これは、地域おこしの一例として、”クライミングによる地域おこし、も可能性としてありますよ~”、ということを、地域の方々に知ってもらう活動の一環として、参加しました。
”地域おこし”ということに、”クライミング”も視野に入れてもらいたいです、ということです。
■クライマー側の一般的事情
クライマー側の一般的事情としては、クライマーは、いわゆる観光からは、最も遠い存在です。
豪華な食事に興味もなく、温泉にも興味がないのが一般的クライマーで、その理由は、お金があるなら、クライミングギアにかけたり、一分一秒でも多くクライミングに接するために、生活をギリギリまで倹約しており、同じお金なら、倹約できない車代とか、高速道路料金、そういうものに掛けるからです。(私も帰りは高速ではなく、下道で帰りました。資金を体力でカバーするのがクライマー人種の慣例です)
【一般クライマーの価値観】
豪華なお食事1.5万円 < クライミングギア 1個1.5万円
宿泊費2000円 < 高速道路代2000円
温泉代500円 < ビール代250円 <コーヒー代350円 もしくは100円×5回
一泊1万円の宿 < 雪山遠征費
もちろん、クライマーにも色々いますが、
・基本的にテント泊で宿泊無料、
・道の駅での買い出しで食費一回約1000円、
・後は高速料金を仲間の頭数で人数割り、
というのがクライマーの伝統と相場感です。
一応、”現代初心者”という名前の伝統を打ち破るクライマー人種も、最近は台頭してきていますが…。その人種ついては、長くなるので、ここでは割愛します。
要するに 現代主流のいわゆる”クライマー”という活動をしている限り、豪華な温泉宿、というのはクライマーの行動圏にかすりもしない、ということです(笑)。
逆に見れば、そのような投資が必要な設備を求めてこない、謙虚で質素な人種、という風に見ることも可能だと思います。
■ 地域観光開発 … 八面山の魅力を考えるワークショップ
今回のツアーは、よくあるバラマキではなく、別名、八面山の魅力を考えるワークショップでした。
東京から招いたライターとコンサルタントが同席していました。コンサルタントは、九州でも調達できるのに、もったいないなぁとは思いましたが、東京方面のお客さんを呼び込む、東京的な都会である福岡都市住民を呼び込む、という意味では良かったかなと。(エンジョイワークスさんなど、コンサルに取り入れるのは、どうかなと思ったりしました。同じ会社を使い続けないのがコツです)
私は三井物産で地域の観光開発をしたこともがあるのですが(門司港レトロ)、やはり、東京方面の開発コンサルタントにプランを何社か出させ、コンペ形式で、プランを採用する、というのが王道でした。
こうしたコンサルを開発コンサルが答えを出すのではなく、お客さんそのものに考えてもらい、意見をもらっちゃおう!というのが今回のワークショップ。顧客目線で正しい戦略と思います。どんだけ考えても都会のコンサルからは見えない点がありますしね。
■ トレッキングコース
トレッキングコースは、金色渓谷から八面山を一周するコースでしたが、
バリバリ働いている現役キャリアの女性層がメインターゲット。
つまり、山の歩き慣れはしていない層(そんな時間、どこにあるんです?)なので、いきなりの金色渓谷は、廃道ぎみの道、という意味での難路でしたので、みなさん、あたふた…(
笑)。
腐った落ち葉が滑ってころりん=あら捻挫、がありそうな路線の道でした。登山道の名前を金色渓谷(わんぱくコース)とでもすると良いかもしれません。
私は、和予石も行ったことがなかったし、パラグライダー発着場もスルーしており、クライミングで一回、ニッキーを連れて1回、他の方の案内で1回、と3回行っているだけではありますが、クライマーってホント、岩場に直行直帰だからなぁ…と思いました。
日本フリークライミング協会の井上さん(当時理事)を案内した時も、まったく彼、観光スポットは興味なかったですが…(笑)。
八面を案内するローカルクライマーとしては今回ツアーにも同行してくださった池田さんが適任者です。今回のモニターツアー参加で、さらに、日ごろクライマーとしてはかすりもしない高級宿の様子も分かったので、さらに適任化されたように思います(^^v)。
さて、歩き慣れていない一般市民レベルのハイカーにやはり受けるのは、歩きやすく、見晴らしが開けた場所でした。
バラグライダー発着所は、星空観察に最適な場所なのだそうです。別名:恋人の丘?
八面山でスルーしがちなのが山頂かもしれません。山頂や、岩のてっぺんがせり出している第〇〇展望台…というところよりも、人工の展望台が設置してあるところの方が安全で見晴らしそのものも良いので、山頂でヤッホーっていう定番の山登りの感じではないのです。
八面は、もともと宗教的な場所で、下にある神護寺に伝わる修験道の伝統が、山全体が
和製エアーズロック
だったことを伝えているのですが…。神護寺当たりでは、ハイキングですっかり体力を使い果たした、同行者のみなさん…、説明も上の空、だったかもしれません。一応、この日の日程消化で、石舞台へも行ったのですが、すでに疲れて、”お家帰りたいよーモード”だったように思います。
石舞台では、口の悪い友達が、金属製しめ縄を、”クライマー避け”などと評していましたが…。
クライマー側は、登らないでほしいという地元の意思表示を受けたならば、それは尊重しないといけません。
ただ、伝統的なクライマーは地元との関係が大事だということを、とっくの昔に分かっている。
ので、迷惑クライマーは、いわゆる昨今の ”現代初心者組” かもしれませんが…。つまり、クライミングの伝統的コミュニティが補足していないユーザー層です。
現実問題、石舞台のてっぺんにゴミ放置、先日の日之影の仲組公民館でゴミ放置という問題があげられていましたが、犯人がクライマーというのは、クライマーのネットワークですぐに、こら!っと注意を受けるこの時世で、なかなか考えにくく…。クライミングのネットワークに取り込まれていない、新人層なのかもしれません???ということで、ますます、新人をきちんとしたクライマーのコミュニティに取り込む、ということが大事と思われます。つまり、昔みたいに、クライマーが特権階級意識丸出しで、「仲間に入りたけりゃ実力見せてみな」の態度で仲間に初心者を入れない態度では、Lose:Loseということです。
このように、クライマー界も、(クライミングどっぷり人種)と(現代初心者)で二極化しています。これは、ハイカー界(登山しかしない人たち)も同じで、(冬の剣登ります派)と(高尾山でいいです派)で二極化しています。
■ お宿 金色温泉
お宿の金色温泉は、お食事もおいしく、温泉も大分標準クラスということで、全国レベル以上…で、すっかり懐かしの
高度経済成長期
を味わいました。今となっては、1泊1万円でも、うわー高い!というレベル感のワタクシですが、花の商社OL時代もありましたので…、当時は、13000円くらいだと、”え?黒川温泉で?割安~”と思ったりしていたのでした…。
■ 都会のクライマーの皆さんのグルメ・クライミングツアーに最適
ということで、分かったことは、金色山荘宿泊でのクライミングツアーが可能だということです。(他にエコノミークラスの八面山荘もあり)
首都圏などのバリバリ現役キャリア世代のクライマーのご褒美クライミングツアーでのご利用などが良いのではないでしょうか。一泊2万円の高級温泉宿に泊まりながら登る、贅沢クライミングツアーです。日ごろ、家族サービスをしないクライマー一家が2組集まれば。
お父さんのクライマー2名はクライミングをして愉しみ、お母さんや子供たちグループは一日ハイキングしたり、神護寺、米軍機墜落の場所で歴史や宗教を学んだり、あるいは、温泉で日がな一日命の洗濯をして過ごせます。飽きたら、車から降りて徒歩〇〇秒、というようなボルダーで、ボルダリングしてもいいかもしれません。パパクライマーがクライミング指導して、頼りがいのあるところを見せてあげてもいいのかもですし。
そのためにはどんなサービスがさらにあると良いか?ですが、金色山荘は、由緒正しいお宿すぎるので、八面山荘あたりで、クラッシュパッドの貸し出しや雨の日ようのボルダリング壁設置があるといいかもしれません。
ただ壁は、長野の岩根山荘で設置していても使われていないので、ホールド入れ替えが肝なので、入れ替えできないくらいなら、設置はしないでいいかもしれませんが。
宿から徒歩で岩場まで行けるので、ある程度の年齢から上の中学生高校生レベルの外岩デビューに集中トレーニング合宿というのも可能性があるかもしれません。外岩デビューは、学ぶべき座学がけっこう多く、岩場以外にも、夜の時間帯に、講習会を開く必要があります。
事例として、雪崩講習会では、労山も日山協も、土合の家を使っていますが、これからは現代初心者のクライマーに外岩デビューしてもらうには、2泊3日くらいの集中学習が必要な時代のような気がします。これまでのように、山岳会の先輩について、何年もかけて学ぶというのは、その先輩の頭数が足りていない状況です。
次回予定されているリボルト講習会も、泊まり込みをベースに、近所で宿泊が不要の人に宿泊なしで講習会料金だけの2パターン作ると良いと思いました。
■ まとめ
八面山クライミングにおススメの顧客セグメントは
バリバリ働いているパパクライマーの家族サービスとご褒美遠征クライミング
もしくは
都会でバリバリ働いている現代初心者クライマー君のクライミングガイド同伴でのクライミング入門
もしくは
都会でバリバリ働いている現役社会人複数人のご褒美クライミング
でした。
一般の質素な寝食のローカルクライマーにはないけれど、社会人現役世代の、年に数回の遠征で…なら、あるのかもしれないなぁ…などと思いました。
先行事例として、岩根山荘での豪華なお食事も、ガイド主催のクライミング講習会に参加する初心者クライマーたちには好評のようでしたし…(岩根でのアルバイト経験あり)。
クライマーの中でも増えている、いわゆる”現代初心者”の人たちにクライミングの敷居を下げながら、クライミングしてもらうには、いいのではないでしょうか。
《参考サイト》
土合の家
土合の家における雪崩講習会の様子
岩根山荘
岩根山荘でのアイスクライミングコンペの様子
上記、2例の
・リボルト講習会バージョン
・外岩入門クライミング講習
さらに、岩場清掃活動と組み合わせ
ができれば、大変良い取り組みかもしれません。
登山難易度