ラベル 指導内容 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 指導内容 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025/11/11

ゲレンデクライマーではマルチに通用しない

2022年に鬱になり、現在、回復期。すっかり元気になり、やる気も戻りました。水泳絶好調です。

そして、振り返って思うのは、なんであんな些細なことで自責していたんだろう???ってことです。もう、?マークが一つくらいではなく、3つでももなく、なんなら100個くらい付けてもいいくらいでした。

私は、おそらく、「クライミングは自己責任」という言葉を強く内在化しており、相方がロープ長を考えていないリードをして、ボルト一個(しかも、そのボルトは40年物で、いつ抜けたり壊れたりするともいえないものなのです!)にぶら下がる羽目になったのか?

わたしはどうしてそのような奴を見抜けなかったのか?

と自分を責めていました。

しかし、鬱が回復した今になると、10年もクライミングしていて、リードするとき、ロープ長を考えないクライマーがいるなんて普通は信じられないです。あほも休み休みにせい、って、文字通り本当にそのまま言いたい感じです。奴を選んだのは、私の自己責任、とは言えない。奴のあほさまで私の責任であるとは言えない。リードするときにロープの長さを考えるのは、誰からも教わっていなくても普通のことだからです。

まぁ何が言いたいかというと、人の性格にまで責任を持たなくていいってことです。

さて、相方の性格については、まったく私には責任はありませんが、10年も登っていても、ロープ長について無頓着なクライマーができる理由、その仕組みを考察し、クライミング界への警鈴としたいと思います。

なぜ、何年も登っていてもロープ長を考えずにリードしてしまうクライマーができるのか?

理由1)

なぜなら、普段の外岩でリードするのが、20m以下の短いルートばかりで、現在のシングルロープの主流は、50mなので、ロープが足りないケースを経験することがないから。

理由2)
外岩のリードで、長い距離をリードすることを目指さず、グレードを上げることを目指すので、同じ20m以下のルートで、5.10→5.11→5.12→5.13と進み、長いルートを登ることがないから。

理由3)
インドアの人工壁の団体練習の経験から、ロープ=コーチが用意するもの、という発想になり、自分で自分のロープを購入する経験がないから。購入すれば、ロープの長さは何メートルが最適か、自分で判断することになるが、判断のチャンスを得ていない。

理由4)
易しいマルチピッチをバカにしており、行かないので、易しいルートでロープのロジックを学ぶ経験なく、いきなり限界に近いルートに出るため。ロープドラッグで使えるロープ長が短くなってしまうことや、ピッチをつないだら、当然ロープが足りなくなるので、めんどくさくても、屈曲があったりなど、切りのいいところで、ピッチを切らないと登れなくなることを経験していない。

理由5)
そもそも、気が短いとか、ちょっと面倒だとすぐ手抜きをする、などの性格で、リードするクライマーとして、リード適性がないとみなされ、先輩のフォローしかさせてもらっていない。しかも、そのことを、本人は自分にリードクライマーとしての適性がないから、リードを任されないのだと理解していない。

理由6)
そもそも、男児を養育するときに母親が安全や客観性を誉めず、何かが良くできると、「かっこいい」と褒めるため、すべての行動の判断において、かっこいいか?どうか?が、判断の軸になっている。つまり、幼児的な判断から、逃れられていない。

と以上のような理由が思いつきました。

彼は、ボルトにはカットアンカーとグージョンがあることすら知らず、出てくる終了点を不思議だ、変だ、とは感じていないようでした。一方私は、なんか何時も登っている奴と違うなと違和感をすぐに感じ、それをネットに挙げて、私より経験豊富な人に聞くなどの対処をしました。

つまり、彼は性格上、かなり従順で、世の中をそのまま受け入れてしまい、え?変だなと感じないらしかったのです。これは、アダプティッドチャイルド自我が非常に高いということを意味します。

クライミングには知性と疑う力が必要

アダルト自我が低いとクライミングでは危険です。アダルト自我って前頭葉の働きって意味です。クライミングの安全は基本的にロープが担保していますが、ロープのあれこれって、基本的にめんどくささとの戦いなんです。


ちょっとしためんどくさいことを、ま、いっかとスルーしてしまう、前頭前野のはたきが悪い人が、事故に会う。

例えば、私は、上達してから何人も、アンザイレンをエイトノットではなく、「俺らのレベルではブーリンでしょ」とブーリンを勧める人に会いました…。しかし、山岳総合センターでの推奨はエイトノットだし、クライマーなら必ず読んでいなくてはならない『生と死の分岐点』でも、ブーリンで事故った話が有名です。リング加重してしまうとブーリンはすぐ解けます。

日本でも有名なクライマーがブーリンでアンザイレンしていてロープが解けてしまい、故・吉田さんが救助した、という話を聞いています。

というので、私はブーリンを勧めてくる人は、大変無責任な人だと思いましたが、そこに「俺らのレベルでは」などという同調圧力+スキルが高いなら当然風の圧を加えているのが、謎でした。

ちなみにこのクライマーは、5.12は登れても、ロープドラッグで岩角にロープが当たっても気にしないでいるようで、私は引率の先生状態でした。

しかし、このクライマーはとっても自信満々でした。その自信の根拠がグレード一点だということで、現代のクライマーが偏った成長をしていることが分かりました。

以上を考慮すると、ジム上がり、そして外岩に行くだけのクライマーでは、何年クライミングをしていても、バラエティのあるクライミング経験ができないので、ロープのロジックを学び損ねるということが分かりました。

一方私はクライミング歴3年で自立してクライミング可能になったので、成功事例だと思います。経験の中で逆に何がよかったのか?をまとめると…。

1)外岩に出る前に、一般登山、つまりハイキングのレベルで相当数の山に登り、いろいろな斜度に触れていた。また落ちてはいけない箇所などの山に関する理解があった

2)山岳総合センターなどの専門機関に先に触れた。そのほか、無名山塾などの複数の専門集団に触れた

3)山の本をかなりの数、クライミングになる前に読んでいた。例:菊地敏之さんの『アルパインクライミング』

4)易しいマルチピッチから最初からリード。最初の岩場はアイゼントレだったのでアイゼンで登れるならクライミングシューズで登れるのは当然なので、2度目からリード

5)易しい岩場でピッチ数を稼ぐトレーニングをしていた

6)高度なグレード(フリークライミングの5.9)が登れるようになる前から、アイススクリューで登るクライミングをしていた

7)難しいグレードを登る前に、長いルートを登っていた

8)易しいマルチピッチをバカにせず、飛び級しないでコツコツルートの難度を底上げしていく戦略をとった

とくに8)は、男性クライマーは、いきなり難しいのに行きたがります。

ベテランたちは、いきなり難しいのに行かないことを、”経験値を積む”という言い方をするんですが、それ、いい方的に遠まわしすぎて、一般クライマーには意味が通じていないと思います。

全体に、クライミング指導全般で、相手の男のプライドに配慮しすぎて、「してはいけない」内容がきちんと届いていないと思います。

男同士だから、相手のプライドがガラスのプライドだってことが分かりあえるせいなのではないでしょうかね?

しかし、プライドに配慮しすぎて、人を殺しかねないミスまで指摘されないで温存されることになっている。

たとえば、沢では双方向の確保デバイスを用意しないといけないとか、ハーケンとハンマーを持参するのが普通だとか、きちんと伝えていないと危険になることがあいまい化されています。

懸垂下降についても同じで、岩場に行く前にやらないと、行ってから学ぶでは遅いです。

という以上のようなことが事故の種を温存させ、いつか事故として花開くような、時限爆弾的な仕込み行為となっています。

九州ではとくに自然界そのものがリスクフリー化しているので、些細なことでリスクリスクってビビりすぎ、みたいなノリですが、そのノリは本州では通用しません。単に九州の岩場は過保護なだけなんです。

残置カラビナ直がけでローワーダウンがローカルルールって言われましたが、そんなの、小川山でやっていたら、チクチク言われますよ。