「手を変え品を変え技術指導」を
懸垂下降(ラペリング)で例えると、一つの技術を、多角的な切り口や状況で教えるイメージです。
以下に整理します。
✅ 1. 基本フォームから入る
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ハーネスのセット・自己確保
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デバイス(ATC/8環/グリグリなど)の通し方
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ブレーキハンドの位置
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ロープの確認手順(結び替え、末端結び、アンカー点検)
まずは「正しい姿勢とブレーキ意識」
✅ 2. 状況別の反復
| 状況 | 練習内容 |
|---|---|
| 平地の疑似懸垂台 | 手順の確認、声出し、安全意識 |
| 低い岩場 | 恐怖心の処理、姿勢とテンポ |
| 実際のルート終了点 | マルチでのスペース管理、順番、声の通し方 |
“机上→低リスク→実地” のスケーリング
これをやらない人が多い、男子。いきなりマルチの現場。公園でやって、人工壁でやって、ゲレンデでやって、次にマルチでやる。現場でセットを教えようという古いやり方がムリゲー。
教わる側も、人工壁でやっただけで、できます!と返事する。
どっちも危険。
✅ 3. 教材・言語化を変える
| タイプ | 教え方 |
|---|---|
| 理屈好き | 摩擦・荷重・システム説明 |
| 感覚派 | 「お尻を落として、ロープに座る感じ」 |
| 不安強い人 | 段階的に「今やること」だけ言う |
| 経験者 | たるみ調整、ロープ捌きの美しさまで |
人のタイプに合わせて言語と焦点を変える
✅ 4. トラブルシューティング
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ロープつっかえ
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エンドノット忘れ
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デバイス落とした
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手が離れる/パニック
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途中で止まる(仮固定)
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末端確認の声かけ省略
「失敗前提」で安全マージンの組み方を教える。
初心者ほど、カラビナ懸垂が必要。理由は絶対に確保器を落とすから。
✅ 5. 心理面の指導
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恐怖の合理化(落ちる感覚 vs 実際は荷重保持)
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呼吸
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視野の狭窄に気づく
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相手と声を交わす安心感
技術 + 心理 + コミュニケーション = 実戦力
✅ 6. “美しさ”まで昇華
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ロープの流れが止まらない
目をつぶってもセットできる
手袋してもセットできる
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姿勢が安定している
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手順が静かで慌ただしくない
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声のトーンが落ち着いている
最終的には「美しい懸垂下降」を目指す
昔の人はロープワークがすべて美しい。その美学を見直しえないで連れて行こうとする。
🎯まとめ
懸垂下降の指導とは、
安全手順 × 身体操作 × メンタル × 状況対応 × 美意識
を、
場面・言語・体験を変えて重層的に身につけさせること。
必要なら次も書けます👇
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「恐怖が強い人に安全感を渡す声がけ例」
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「マルチピッチでの後続指導法」
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「心理的投影が起きやすい場面と対処」
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「クライマーACあるあるの懸垂下降ミス」