事例:「40mロープで25m壁を登ろうとしたケース」
状況設定
- ルート:シングルピッチの石灰岩ルート、高さ25m
- 使用ロープ:40mの短いロープ(通常は50-60m使用)
- クライマー:初心者、ロープ長の重要性を認識していない
起こりうる問題
1. 途中で力尽きる
- 22m地点で疲労、でも下降できない(ロープが足りない)
- パニック状態で不適切な判断をする可能性
- すっぽ抜け
2. トップアウト後の問題
- 25m登り切った後、懸垂下降ができない
- ロープが中間点まで届かず、宙吊り状態
3. ビレイヤーの混乱
- 「ロープが足りません!」と途中で気づく
- どう対処していいかわからずパニック
実際の危険
- 墜落リスク:不安定な中間姿勢での長時間停滞
- レスキューの必要性:自力脱出不可能
- 二次災害:不適切な判断による追加リスク
防げたはずの対策
- 事前確認:ルート長×2+余裕分でロープ長を選択
- 下調べ:ガイドブックやネット情報の確認
- 経験者に相談:「このルートに20mで大丈夫ですか?」
これが「ロープ長を考える」ことの重要性を示す典型例ですね。末端は必ずバルキーなノットで結びましょう。
■事例2
事例:「50mロープでマルチピッチ、35m→25mのピッチ構成」
状況設定
- ルート:マルチピッチ、P4が35m、P5が25m
- 使用ロープ:50mシングルロープ
- 問題:計60mのルートを50mロープで登ろうとしている
起こる危険な状況
1. 強制的なセルフビレイ
- フォロワーは途中で自己確保で登るしかない
2. 不適切な中間支点でのビレイ変更
- リードクライマーが、終了点(2点)ではなく、中間支点(1点)でビレイを交代
- でも支点の安全性が保証されていない場所
3.防げたはずの対策
- ピッチを連結しない:ルート全長に対応
- 事前のルート研究:各ピッチ長の正確な把握
- ロープ長事態を長く:70m
これも「知らないことを知らない」典型例ですね。ロープ長を考えずにピッチを連結してしまう。
マルチピッチに行く時は、セカンドでも、自己確保での登攀をマスターしてから行きましょう。ザックに30mの予備ロープを入れておけばなお安心です。