とっても深いテーマね。では、トラウマボンドにおける再犠牲者化(=再び似たような被害関係に巻き込まれること)を、**自己内カルマントライアングル(迫害者・被害者・救済者の三角形)**を用いて説明していくわね。
🌪 トラウマボンドとは?
まず軽く整理しておくと、「トラウマボンド」は、虐待や支配のある関係性において、加害者との間に形成される強い絆のこと。特に、暴力やモラハラといった不安定な愛と恐怖の交錯のなかで、被害者が加害者に執着してしまう現象。
🔺 自己内カルマントライアングルとは?
カルマントライアングルはもともと人間関係の中の三つの役割――
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迫害者(Persecutor):「お前はダメだ」と責める
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被害者(Victim):「私はこんなに可哀想」と感じる
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救済者(Rescuer):「私が何とかしてあげる」と助けようとする
という三角関係を示したモデルなんだけど、これを自己内面の構造として内面化すると、それぞれの役割が内在化された自己の声として機能するようになるの。
🧠 自己内カルマントライアングルによる再犠牲者化の仕組み
では本題。なぜ再び犠牲者になってしまうのか?自己内のトライアングルを使って見ると…
① 内なる迫害者(内在化された加害者の声)
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「お前は価値がない」「誰もお前なんて愛さない」「お前のせいでこうなった」
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この内なる声が、自分自身を攻撃するようになる
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自分を罰するかのように「もっと苦しむにふさわしい」と感じさせる
↓
▶ **被害者を引き寄せる「自己罰願望」**が働く いわゆるM。
(=加害者のような人間とまた関係してしまう)
② 内なる被害者(自己憐憫と無力感)
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「どうせ私は愛されない」「何も変えられない」
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誰かに助けてもらいたいと願うが、自分で自分を守る力が欠けている
↓
▶ 無力さゆえに、再び支配的な相手を許容してしまう
(=「支配されることでしか関係を保てない」)
③ 内なる救済者(自己犠牲的な他者救済願望)
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「私がこの人を救わないと」「この人が私を必要としてる」
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自分の価値を他者を救うことで感じるようになる
↓
▶ 加害者的存在を「救おう」として関係に巻き込まれる
(=「この人も本当は可哀想なのかもしれない」)
💥 三役が内面で回ることで、再犠牲者化がループする
この三角形が自己内でぐるぐると回る限り、外部にも同じ構造を引き寄せやすくなるの。たとえば:
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迫害者のようなパートナーと出会い、
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被害者のように振る舞い、
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救済者としてなんとかしようとし、
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また傷ついて、
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再び「自分が悪いんだ」と迫害者の声を内面化する
というふうに、同じドラマを何度も繰り返すのよ。
🧘♀️ 脱出の鍵:自己内トライアングルの解体
再犠牲者化から抜け出すには、この自己内の三角構造を見つめ、対話し、和解することが大切。
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内なる迫害者に対して境界線を引く
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内なる被害者に力を取り戻させる
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内なる救済者に「まずは自分自身を救う」ことを教える
■ 違いの確認
比較:他者救済で価値を感じる vs 自己効力感を上げる助け方
項目 | 他者を救うことで価値を感じる(≒共依存) | できる範囲で助けて自己効力感を上げる |
---|---|---|
💡 動機 | 「自分には価値がないから、誰かを救わないと」 (=自分の存在証明のため) | 「自分は力がある。だから、できる範囲で貢献したい」 (=内なる充実から) |
🔧 感情のベース | 恐れ、不安、罪悪感、義務感 | 安心、自信、喜び、選択の自由 |
🪞 自分の扱い | 自分を犠牲にしてでも相手を優先 | 自分の限界とバランスを尊重する |
🔄 助け方の癖 | 相手の問題を肩代わりしてしまう (=境界線が曖昧) | 相手の力を信じてサポートに徹する (=自立を促す) |
🔚 結果 | 疲弊・見捨てられ不安・関係の歪み | 持続可能な関係性・自己成長・健康的な自信 |
⚠️ リスク | 依存関係・燃え尽き・感謝されないと傷つく | 自分のキャパを守れる・無理なら断れる |
🌱 要するに…
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前者は「助けること=存在価値」という条件付きの自己肯定感。
→ 相手が救われないと、自分がダメになる気がしてくる。 -
後者は「私は私として価値がある」ことを前提にした健康な貢献欲求。
→ 相手の反応に左右されず、「やれることをやった」で満足できる。
🧘♀️ 見極めのセルフチェック
ちょっと迷ったときは、自分にこう聞いてみて:
🔍「私は、これをやらなければ“価値がない”と感じている?」
🔍「もし相手が感謝しなくても、私はこれをして満足できる?」
この違いを見抜けたあなた、かなりクリティカルに内面を見つめてる。
もっと深く探りたければ、「自分の中の救済者の声」と対話するワークとかもできるわよ。
やってみる?それとも、すでにそういう声の正体、なんとなくわかってる?
■ 加害者の操作
その通り、加害者は非常に巧妙に自分を「かわいそうな存在」として描き、相手の親切を権利として要求してきますよね。これはまさに、被害者ポジションに自分を押し込めるための心理戦であり、相手の弱さや不安を突いて支配的な関係を築く手法です。
💡 加害者が「かわいそうな自分」を装う理由
加害者が自分を「かわいそうな存在」として演じるのは、以下の理由からです:
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責任転嫁:自分が悪いことをしているという事実を隠すために、周りに同情を引き、自分を正当化する。
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感情的操作:相手に罪悪感を抱かせ、「私はあなたを必要としているから助けてほしい」という形で支配的な立場に立つ。
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無力感の演出:実際には力を持っているにも関わらず、自分が無力であるかのように見せかけて、相手に過剰な責任を感じさせる。
⚖️ 加害者の「権利として要求する」構造
加害者は、相手に自分を「助けるべき存在」と認識させることで、次のような心理的圧力をかけてきます:
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感情的搾取:「私がこんなに苦しんでいるのに、どうして助けてくれないの?」
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負い目を感じさせる:「お前が私を助けるのは当然だろう。お前もお前のために何かするべきだ。」
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一方的な期待:「あなたは私を救わなければならない。それが私たちの関係の本質だ。」
こうして、加害者は支配関係を自然なものとして構築し、相手が自己犠牲的な行動を取ることを義務のように感じさせるのです。
🧠 加害者の「弱さ」として演じる背景
加害者が「かわいそうな俺」を装うのは、相手に共感や保護を求めると同時に、自分の行動に対する責任から逃げるための方法でもあります。加害者は本当に自分を変える力や自己認識に欠けていることが多いので、周囲の人々に問題を「外部の原因」や「他人のせい」にすることで、自己防衛メカニズムを働かせているのです。
🚨 どうやってこの状況を回避するか?
このようなパターンに引き込まれないためには、いくつかの防衛策が必要です:
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境界線の確立:自分のリソース(時間、エネルギー、感情)に対して明確な線引きをし、相手の要求に応じる前に、自分が何を感じているかを問い直すことが大切。
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自分の価値を確立する:「私は親切にすることができるが、それは義務ではなく、私が選んだことだ」という意識を持つ。
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相手の要求に対して冷静な反応を:相手が感情的に訴えてきても、その感情に振り回されないようにする。冷静に、自分にとって何が適切かを考える。
加害者がこのパターンを使うとき、しばしば長期間にわたる心理的支配が続きますが、自己認識を持ち続けることで、その支配を断ち切ることができます。
■ TA分析
おお…名指しキタね!これはまさに、**TA(交流分析 / Transactional Analysis)でいうところの「心理ゲーム(psychological games)」**の典型パターン。
あなたが言っていた
「加害者は大体かわいそうな俺を装い、権利としてこちらの親切を要求してくる」
この状況は、TAでいうところのゲーム――
🎭 「かわいそうな私(Poor Me)」ゲーム
または
🎭 「はい、でも…(Yes, but…)」ゲーム
の変形バージョンに該当します。
🧩 「かわいそうな私(Poor Me)」ゲーム
概要:
加害者(あるいは操る側)が被害者ポジションに立ち、自分の悲惨さや辛さを強調して、相手に「救済者」としての役割を取らせる。
でも実際には、相手がいくら助けようとしても、**無意識に「助けを無効化」**する。そして最終的に、相手を「わかってくれない冷たい人」と責めるか、相手が疲弊して撤退することで、自分の「私はかわいそうで見捨てられる存在」というストロークを確認する。
例:
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「私は本当にひどい目にあってきたんだ…(だからあなたは私に尽くすべき)」
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「何をしても私は報われないのよ…(でもあなたは諦めずに構って)」
🧩 「はい、でも…(Yes, but…)」ゲーム
概要:
こちらは、助けを求めているようでいて、実際にはどんな提案や援助も受け入れないというパターン。これもまた「かわいそうな私」路線の変形。
例:
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A「じゃあこうしたら?」
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B「はい、でもそれはできないんです」
-
A「じゃあこうしてみたら?」
-
B「はい、でもそれも無理なんです」
この繰り返しで、助けようとする人を無力感と疲労感に追い込んでいく。
🧠 あなたの言う「加害者」は何をしているか?
その「かわいそうな俺」の加害者は、
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表面では「被害者」のようにふるまい
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相手に「救済者役」を強制し
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でも裏では、支配と操作をしてる
つまり、TAで言うところの**「カルマントライアングルの心理ゲーム化」**が起きてるの。
🎲 最終的なゲームの目的は「ラケット感情」の再確認
彼らが無意識に求めているのは、「やっぱり俺は不幸で、周囲は冷たい」などの**ラケット感情(幼少期に身につけた、歪んだ感情パターン)**を再確認すること。
あなたが優しくしても、助けようとしても、ゲームのシナリオ通りにしか進まない。
🔓 じゃあどうすればいい?
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ゲームに乗らない
→ 相手のドラマに感情的に巻き込まれない -
対等な立場での境界設定
→ 「私はあなたを助けるけど、あなたにも責任がある」と明示 -
脚本外の対応をとる
→ 予想外の反応をして、ゲームを崩す(例:「どうしたいのか自分で考えてみたら?」)
必要なら、「Yes, but…ゲームに巻き込まれない対応スクリプト」も一緒に書くよ!
■ よっしゃ、任せて。
ここでは、「“かわいそうな俺”を演じて親切を権利として要求してくる人」に巻き込まれないようにするための、心理ゲーム非参加スクリプトをシーン別に用意するわね。
これ、感情を乗せすぎず、冷たすぎず、でもしっかり境界線を引くのがコツよ。
🎯【基本方針】
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反応は共感+主導権の返却
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相手の「救ってくれよ!」という無意識のシナリオには乗らない
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「私はあなたを尊重するけど、あなたの人生の責任はあなたにある」と伝える
📘 スクリプト例
① 「かわいそうな俺」によるエモ攻撃
🧍♂️「こんなにしんどいのに、誰も俺をわかってくれないんだよ…君くらいだよ、頼れるのは…」
🧠 回避スクリプト:
「うん、あなたがつらいのは伝わってくるよ。でもね、それをどう乗り越えるかはあなたの選択なんだと思うよ。私は話を聞くことはできるけど、全部背負うことはできないんだ。」
② 要求がエスカレートし「当然の権利」のように感じさせてくる
🧍♂️「それくらいやってくれるのが普通だろ?俺にはそれを受ける資格があるだろ?」
🧠 回避スクリプト:
「あなたがそう思うのは自由だよ。でも、私は“普通”の中に含まれていないかもしれないし、私の選択で行動してる。無理なときは無理って言わせてもらうね。」
③ 「君にしかできない」「君がいないとダメなんだ」で依存を誘う
🧍♂️「君がいなきゃ、俺ほんとダメになるわ…」
🧠 回避スクリプト:
「あなたにとって私がそういう存在なのは光栄だけど、私は“あなたの人生”を代わりに生きることはできないんだ。ちゃんと自分の力も信じてあげて。」
④ 「助けてくれないなんて冷たい」と責めモードに入る
🧍♂️「そうやって見捨てるんだな。君も他の奴らと一緒かよ」
🧠 回避スクリプト:
「それがあなたの感じ方なら尊重するよ。でも私は、見捨ててるつもりはない。ただ、自分を大事にしながら、関われる範囲で関わってるだけなんだ。」
💡 決めゼリフ集(場面を選ばず使える)
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「私はあなたの話を聴けるけど、解決はあなた自身の手にあると思ってるよ」
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「頼られるのはうれしいけど、それが義務になるなら、少し考え直させて」
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「あなたの状況を否定はしない。でも、私の限界も大事にしたいの」
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「私は助けたいと思う。でもそれは“私の選択”であって、“あなたの当然の権利”じゃない」
🔓 ゲームのルールを書き換える力は「あなたの言葉」にある
相手は無意識に**「こう返ってくるはず」という期待スクリプトで動いてる。
そこにあなたが脚本外のセリフ**を返すことで、ゲームは止まる。
■ もちろん、任せて。
「Yes, but…」ゲームは、提案しても「でも無理」で返され続ける消耗パターン。
ここでは巻き込まれず、責任を相手に返す簡潔なスクリプトをまとめるね👇
🎯 YES, BUTゲーム 回避スクリプト(簡潔Ver)
🧍♂️「でも、それはできないんだよね…」
🧠「そうか、じゃあ自分でどうしたいか考えてみて」
🧍♂️「いや、それも難しいと思う」
🧠「そっか。じゃあ今は“どうにもできない”ってことかもね」
🧍♂️「いや、君の案はちょっと違うんだよな…」
🧠「なるほど。じゃあ、あなたのやり方でやってみるのがいいかも」
🧍♂️「誰も本当の意味で助けてくれないんだ…」
🧠「そう感じるのはつらいね。でも、自分を助けるのは最後は自分だよ」
🚫 一番効く締めワード集
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「私は提案まで。選ぶのはあなた」
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「できない理由より、やりたい方向があれば聞くよ」
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「話は聴くけど、決めるのはあなた自身だね」
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「それ以上は私の役割じゃないかな」
🔥ポイントは「共感+主導権返却+静かに会話を終了させる」こと。
ねばらない・説得しない・追わないが鉄則!
必要なら、あなたらしい口調にアレンジもできるよ♡