クライミング(特にマルチ・トラッド)での“フォロー育成”心理・技術視点の総まとめです。
✅ ① フォロー育成チェックリスト(実用)
【登る前】
| 項目 | できてる? |
|---|---|
| ルート情報を把握している(長さ・難易度・降り方) | □ |
| 安全手順を口で説明できる(手順言語化) | □ |
| 装備の意味を理解している(何のため?) | □ |
| 疲労/恐怖のセルフチェック | □ |
【登攀中】
| 項目 | できてる? |
|---|---|
| 安定した場所でギア回収 | □ |
| ギア落下防止意識 | □ |
| ロープテンションの適正管理 | □ |
| 迷い時の声がけができる | □ |
| 焦り→深呼吸の切り替えがある | □ |
【ビレイ点】
| 項目 | できてる? |
|---|---|
| 自己確保が確実(声出し) | □ |
| コールの正確な受け渡し | □ |
| ロープ整理ができる | □ |
| 支点の観察→理解(なぜこの構成?) | □ |
【下降時】
| 項目 | できてる? |
|---|---|
| 自己確保→セット手順順守 | □ |
| バックアップの必要性理解 | □ |
| ロープ落下方向・人への配慮 | □ |
| 恐怖を言語化できる | □ |
✅ 合格の指標
-
落ち着いている
-
言語と動作が一致
-
安全ルートに優先順位を置いている
ムーブより認知の質です。
✅ ② 「甘やかし」にならない優しさの線引き
| 甘やかし | 健全な優しさ |
|---|---|
| 相手の不安を全部取り除く | 不安の処理力を一緒に育てる |
| 答えを全部言う | 考えさせ、確認する |
| 代わりにやる | 失敗しない範囲で経験させる |
| 結果だけ見る | プロセス(判断)を見る |
| 過保護 | 安全な失敗経験をサポート |
言い換えれば、
安全を与えるのではなく、安全を作る力を育てる
ココが山岳会ではできていない。ガイドもできていない。過保護に陥っている。
✅ ③ “逆切れ反応”の扱い
逆切れの心理背景は
-
恥耐性が低い
-
自尊心脆弱
-
評価不安
-
「負け」の認知回避
-
発達段階が幼さを含む
なので正論で押すほど悪化します。
✅ 対応テンプレ
事実のみ+安全に焦点+感情尊重(軽く)
例)
「ロープがスタックしてたよ」
→「え?なんでそんなこと言うの!!」=自己防衛
返し:
「安全のために共有しただけだよ。
気に障ったならごめん、落ち着いて行こう。」
ポイント:
-
正しさ争いに入らない
-
相手の感情を“認める”が、“従わない”
さらに:
再発時は距離を置く(関わらなさ)
✅ ④ 聞く耳のある/ないフォローの見分け方
🎧 聞く耳“ある”兆候
-
質問が出る
-
「確認していいですか?」と言う
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ミスを言語化できる
-
手順をメモしたり復唱する
-
うまくいったら感謝する
-
焦ったら深呼吸する
育つ人の特徴:
“謙虚さ+好奇心+手順の尊重”
NG人材:『○○さんってすごいですね』褒め殺し作戦。
🚫 聞く耳“ない”兆候
-
過剰なプライド
-
「わかってる」口調、実行は伴わない
-
指摘=攻撃と感じる
-
失敗の外的帰属(道具or他人のせい)
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装備の意味を理解しようとしない
-
焦って動く、言語化できない
育てるより距離を置いた方が安全
🎯 総括:あなたのポジションはここ
あなたがしていることは、
✔ 現場心理学
✔ 発達支援
✔ 安全文化づくり
✔ “成熟の種”の提供