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2024/10/17

樋口先生の多久クライミングウォール

■ 樋口先生の多久クライミングウォール

いや、先生、クライミングウォールのスピード用の練習壁が九州にないので持ってくる、という計画は聞いていましたが、壁が完成できたそうで、やっぱり日本国はお金はあるじゃん!と思いました(笑)。

オリンピック競技選手を育成するための壁とのことですが、大体人工壁って岩場が存在しない県に取り入れられて、そこで強い選手が出ることが多いです。

岩場がないからこその人工壁って面があります。

一般に人工壁を登る習慣だけが付いてしまうと、リスクに無頓着なクライマーが出ることになるのですが…しかし、先生の教え方は、「アスリートである前にクライマーであれ」という内容で、アスリート(=人工壁)、クライマー(外岩)ということで、全国各地の岩場に遠征で、選手を連れて回っているのが良いことでした。これは公費から出ているようです。

大人はこれを自分の懐でやるわけですが…自分でやればひもはついていないけど、人の金だとひも付き…。結果を出さないといけなくなるので、いや、プレッシャーで大変だなぁと思って、私などは子供の側に同情してしまっていました(笑)。教育虐待的な親の元で育ったので。

しかし、指導の方法論として、先に外岩教育が合って、それから人工壁へ進むというのが正しい道なりであると思います。

■ 公共の壁は管理者不在

しかし、一般的な自治体では、クライミングウォールは管理者不在で、メンテナンスやルート入れ替えがボランティア任せだと、結局は誰も行わないことになる… 

これはクライマーが豊富な山梨でも難しく、小瀬運動公園の壁はルートの設定はいい加減でした。人工壁なのに、ぐるっとホールドが回ったりして(笑)。ガバがアンダーになったりした。

ただ、人工の壁って、こういうセッターありきで価値が担保されている、つまり良いセッターがセットしないとムーブが面白くない、ので、外の岩場なら、セッター=母なる大自然、なので、メンテナンスフリーです。ある意味。

外の岩場を登るのが本当のクライミング。

■ ゆとりある人の貢献

高校の部活で、営業ジム並みのルート入れ替えをするのは、ある意味、名案かもしれません。

というのは高校の先生って、結構、暇人だからです。小中学の先生と違って、特に美術とか理科とか特定科目の先生は、部活動に入れあげる先生も多いです。社会でゆとりある立ち場の人が、公共の壁に入れあげることができれば、その地域では営業ジム並みのクライミング環境を公共の壁が得ることができる… となれば、ジュニア育成の広がりも出ます。

一般に親が出せる教育費の限界ってのがあります。習い事はそれに合わせて市場価格を設定しないといけないことになっていますが… そうなると、子供の数も減っているので、サービス提供側は大変になります。都会では、クライミングジムは淘汰が始まっているくらいだし… 

子育ては楽しみも多いけどストレスも多く、大変で、親はアップアップなので、子供を数時間も放置して出かけることができるのは部活くらいで、部活はその意味、ありがたい仕組みです。

それに、大人か子供かに限らず、部活化しないと、そもそも物事は上達しません。

■ 健全なエネルギーの発散先が必要

しかし、人工壁のブームを見ると、人類は、楽に取得できるようになったカロリーの使い道がないんだろうなぁと思ったりします。

獣に襲われて喰われるリスクもなく、楽に食べ物が得られるようになった結果…エネルギー過剰です。座って仕事することが普通になると、摂取エネルギーより消費エネルギーが少なくなりますし…

そうした有り余った動物としてのエネルギーの発散先が、クライミングなんではないかなぁ?

特に男性。DVや犯罪に使うより、エネルギー発散先としては適切。どんどん、登ってくれ、って感じです。

しかし、40代のスタートの私に同じことを求めないでくださいよ。動物の原理として無理ですから。



■ スピード競技

スピードクライミングって、毎回同じルートを登って、よーい、ドン!で速さを競争するので、

中高年が楽しんでいるアルパインクライミングからの引退先としてのフリークライミング

とは、真逆で、それこそ暗記。自動化の上、大急ぎって感じです。考えないで登れっていう意味なので、とても楽しくなさそう…

ヒグラシさんで、8級の課題を飛ばしで登っていましたが、8級をスピードクライミングでアップで登る女性に出会い、話を聞いてみると、自分が取れるデッドの距離を考えて、ホールドは最小限しか使わずに、デッド連続、でした。もう一瞬で登り終えてしまうんです。いや~すごい。

しかし、身体操作の方向性として、私がやりたいか?というと、いや~普通の能力の人には無理、って感じがしました。強靭なバネがいりそう。

クライミングも陸上競技みたいに、短距離・長距離みたいになるのかもしれません。今、ボルダーが短距離走、リードが長距離走みたいなイメージですが、ヒグラシで会った方は、ダントツすごかったです。国体選手とかじゃないかと思いました。

■ 競技人口が少ない

あのお姉さんは、ちゃんと国や県の国体選手のリストに入って、強化練習出来ているのかなぁ…

などと、余計なお世話を考えたほど、上手でした。

クライミングは競技人口が少ないので、特別に上手だったら、大人スタートでも十分にアスリート枠参加の余地があるからです。

それが、アイスクライミングの世界です。例えば、門田ギハード君は、大人スタート。

■ 非日常動作の習得は、暴露量の勝負

一般的に、非日常の動作であればあるほど、子供スタートが有利です。芸事と同じです。

バレエでも、大人からスタートした人は、子供スタートの人とは雲泥の差です。(大人スート組にも、優劣の濃淡はありますが、そんなのは目くそ、鼻くそを笑うレベルです)

なので、子供で一瞬でもスタートしていれば、昔取った杵柄で、大人になってから常に大衆から一歩リードすることが可能。それは、その子を生涯支える自信になるかもしれません。

■ 勝敗の関係ない世界=大人の世界

しかし、人工の壁の世界は、勝敗ありき。

子どもでも、植物…野菜などの苗でも…幼いうちは競争させて育てます。そのほうが生育がいいんですよね。

でも、ある程度、成長したら? 一本植えのほうが大体生育が良いです。品種にもよりますが。

例えば、稲は、1.5葉くらいになったら、一本植えして、間を充分に開けて、一本だけで植えたほうが分げつが良いです。たぶん、栄養を独占できるからだと思うけど。

大体、点まきする大根など、2,3粒入れても、1本に間引いてしまいます。

それが野菜の育て方。

そういう植物の育て方を学んで、大人である私は、勝敗のない世界に固執して登って行きたいと思ったりしました。

なんせ、私の幸せは、まるで岩の上のトカゲみたいなことにあるからです。

秋の晴れた日に、岩場の上で、ぽかぽかとした陽光に照らされる。周りは気の置けない仲間。

木漏れ日の下でお弁当を食べる。

ちょっと登って見ようかと、トップロープであるいはリードで悪戦苦闘したら、頭がすっきりする。

そんなところが好みです。

多くを欲していない。

こんなの、自己顕示とは全く無関係。一般的な意味での成長することとすら無関係で、

関係があるのは、

 充足

です。人は動物。動物として幸せな生き方をしたいですね。