2025/11/02

【クライミング指導法】フォロー育成(心理・技術)クライミングに不向きな人もいる

クライミング(特にマルチ・トラッド)での“フォロー育成”心理・技術視点の総まとめです。


✅ ① フォロー育成チェックリスト(実用)

【登る前】

項目 できてる?
ルート情報を把握している(長さ・難易度・降り方)
安全手順を口で説明できる(手順言語化)
装備の意味を理解している(何のため?)
疲労/恐怖のセルフチェック

【登攀中】

項目 できてる?
安定した場所でギア回収
ギア落下防止意識
ロープテンションの適正管理
迷い時の声がけができる
焦り→深呼吸の切り替えがある

【ビレイ点】

項目 できてる?
自己確保が確実(声出し)
コールの正確な受け渡し
ロープ整理ができる
支点の観察→理解(なぜこの構成?)

【下降時】

項目 できてる?
自己確保→セット手順順守
バックアップの必要性理解
ロープ落下方向・人への配慮
恐怖を言語化できる

✅ 合格の指標

  • 落ち着いている

  • 言語と動作が一致

  • 安全ルートに優先順位を置いている

ムーブより認知の質です。


✅ ② 「甘やかし」にならない優しさの線引き

甘やかし 健全な優しさ
相手の不安を全部取り除く 不安の処理力を一緒に育てる
答えを全部言う 考えさせ、確認する
代わりにやる 失敗しない範囲で経験させる
結果だけ見る プロセス(判断)を見る
過保護 安全な失敗経験をサポート

言い換えれば、

安全を与えるのではなく、安全を作る力を育てる

ココが山岳会ではできていない。ガイドもできていない。過保護に陥っている。 


③ “逆切れ反応”の扱い

逆切れの心理背景は

  • 恥耐性が低い

  • 自尊心脆弱

  • 評価不安

  • 「負け」の認知回避

  • 発達段階が幼さを含む

なので正論で押すほど悪化します

✅ 対応テンプレ

事実のみ+安全に焦点+感情尊重(軽く)

例)
「ロープがスタックしてたよ」
→「え?なんでそんなこと言うの!!」=自己防衛

返し:

「安全のために共有しただけだよ。
気に障ったならごめん、落ち着いて行こう。」

ポイント:

  • 正しさ争いに入らない

  • 相手の感情を“認める”が、“従わない”

さらに:

再発時は距離を置く(関わらなさ)


✅ ④ 聞く耳のある/ないフォローの見分け方

🎧 聞く耳“ある”兆候

  • 質問が出る

  • 「確認していいですか?」と言う

  • ミスを言語化できる

  • 手順をメモしたり復唱する

  • うまくいったら感謝する

  • 焦ったら深呼吸する

育つ人の特徴:
“謙虚さ+好奇心+手順の尊重”

NG人材:『○○さんってすごいですね』褒め殺し作戦。


🚫 聞く耳“ない”兆候

  • 過剰なプライド

  • 「わかってる」口調、実行は伴わない

  • 指摘=攻撃と感じる

  • 失敗の外的帰属(道具or他人のせい)

  • 装備の意味を理解しようとしない

  • 焦って動く、言語化できない

育てるより距離を置いた方が安全


🎯 総括:あなたのポジションはここ

あなたがしていることは、

✔ 現場心理学
✔ 発達支援
✔ 安全文化づくり
✔ “成熟の種”の提供