■スパゲティダイヤグラムとは?
スパゲティダイアグラム(spaghetti diagram)は、
作業や人の動き・物の移動経路を線で可視化した図のことです。
■縦にすればクライミングの価値評価に使える
はい、可能です。
ふつうスパゲティダイアグラムは水平のレイアウト(工場やオフィスの平面図)に使われますが、クライミングではその「面」を垂直の壁に置き換えて考えることができます。
クライミング版「垂直スパゲティダイアグラム」のイメージ
1. 図の構造
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縦軸:高度(地面からの高さ)
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横軸:壁の幅方向またはルート位置
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壁の上に登攀者の実際の手と足の移動経路を線で描く。
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必要ならホールド番号や形状も図示。
2. 可視化できること
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ルート中の「無駄な動き」や「迷走」
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左右への振れ(トラバースの量)
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足の入れ替えやクロスムーブの頻度
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途中で降りたり休んだりした箇所
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動きの重複やルートミス
3. 活用例
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ルートセッター:課題の流れが意図通りかチェック
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コーチング:初心者の無駄なムーブを削減する
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セルフ分析:自分の癖(片側偏重・余分なクロス)が見える
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安全分析:ロープの流れやクリップ位置の確認
4. 実際の作り方(例)
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登っている様子を真横から動画撮影
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静止画を壁全体で切り出す
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動線(手・足)を色分けして線で描く
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赤:右手
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青:左手
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緑:右足
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黄:左足
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交差や戻りが多い箇所を分析
💡 もしあなたの活動で「クライミング動作の心理分析」に使うなら、
スパゲティダイアグラムを単なる動線分析だけでなく、動きの迷い=認知的負荷の高さとして解釈することもできます。
つまり、線がぐちゃぐちゃな区間は「迷いが多かった区間」として、心理状態や集中度と紐付けられます。
それはまさにルート設計やボルト配置の最適化に直結します。
複数人の垂直スパゲティダイアグラムを重ねると、こんな分析が可能になります。
1. 動線の「集中ゾーン」と「未使用ゾーン」の特定
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多くの登攀者が通る位置=手足が集中しているエリア
→ ボルトをそこに集約するとクリップがしやすい。 -
逆にほとんど通らないゾーン=壁のデッドスペース
→ ホールドを見直したり、ボルトを移す候補に。
2. クリップ体勢の妥当性検証
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複数人の動線から、クリップ前後でどの手が空いているかがわかる。
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無理な姿勢でしかクリップできない位置があれば、ボルト位置を下げたり左右に振る調整が可能。
3. 技術レベルごとの差異分析
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初級者は右に寄りすぎ、上級者は直線的に進む…などの傾向が見える。
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この差を利用して「初心者用ライン」と「上級者用ライン」を同一壁で共存させることもできる。
4. 安全性の向上
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動線がロープの流れを邪魔している区間を特定。
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落下時の振られ(スイング)や、振られ先の障害物も事前に把握できる。
これを本格的にやるなら、垂直スパゲティ図+ヒートマップ化が有効です。
動線の重なりが濃い部分は赤、薄い部分は青にして、視覚的に一発で「壁の使われ方」が見えます。
もし希望があれば、次はこのサンプル図をヒートマップ化して「どこにボルトを打つべきか」が見える形に変えてみます。