2017/08/12

男子は難しい

今日は土曜日=マイソールはお休みの日…ちょっと残念。

去年の今頃のことを考える。小川山でテント泊していたんだが…。ちょっとした事件があった。パートナーのことだ。

私は、山では、ホントに男性と女性では危険の認知力が違うと思う。おそらく、女性は子供を守ると言う本能を与えられているので、危険認知が、男性の数倍早い

Kさんという講習生の同期がいた。一緒にアイスしたりして楽しく登っていたんだが、無雪期になって沢シーズンに入ると…出てきた行くところリストは、ものすごい難しい沢山行ばかり…。

当時の沢の師匠に見せると、初心者が行くには危険極まりないところばかりだそうだった…。ので、それを彼にフィードバックすると怒ってしまったのだ。ので、彼とは山に行かないことになった。

山をまだ良く知らない男性山ヤとのパートナーシップの解消は、こういうケースが多い。

皆、行きたいところが、”いきなり高度”すぎる。”段階を踏んだ成長”ということを全然理解していない。

それで、私の方から 

 「無理強いされて死ぬくらいならパートナー解消」

となってしまう。Kさんの時も、この事例で、私は沢の師匠になってくれる人を見つけていたし、二人で門下に下ろう(笑)と思っていたのだが、彼は、師匠に付くなど、男の沽券にでもかかわるとでも思っていたのか、沢登りに師匠が必要とは、予想だにしていないのだった…

で、けんか別れしたのだった。私が見つけた人は、素晴らしすぎる沢経験が豊富な師匠だったからだ。彼にはその価値がワカラナイのだった…。

テント泊では、その喧嘩の事情を誤解した人が、私がKさんと登らなくなったことについて、否定的なことを言ったのだった。事情をよく知りもしないで。

■ 男子は難しい

男子というのは、ホントに山にたいして自信が一杯過ぎて、難しいです。 

大学生のO君も同じでした。 初級のアイスのルートにセカンドで彼を連れだしてしまった後で、「懸垂下降したことありません」。

懸垂下降と言うのは、アルパインでは最初に習う技です。ないとどこへも行けない。

ですから、したことがないということは、まったくのゼロ初心者、と言う意味です。敗退ができない人は、どのようなルートにも行くことが許されないのですから…。

ですから、この時のこのセリフで、私は、ハッとすべてを理解し、このルートのあとは、人工壁に連れて行き、バックアップがついた超安全モードの初心者向け、懸垂下降から、支点の作り方、セカンドの確保のセット、つるべ、基本的なムーブまで、色々教えたのでした…。これらはすべて私が有料で学んだことです。

さらに岩場もデビューしてもらわないと、ルートはないので、岩場デビューまで、先輩に頼み込んで、面倒を見たのです。山岳会も知人や友人のつてで彼の年齢にあっていそうなところを探し、一緒に例会に行き、片方は私自身入会したくらいです。自分の近所の会に入らないと、週2半年で、ビレイを習得するようなプロセスに入れないからです。

アイゼントレのための岩トレもしてあげました。自分には必要ないけれど、後輩を安全に山に連れて行くためには、先輩の義務みたいなものです。

それでも、やっぱり、彼はビレイを習得してこなかったのです…。知り合って1年が過ぎ、彼にはリード壁での技術習得が必要だと言ってあったのに、彼のビレイを見ると、去年のままでした。

ビレイと言うのは、山へ対する意識が分かります。ただ持っているだけでいいという教わり方をしてしまった人など悲劇です。山はそんな甘いものではないのです…ここで甘く育ってしまうと、一事が万事となりかねない。

外のアイスからビレイを入門するのは、初心者に誤解を与える非常に大きなリスクで、アイスではだらりんビレイがだいぶ許容されています。落氷があるからです。しかも、アイスで通常リードするのは、絶対に落ちないベテランと決まっています。なぜなら、それだけ墜落が許されないからです。なので、結果としては、ビレイは形骸化します。つまり、落ちないから誰でもいいし、だらりんだろうがなんだろうが、クライマーとしてはリスクは変わらないので気にせず登る、ということになります。

しかし、初心者は、それがアイスだけの、またベテランがリードするときだけの特別な事情とは、まだ分かっていないので…そのようなビレイを常用するようになると、非常に危険です。フリーでは全く許されないビレイ、人工壁だと完全にアウト、と言うようなビレイをします。

私はパートナーは欲しいですがビレイができないような人は、さすがに無理。どのようなクライマーでもビレイが確実なビレイヤーを求めるのは贅沢ではなく、ただの必要最低限です。

男子には、誰か大人の男性が、きっちり山ヤになるにはどういう責任が附随するのか、教えてくれないとダメです。 

じゃないと、ただロープ持っているだけで、俺ってイケてる~って思っちゃうのです。

なにしろ、アイスクライミングや岩登りは、周囲の人間には全く理解されておらず、ギアを持っているだけで、鼻高々になれる活動だからです…

一般に、山登り自体が、全体的にそんな面があります。ギアが特殊なので、特殊な感じを漂わせています。平たく言えば、知らない人からみたら、なんか凄そう…

ですから、余計に、謙虚な姿勢で臨む必要があると思います…。

■ 過去の経験から学んだこと

私はこれらの経験から何を学んだのでしょうか?

1)事情を知りもしないのに 予断で判断するのは失礼だということ

私はKさんとのことを一方的に悪人扱いされ、嫌な思いをしました。Kさんと一緒に登れないのは私だけではなく、たとえ男性でも初心者だったら無理です。命がいくつあっても、足りないことになってしまいます。自分で自分の命を守るのは自己責任なので、Kさんと登っていないのは、私は正しく自己責任を取ったということになります。

2)ビレイくらい確実な人をパートナーに欲しいと思っていること

私はビレイが良く何度も墜落を止めている経験がすでにあるなので、私自身にも、私の墜落を止めてくれると信頼できる人をパートナーに欲しいと思っています。それくらいは最低限の条件で。

3)ビレイヤーを育てるのは、男性は男性同士で

女性に対しては男性は甘えが出るので、ダメなのではないかと。言って聞かせて分からない場合、対処法がなくなります。

4)ビレイヤー育ては、最初が肝心

ビレイを習得すると言う面で、落ちることがないアイスクライミングでビレイデビューすると言うのは、最悪の選択肢です。

やはり墜落が当然のように繰り返される人工壁でバンバン落ちるのをバンバン止めるというのが大事なことのように思います。

そうでないと確保器の屈曲が要だということがワカラナイ。

5)手放す

言って聞かせても分からない人だったら、いくら自分が一杯自分の時間を使って育てた人でも、執着を手放して、あきらめる必要があります…

手放すということを学ぶ良い機会なのだ、ということなのでしょう。

6)要らないプレゼントはあげない

O君がそもそも、ビレイを習得したがっていたか?というと… もしかしたら、違ったのかもしれません。

そうなると、私が先輩を引っ張り出して岩トレしたり、色々した努力は彼にとっては、あまり、あり難いことではなかったかもしれません。事実、お礼を言われたことがなかったような???

ということは、擦れ違いのプレゼントということです。

すれ違いのプレゼントは悲しい… 相手が頼んできたときだけ、プレゼントをあげる、ということが大事なこと、

特にこの辺は女性と男性では話が違います。

女性は、相手のニーズを察して、相手が言葉にする前に差し出すことを思いやりのある態度と思います。

男性はそうではなく、自分が頼んだことでない限り、やってもらった、とは思いません。

以上が、これらパートナー候補者2名から、経験から、学んだことです。