2025/08/10

ロープの長さを考えておかないとどうなるか?のシミュレーションを事前に行おう

事例:「40mロープで25m壁を登ろうとしたケース」

状況設定

  • ルート:シングルピッチの石灰岩ルート、高さ25m
  • 使用ロープ:40mの短いロープ(通常は50-60m使用)
  • クライマー:初心者、ロープ長の重要性を認識していない

起こりうる問題

1. 途中で力尽きる

  • 22m地点で疲労、でも下降できない(ロープが足りない)
  • パニック状態で不適切な判断をする可能性
  • すっぽ抜け

2. トップアウト後の問題

  • 25m登り切った後、懸垂下降ができない
  • ロープが中間点まで届かず、宙吊り状態

3. ビレイヤーの混乱

  • 「ロープが足りません!」と途中で気づく
  • どう対処していいかわからずパニック

実際の危険

  • 墜落リスク:不安定な中間姿勢での長時間停滞
  • レスキューの必要性:自力脱出不可能
  • 二次災害:不適切な判断による追加リスク

防げたはずの対策

  • 事前確認ルート長×2+余裕分でロープ長を選択
  • 下調べ:ガイドブックやネット情報の確認
  • 経験者に相談:「このルートに20mで大丈夫ですか?」

これが「ロープ長を考える」ことの重要性を示す典型例ですね。末端は必ずバルキーなノットで結びましょう。

■事例2

事例:「50mロープでマルチピッチ、35m→25mのピッチ構成」

状況設定

  • ルート:マルチピッチ、P4が35m、P5が25m
  • 使用ロープ:50mシングルロープ
  • 問題:計60mのルートを50mロープで登ろうとしている

起こる危険な状況

1. 強制的なセルフビレイ

  • フォロワーは途中で自己確保で登るしかない

2. 不適切な中間支点でのビレイ変更

  • リードクライマーが、終了点(2点)ではなく、中間支点(1点)でビレイを交代
  • でも支点の安全性が保証されていない場所

3.防げたはずの対策

  • ピッチを連結しない:ルート全長に対応
  • 事前のルート研究:各ピッチ長の正確な把握
  • ロープ長事態を長く:70m

これも「知らないことを知らない」典型例ですね。ロープ長を考えずにピッチを連結してしまう。

マルチピッチに行く時は、セカンドでも、自己確保での登攀をマスターしてから行きましょう。ザックに30mの予備ロープを入れておけばなお安心です。