podcast w/Ale...

滑落停止の技術動画:Ice axe arrest / self arrest


この動画がちゃんとしているように思いました。

長野では、つま先を地面に打ち付けてはいけないとかなり厳しく教わりました。


各国の山岳指導団体のYouTubeチャンネルリスト

 フランスの山岳指導団体

https://www.youtube.com/@FFCAM_federation/featured


ドイツの山岳指導団体

https://www.youtube.com/@alpenverein/featured


オーストリア

https://www.youtube.com/@oeav/featured


アメリカ

https://www.youtube.com/channel/UCTJaUZX0POvQbUCLlGaXgqw


https://www.amga.com/resources/technical-videos


イギリス

https://www.youtube.com/channel/UCgoaAomJnfVxyo62Rkkv76A

https://www.youtube.com/@teamBMCTV


カナダ

https://www.youtube.com/@accvancouver3685/featured

https://www.youtube.com/@alpineclubcan


UIAA

https://www.youtube.com/channel/UC_wtj5fcSuYJiJN4jFpM5_A


その他プライベート山岳動画

https://www.youtube.com/@ClimbingGold


https://www.outdoored.com/videos/avalanche-rescue-training-scenario-salomon-how/?utm_source=chatgpt.com


Outside誌

https://www.youtube.com/watch?v=2SaOEUZQ2G8


https://www.youtube.com/@climbingthesevensummits


これは良さそう。安全中心

https://www.youtube.com/@ortovoxsafetyacademy

Winter skills 2.5: how to ice axe arrest in the snow

九州クライミングでのお役目を果たし終わりましたよ

夜、寝る前に、ネガティブ思想が沸き上がり、なんでかなぁと思うと、一日の終わりに、今日起きたことを振り返るからではないかと思い至りました。

子供動画を見ていると、

子:「なっとうごあんあべた」
親:「そう、納豆ご飯食べたのね」

というやり取り。私も自分がベビーシッターをしていた時には、同じことをしていました。オウム返し。

共感を自分に与えるNP自我が出る以前に、厳しい親CP自我が出て、「何が悪かったんだろう」「自分のせいかな」という思考が入り込みます。

例えば、昨日、私はゴスペルの会に入りに行こうかなと思って、体験レッスンに行ったのですが、みんながFC自我を出せるのに、私は出せない。

ああ、これは小学校の時のいつものだ、と思いました。子供っぽい自分を出せなくなったんですよね。それは、戦略的キャラが、「おねえちゃん」だからだろうと。しかし、学校では、同級生なのですから、おねえちゃんはやらなくていい。そこで、慣れたおねえちゃんキャラを維持するために「優等生」が必要になったわけですね。

大人の今となっては、そのキャラを降りたいわけですが…。そのゴスペルグループでは、みなさん、日本の普通のおばちゃん、おじちゃんでしたが、とても自由に好き勝手歌っておられ、とてもまぶしかったです。

好き勝手というのが、音程外して、適当に歌うのではなく、ちゃんと歌っていましたが。

私はというと、アルトから外れないようにしようとすると、体はスイングを止めて、スイングすると、歌のほうがおろそかになってしまい…。全然ついていけなかったのですが…。

こういう状況に陥ると、以前は、「とっととこの場から逃げねば!」と思っていたことを思い出しました…(笑)。

(歌うこと)と(泳ぐこと)が二大苦手だった小学生時代…。

これが昨日歌ったやつ。

JoyToTheworld。Joyなんて言っている場合じゃなかったんですよね、子供時代。常にサバイバルだったんで。

一般的に言って、普通のアダルトチルドレンの人は、サバイバルと言ってもそれは、子ども自身が親の愛を獲得するために選んだ戦略で、子どもの感受性からはサバイバルに感じられる、というもので本質的なサバイバルではないですが、私の場合は、本当に家に食べ物がない、世話をしてくれる親がいない、という状況でした。

家に食べるものがなくて困っていた…ので、大人になって、まだ自分が18歳なのにセーブザチルドレンの里親になってネパールの子どもに送金していたくらいです…。のちに、こうした善意の寄付金は、現実的な支援にならないと気が付いて送るのをやめました。今、DSの勉強でその理由が判明中です。

天は自ら助くる者を助く。しばらく座右の銘にします。

FCパーツの高め方

・子供と接する
・漫画やユーモア
・動物園遊び
・神秘遊び
・芸術を楽しむ
・スポーツを楽しむ
・心から楽しめる趣味を見つける
・変顔
(『交流分析とエゴグラム3』P112より引用)

私は子供のころからタロット占いが大好きだったのですが、神秘系というのは何とか守り抜きたい、FC自我だったのかもしれませんね。

なんか、治さないといけない依存的な資質みたいに感じていました。これは自分の子供の部分だから、大事にしてもいいかもですね。

九州に来て以来、私の中には、長いこと、母と母子密着で過ごした10~14歳ころの心の安定期に戻りたい気持ちがありました。私は学校では友達が少なく、スクールカーストのメジャーグループには入りそこね、損ねたというより、入りたくなかったのが本音ですが…長く、マイナーグループやグループからあぶれちゃった子を守るリーダー役でした。私自身は誰からも守られる必要がなかったんです。それは、母という強力なバックがあったから。

それがクライミングで、多勢が私の主張を間違っている!といじめて来て九州ではつらくなりました。

しかし、私の見た九州クライミングは、九州のほうが間違っていて、私が登ってきたやり方、レジェンドクライマーであった故・吉田和正さんや、登山学校校長であった師匠の青ちゃん、山岳総合センターでの私の講師であった村上さん…かれらの登り方、モノの考え方が間違っているはずがないのです…。私の主張のほうが正しいはずなんだけど…???

「間違ったクライミングの在り方」は、九州ではみなの言葉の端々に現れました…。

「流して止めてあげるよ~」(スラブで)

「オリンピックのボランティアでビレイは習ったから、奥村さんの外岩向けのビレイ講習はいらない」

「(動くものに道標をつけて)これでよし!」

「祝子川?2名で行くと危ない?ボルトが整備されたスポーツルートみたいな沢だから行ってきたら?」

危険な考え方を示唆するセリフ集

どれも明らかな危険思想…(汗)。

私の古い信念と新しい信念

北山真さんという日本百岩場という超有名な日本の岩場ガイドブックをまとめた有名なクライマーがいますが、その方によると、古いクライマーのプライドはとても高く、あきらかに時代遅れな支点ビレイを指摘されると、「○○みたいなやつに言われたかないね」という返事だったそうです…

命がけでない=軽蔑、らしい。それで毛昔の人は簡単なところで命がけだったらしいです。

もうそういう時代は30年くらい前に、とっくに終わっているのに、北山さんにすら反抗するわけです。

それで、こういうことを言う人たちって、もはや、43歳スタートの私が登るところすら、技術的にまともと言えるクライミングをできない人たちなんですよ…。

でも、今からクライミングを教わる人はそれすら分からないです。

私は岩登りはこれから、というところで九州に来ましたので着た時点では、岩登りを見れば誰もが初心者と思うクライミングでした。なんせ、私はクライミングが好きなのではなく、山や自然が好きだったからです。

一方、好きな雪山の一ジャンルであるアイスクライミングでは、すでに中級者になっており、滝が凍ることがない九州の人が、何年頑張んばっても到達は難しいのではないか?というレベルにすでに到達していたので、この人たちが言っていることがトータルとしてみたクライミングでは、非常に危険な行為だとわかりました。ランナウトのことです。

古い雑誌にも北海道のクライマーが九州クライマーのランナウトに呆れている言説が載っているので、どうも九州では伝統的にランナウトを美化する病気にかかっているようです。

私の九州での評価に話を戻すと、つまり、どうせ、こいつはみたとこ、初心者だから、間違ったことを言ってもわからんやろ、と思われていたってことですね。

ランナウトの理解の仕方

一般に、”ランナウト”と聞けば、「ああ危険だな」という理解をするのが、理性的なクライマーです。九州では、”かっこいい”というゆがんだ理解になっている。

「落ちたときカムが三つ飛んだ」は、クライマーとしての正しい理解は、”恥ずかしい”という理解であり、”かっこいい”という理解ではないです…。

そんな愚かしいクライミングを、いくら重ねても、ステップアップは、できませんので、「お前、頭大丈夫か?」と言われてしまいます。ふつうは「すいません」と反省をするシーンです。

このように、危険を受容する以上に危険を美化しないと、たぶん九州では、「お前、金玉ついてんのか?」と言われるんだと思いますが…その受容するレベルが、昔は5.9だったのですが、今ではトップクライマーの故・倉上慶大さんなどは、5.14でやっていたんですよ。もうなくなりましたが。こうした記録に津出生していれば、逆に5.9なんかでランナウトしても自慢にもならないことが分かると思うのですが…。そんなところで、無駄に命を懸ける方が愚か者丸出しな感じです。しかも、女性に無理強いしますか?

このような「ランナウトをカッコいいとする文化」には、いわば、

未熟な“マッチョ的プライド”があります。

これは「怖れを感じる自分を否定する文化」であり、
まさに自由なFC自我や、現実的なA自我を封じるCP文化

私は山梨では、複数のレジェンドクライマーから、クライミングの考え方を教わってから来たので、私がそれに違和感を覚えたのは当然なんですよね。

私の中では、すでに、

「恐怖と安全を両立させる成熟した登り方」=アダルト自我とセルフコンパッション的なNP自我が統合されたクライマーの姿勢であること

が確立していたからです。

しかし、私の側につく人が、地元ではほとんど誰もいなかったんですよ。いや正確に言えば、いたんですが、なんと、ダメクライミングをしている人が私の主張に便乗しようとしたんですよ。自分のダメ評判を挽回したかったのかな??

だから、その場で感じたのは、利用された失望と孤立を選ばざるを得なくなった罠にはまった感でした。

私は自分の心の安定を取り戻したいと思ったのですが、それで母との密着期、バラ色だった時代を思い出していました。

周りが全員否定してきても、自分の内なる価値観を守れる、心の安定です。

しかし、九州の体験は、

「どう考えても正しいという、正しさを持っていても、誰からも守られない外の世界」

で生きる試練だった。しんどかったです。

なんせ、私の自己肯定感の源であった、クライミングが全否定されるような経験でした。

しかし、私は全否定されたとしても、生きている方が良かったんです。

そんな、つまらん下世話な信念に付き合って、殺されてしまうより。

実際に殺されてしまった女性がおり、昨日の自分、自分に起きたかもしれない過去を現実のものにした女性でした。私も祝子川に二人きりで行くように、お勧め、されていたんですよ。はぁ?勧めてくるなんて馬鹿じゃないの?と思って行きませんでしたが。

AC自我は、周りに合わせる自我です。そのAC自我で、「そんなにおっしゃるなら、おっしゃるとおりに九州のクライミングスタイルで登りましょう。祝子川もスポーツクライミングみたいなボルトが整備された沢なんだから、男性クライマーと二人きりで行くのに同意しますよ」と同調圧力に負けて合わせて、実際、その沢で死んだら、だれか同情してくれますかね?

いや、してくれんやろ。

これが、”クライミングは自己責任”の標語で、無責任が蔓延する構図です。根拠のない(というか根拠を間違っている)ポジティブ思考。

Kinny

新しい信念に書き換え

自分で自分の守護者になる

最近、母の後ろ盾があったころのことを思い出さなくなり、思い出さなくなったことに気が付いて、本稿を起草しました。

やはり、分子栄養学によって栄養を充足したことが、心の強さにつながったのだと思います。頭では理解できていたからです。

クライミング指導者の方へ

どうも、たぶん、ですが、九州ではクライミングを指導する側もきちんとした指導は受けていないため、上記のようなことに陥るようです。

ほっといたらこうなるのが、九州の文化なのでは?というのは、私の弟、高校入学一日目に、額に反りこみを入れて、ヤンキー風になって帰ってきたんですよね。弟も苦労しているんだなって思いました…姉として。私は九州の出身です。(大人時代は都会で過ごしたので考え方は都会や海外です。)

指導で、大事なのは、クライミング初心者の時期を安全に通過させ、危険なものの考え方を身に付けさせないことです。

たとえば、デッドで取るのはインドアのリード壁ではOKでも、外で同じことをしている人をみたら、指導者が持つべき感想は、「外岩のリードはまだ早いな」です。外では落ちることを予測できる能力を身につけさせないといけないのです。

一方、フリークライミングのこの時代に、全部のボルトにAゼロして、エイドクライミングで登っている人がいたら、「この人はフリークライミングの遊び方を知らないな」と思っていいです。

また、トップロープが初心者には必要ですが、「あれも登れる、これも登れる」という人は、岩の機微をよくわかっていないです。リードはまだ先です。登れるか?より、自分の限界を分かっている、ほうがリードの適性があるということなのです。

支点を軽視する人もリードにはまだ早く、登れても、終了点を作れないのでは、降りてこれません。

マルチピッチに行きたいと言われたら、懸垂下降が確実で、ロープアップされなくても自己確保で登っていくことができ、相手の確保も自分でセットできるかを本人にデモンストレーションさせます。「はい、終了点作って見せて」「セカンドの確保をセットして」と言います。これができたら、「ロープアップされなかったらどうする?」「どのギアで自己確保で登る予定?」「懸垂のセットをして見せて」と聞きます。

全部できないと、マルチピッチに連れて行くのは時期尚早です。ちなみに私は全部できるようになってからしか行っていないですよ。普通のショートの岩場ですら、「流動分散作って見せて」と言われ、できたから一緒に行くようになったのです。

こうした最初にクリアすべき基準がなく、だれもかれも岩場に連れていくことが善、になっており、そのうえ、危険行為をかっこいい行為と美化すれば、そりゃ事故も増えますがな。

このように「現場感覚に根ざした誠実な警鐘」を鳴らすことが、私の九州でのお役目だったのでしょう。