これくらいのことは、新しく着た人が教えてもらいたいと思った時に教えられる体制を保つ程度の維持はしないといけない。
九州では、これらを維持する体力、マンパワーや知識の維持が、もはやないのかもしれません。
これくらいのことは、新しく着た人が教えてもらいたいと思った時に教えられる体制を保つ程度の維持はしないといけない。
九州では、これらを維持する体力、マンパワーや知識の維持が、もはやないのかもしれません。
心理学的に見ると、クライミング事故が起きる背景には「承認欲求・自己肯定感の報酬ループ」が強く働きすぎることが大きく関係しています。整理するとこうなります。
難しい課題に挑戦する
脳内でドーパミンが分泌される
「できた!」「すごい!」という達成感が得られる
他者からの承認・評価
コーチや仲間から褒められる → オキシトシン分泌
社会的承認が自己肯定感を増強
ポジティブRPEの強化
成功と承認が報酬として学習される
「もっと難しい課題に挑戦すれば、さらに自己肯定感が得られる」という期待が強化
次の挑戦に反映
より危険な課題や無理なムーブに挑戦しやすくなる
| 要因 | 影響 |
|---|---|
| 達成感・承認欲求の報酬が強い | 危険認知やNegative RPEが無視されやすい |
| 社会的比較・承認の期待 | 周囲ができているから自分もできるだろうと過信 |
| 報酬の即時性 | 危険は潜在的で遅延 → RPEで学習されにくい |
| 恐怖感の抑制 | オキシトシン・ドーパミンが恐怖信号を一時的に抑える |
成功体験・承認・自己肯定感 → 強力なPositive RPE
危険信号(落下やミス)は 報酬の強さに押し潰される
結果、安全行動よりも「挑戦・達成」の学習が優先される
脳の学習回路が「危険より達成を重視する偏り」になる
承認・自己肯定感を安全行動に結びつける
例:「準備・確認が完璧だから安心して挑戦できる→褒められる」
小さな安全行動にもPositive RPEを与える
危険体験は小規模で管理された条件で経験させる
脳がNegative RPEを学習できるようにする
💡 まとめ
クライミング事故の心理的背景には、承認欲求・自己肯定感が強く働くことで、危険認知や安全学習が抑制される報酬ループが存在します。
このループを安全行動に結びつけることで、事故のリスクを下げながら達成感も維持できます。
そうです。簡単に言うと、クライミング事故の心理的背景の根底には「オキシトシンのニーズ」が絡んでいます。
承認欲求・社会的つながりのホルモン
オキシトシンは「信頼・絆・社会的承認」を感じると分泌
仲間やコーチから褒められると「うれしい・安全だ」と感じやすくなる
恐怖や危険信号を一時的に抑制
高いオキシトシン分泌は、危険認知や不安の感覚を弱めることがある
「仲間がいるから大丈夫」「自分はできる」と過信しやすくなる
Positive RPEとの結合
達成感+承認感 → ドーパミンとオキシトシンが同時に分泌
脳は「危険よりも挑戦・承認の方が報酬」と学習
結果、事故のリスクが過小評価されやすくなる
クライミングでの事故リスクは、単なる技術不足ではなく、オキシトシンによる社会的報酬欲求が強く働き、危険信号(Negative RPE)が抑制される心理的構造に起因している。
では、心理学・生理学的視点を踏まえて、オキシトニンニーズを安全行動に変換するRPEループを作ってみます。
仲間やコーチからの「褒め」「承認」を意識する
「みんなに認められる=報酬」を安全行動に結びつける
チェック・確認・装備点検を行う
言葉がけ例:
「準備完璧!みんなも安心できるね」
「このフォームだと落ちても安全に止まる、ナイス判断!」
ポイント:安全行動自体を承認・達成感の源にする
安全行動 → 仲間やコーチから承認 → ドーパミン+オキシトシン放出
脳は「安全行動+社会的承認=報酬」と学習
達成感と安全がセットで学習される
軽い落下やバランス崩しなどを安全環境で経験
Negative RPEを学習させ、危険認知を強化
恐怖体験がオキシトシンによる安心感と結びつくことで学習が過度に避けられない
安全チェックリスト、自己評価、成功回数などを見える化
小さな安全達成を毎回承認 → Positive RPE増幅
「自分は安全も守れるクライマー」と自己肯定感強化
安全行動が習慣化 → より高度な課題に挑戦
達成感・承認・安全の三重報酬ループが回る
危険に対する認知と安全行動が自然に維持される
オキシトシンの「承認欲求」を危険学習・安全行動に置き換える
Positive RPEを最大化 → 達成感も維持
Negative RPEも適切に学習 → 危険認知が機能
結果:事故リスクを下げつつ挑戦意欲を維持
💡 ポイントまとめ
承認欲求・自己肯定感(オキシトニンニーズ)を安全行動に結びつける
小さな成功体験でPositive RPEを積み重ねる
管理された危険体験でNegative RPEも学習
可視化・言葉がけで報酬を強化
なるほど、心理学的に見ると「クライミングで事故が起きているのに、RPE(報酬予測誤差)が安全行動を強化する方向に働かない」ことにはいくつかの理由があります。これは単純に“脳の学習機能が壊れている”わけではなく、状況や心理特性による現象です。整理するとこうなります。
RPEは「予測と結果のズレ」が短時間で経験されるほど学習効果が強くなります。
クライミング事故は致命的になることもあり、多くの場合予測と結果の学習が直接リンクしにくい。
例:落下しても軽傷で済む → 脳が「予測と結果の誤差」を十分に感知できない
予測以上に危険でも「生還した」という結果でPositive RPEが生じてしまう
クライミングは「成功体験・達成感の報酬」が非常に強い活動です。
ドーパミン報酬が強すぎると、潜在的な危険に対するNegative RPEが弱まることがあります。
つまり、「登れた/完登した」という報酬が「落ちる危険」というリスク信号よりも強くなる。
過信バイアス:自分は安全だと思い込み、危険を過小評価
正常化バイアス:事故が起きても「自分には関係ない」と無意識に思う
比較の錯覚:周囲も同じくらいリスクを取っている → 自分も大丈夫と錯覚
これらがNegative RPEを抑制し、危険行動を学習できなくする。
クライマー文化では「挑戦・自己表現・達成」が強調される傾向があり、危険回避行動が学習されにくい
他者の成功例を見て学ぶ場合、ポジティブなRPEだけが伝わる → 危険信号は無視されやすい
高度な技術習得は前頭前皮質の計画性や感覚運動野の制御に依存
危険認知は扁桃体や脳幹の警告信号に依存
技術達成と危険認知が異なる回路で処理されるため、達成感が危険学習を打ち消すことがある
クライミングで事故が起きてもRPEが安全行動に働きにくい理由は、
フィードバックが遅い/不明瞭
成功体験の報酬が強すぎる
心理的・社会的バイアス
技術達成と危険認知が別回路
の複合です。
つまり、脳は「危険を学習するよりも、挑戦と達成を学習する」方に偏りやすいのです。
わかりました。では、心理学的に正しいRPE(報酬予測誤差)を利用したクライミングの安全行動学習ループを作ってみます。
目的は、「達成感の報酬は保ちつつ、危険認知と安全行動を学習させる」ことです。
危険回避を小さく具体的に設定
例:ハーネス・ロープ・カラビナのチェックを必ず行う
例:毎回落下防止練習を1回実施する
脳は「これをやれば報酬がある」と予測を立てる
実際にチェック・確認・手順を行う
「やらないと危険」「やると安心」という認知を強化
安全行動の結果を明確にする
例:事故ゼロ、落下ゼロ
例:正しいフォームで安心して登れた
予測通り → Zero RPE
予測以上 → Positive RPE(褒められる・自己評価アップ)
Positive RPEが発生すると、次回も同じ安全行動を選択しやすくなる
Negative RPE(危険を感じる行動)を小規模に安全に経験させ、学習させる
例:軽い落下訓練 → 「怖いけど安全に止まる」
脳が「安全行動で恐怖を管理できる」と学習
行動・チェック項目の達成を可視化(チェックリスト、日記、アプリ)
達成ごとに自己肯定感・小さなご褒美(ドーパミン増幅)を設定
安全行動の習慣化に成功 → より難易度の高い課題や長時間登攀に挑戦
Positive RPEが安全行動と結びつくことで、挑戦と安全が同時に報酬となる
達成感(クライミングの楽しさ)と安全認知を同時にRPEで学習
小さな成功でPositive RPEを積み重ねる
危険認知を負荷小さく経験させ、Negative RPEで適切に学習
脳の報酬系を最大限活かしつつ、安全行動を習慣化
💡 ポイント
「楽しさだけでRPEが回る」と危険学習は弱い
「小さな安全行動にもPositive RPEを作る」ことで、安全と達成感の両立サイクルを作れる
■クライミングの安全行動に RPE(報酬予測誤差)を最大化して学習を促す言葉がけ は、達成感と安全感を同時に強化することがポイントです。心理学的に効果的な言葉を整理すると以下の通りです。
小さな成功を具体的に褒める(Positive RPE)
「ロープのチェック完璧だね!安心できる」
「そのムーブ、前よりスムーズに登れたね!」
安全行動を行動と結びつけて報酬化
「カラビナ確認できたから、次も安心して挑戦できるよ」
「落ち着いて準備できたから安全に登れたね」
予想より良かったことを強調(プラスの予測誤差を作る)
「思ったよりフォームが安定してる!すごい」
「その判断、予想以上に的確だったね」
挑戦をポジティブにフレーミング
「少し怖いけど、ちゃんと手順守れてるのが成長の証」
「慎重さと大胆さのバランスがうまくできてる」
安全行動の結果を明確化
「確認したから、もし落ちても止まるって分かってるよね」
「チェックリスト通りにできてるから安全が保証されている」
学習・成長感を強調
「前より上達してるのがよく分かるね」
「こうやって一歩ずつ改善していくのが上手くなるコツ」
小さな達成・安全行動に焦点を当てて褒める
「予想より良い結果」を意識してPositive RPEを増やす
成長や学習プロセスに言及する
恐怖や危険をただ否定せず、安全行動と結びつけて報酬化する
リードクライミングで**「ロープが短くてビレイデバイスからすっぽ抜ける」事故は、100%予防可能な致命的ミスです。 過去の死亡事故(例: 米国・ヨセミテでの事例)でも多発しています。
以下に、「絶対に起きない」ためのシステム**を紹介します。
| 原因 | 具体例 |
|---|---|
| ロープ長の誤算 | 30mルートに25mロープ → トップで10m足りない |
| ビレイ位置のミス | 地面から5m上にビレイヤー → 実質ロープ5m減 |
| 中間アンカー忘れ | マルチピッチでロープ半分消費 → 次のピッチで不足 |
| テール管理なし | ビレイヤー側ロープが短く、すっぽ抜け |
計算式(鉄則) 必要ロープ長 = (ルート高さ × 2) + ビレイ位置高さ + テール余裕(5m) + アンカー分(3m)
| ステップ | 行動 | 声掛け例 |
|---|---|---|
| ① ルート長を確認 | ガイドブック・ジム表示・目視 | 「このルート、28m だね」 |
| ② ロープ長を確認 | ロープ中央マーク+両端 | 「うちのロープ、60m、中央マークあり」 |
| ③ ビレイ位置を加味 | 地面からビレイヤーまでの距離 | 「ビレイヤー地面から0m → 余裕32m」 |
| ④ 往復計算 | ルート長 × 2 + ビレイ位置 + 余裕5m | 「28×2 + 0 + 5 = 61m必要 → 足りない!」 |
| ⑤ 結論を声に出す | 2人で合意 | 「ロープ足りない!下げてビレイ位置変更!」 |
「ロープ長は計算で決める。感覚で登るな。」
「28mルート = 最低64mロープ」 これを脳に焼き付け、毎回声に出して確認。 すっぽ抜け = 死 → 計算ミス = 殺人。
ロープ長は命の長さ。1mの誤算も許されない。
これは偶然回ってきたのですが、ヒマラヤでのアイスクライミングの様子のようです。
出だしで滑り落ちており、へっぴり腰です。
https://www.facebook.com/reel/840707461683569
おっこっているところ。女子の私でも、これくらいは落ちないです。全然、斜度が違う。なんでみんな、アイスクライミングの教科書にちゃんと難易度のことが書いてあるのに理解していないのかなって感じでした。
投降をディする目的なのではなく、ごく普通に難度や難しさを分かるようにならなければ、ちゃんとクライミングしているって言えないのではないですかね?と思ったため掲載。
世界で登っている門田ギハード君が、あいつはまだまだで、カム三つ飛ばしている人が特待生ってかなり倒錯した感覚だと思います。
2022年に鬱になり、現在、回復期。すっかり元気になり、やる気も戻りました。水泳絶好調です。
そして、振り返って思うのは、なんであんな些細なことで自責していたんだろう???ってことです。もう、?マークが一つくらいではなく、3つでももなく、なんなら100個くらい付けてもいいくらいでした。
私は、おそらく、「クライミングは自己責任」という言葉を強く内在化しており、相方がロープ長を考えていないリードをして、ボルト一個(しかも、そのボルトは40年物で、いつ抜けたり壊れたりするともいえないものなのです!)にぶら下がる羽目になったのか?
わたしはどうしてそのような奴を見抜けなかったのか?
と自分を責めていました。
しかし、鬱が回復した今になると、10年もクライミングしていて、リードするとき、ロープ長を考えないクライマーがいるなんて普通は信じられないです。あほも休み休みにせい、って、文字通り本当にそのまま言いたい感じです。奴を選んだのは、私の自己責任、とは言えない。奴のあほさまで私の責任であるとは言えない。リードするときにロープの長さを考えるのは、誰からも教わっていなくても普通のことだからです。
まぁ何が言いたいかというと、人の性格にまで責任を持たなくていいってことです。
さて、相方の性格については、まったく私には責任はありませんが、10年も登っていても、ロープ長について無頓着なクライマーができる理由、その仕組みを考察し、クライミング界への警鈴としたいと思います。
理由1)
なぜなら、普段の外岩でリードするのが、20m以下の短いルートばかりで、現在のシングルロープの主流は、50mなので、ロープが足りないケースを経験することがないから。
理由2)
外岩のリードで、長い距離をリードすることを目指さず、グレードを上げることを目指すので、同じ20m以下のルートで、5.10→5.11→5.12→5.13と進み、長いルートを登ることがないから。
理由3)
インドアの人工壁の団体練習の経験から、ロープ=コーチが用意するもの、という発想になり、自分で自分のロープを購入する経験がないから。購入すれば、ロープの長さは何メートルが最適か、自分で判断することになるが、判断のチャンスを得ていない。
理由4)
易しいマルチピッチをバカにしており、行かないので、易しいルートでロープのロジックを学ぶ経験なく、いきなり限界に近いルートに出るため。ロープドラッグで使えるロープ長が短くなってしまうことや、ピッチをつないだら、当然ロープが足りなくなるので、めんどくさくても、屈曲があったりなど、切りのいいところで、ピッチを切らないと登れなくなることを経験していない。
理由5)
そもそも、気が短いとか、ちょっと面倒だとすぐ手抜きをする、などの性格で、リードするクライマーとして、リード適性がないとみなされ、先輩のフォローしかさせてもらっていない。しかも、そのことを、本人は自分にリードクライマーとしての適性がないから、リードを任されないのだと理解していない。
理由6)
そもそも、男児を養育するときに母親が安全や客観性を誉めず、何かが良くできると、「かっこいい」と褒めるため、すべての行動の判断において、かっこいいか?どうか?が、判断の軸になっている。つまり、幼児的な判断から、逃れられていない。
と以上のような理由が思いつきました。
彼は、ボルトにはカットアンカーとグージョンがあることすら知らず、出てくる終了点を不思議だ、変だ、とは感じていないようでした。一方私は、なんか何時も登っている奴と違うなと違和感をすぐに感じ、それをネットに挙げて、私より経験豊富な人に聞くなどの対処をしました。
つまり、彼は性格上、かなり従順で、世の中をそのまま受け入れてしまい、え?変だなと感じないらしかったのです。これは、アダプティッドチャイルド自我が非常に高いということを意味します。
アダルト自我が低いとクライミングでは危険です。アダルト自我って前頭葉の働きって意味です。クライミングの安全は基本的にロープが担保していますが、ロープのあれこれって、基本的にめんどくささとの戦いなんです。
ちょっとしためんどくさいことを、ま、いっかとスルーしてしまう、前頭前野のはたきが悪い人が、事故に会う。
例えば、私は、上達してから何人も、アンザイレンをエイトノットではなく、「俺らのレベルではブーリンでしょ」とブーリンを勧める人に会いました…。しかし、山岳総合センターでの推奨はエイトノットだし、クライマーなら必ず読んでいなくてはならない『生と死の分岐点』でも、ブーリンで事故った話が有名です。リング加重してしまうとブーリンはすぐ解けます。
日本でも有名なクライマーがブーリンでアンザイレンしていてロープが解けてしまい、故・吉田さんが救助した、という話を聞いています。
というので、私はブーリンを勧めてくる人は、大変無責任な人だと思いましたが、そこに「俺らのレベルでは」などという同調圧力+スキルが高いなら当然風の圧を加えているのが、謎でした。
ちなみにこのクライマーは、5.12は登れても、ロープドラッグで岩角にロープが当たっても気にしないでいるようで、私は引率の先生状態でした。
しかし、このクライマーはとっても自信満々でした。その自信の根拠がグレード一点だということで、現代のクライマーが偏った成長をしていることが分かりました。
以上を考慮すると、ジム上がり、そして外岩に行くだけのクライマーでは、何年クライミングをしていても、バラエティのあるクライミング経験ができないので、ロープのロジックを学び損ねるということが分かりました。
一方私はクライミング歴3年で自立してクライミング可能になったので、成功事例だと思います。経験の中で逆に何がよかったのか?をまとめると…。
1)外岩に出る前に、一般登山、つまりハイキングのレベルで相当数の山に登り、いろいろな斜度に触れていた。また落ちてはいけない箇所などの山に関する理解があった
2)山岳総合センターなどの専門機関に先に触れた。そのほか、無名山塾などの複数の専門集団に触れた
3)山の本をかなりの数、クライミングになる前に読んでいた。例:菊地敏之さんの『アルパインクライミング』
4)易しいマルチピッチから最初からリード。最初の岩場はアイゼントレだったのでアイゼンで登れるならクライミングシューズで登れるのは当然なので、2度目からリード
5)易しい岩場でピッチ数を稼ぐトレーニングをしていた
6)高度なグレード(フリークライミングの5.9)が登れるようになる前から、アイススクリューで登るクライミングをしていた
7)難しいグレードを登る前に、長いルートを登っていた
8)易しいマルチピッチをバカにせず、飛び級しないでコツコツルートの難度を底上げしていく戦略をとった
とくに8)は、男性クライマーは、いきなり難しいのに行きたがります。
ベテランたちは、いきなり難しいのに行かないことを、”経験値を積む”という言い方をするんですが、それ、いい方的に遠まわしすぎて、一般クライマーには意味が通じていないと思います。
全体に、クライミング指導全般で、相手の男のプライドに配慮しすぎて、「してはいけない」内容がきちんと届いていないと思います。
男同士だから、相手のプライドがガラスのプライドだってことが分かりあえるせいなのではないでしょうかね?
しかし、プライドに配慮しすぎて、人を殺しかねないミスまで指摘されないで温存されることになっている。
たとえば、沢では双方向の確保デバイスを用意しないといけないとか、ハーケンとハンマーを持参するのが普通だとか、きちんと伝えていないと危険になることがあいまい化されています。
懸垂下降についても同じで、岩場に行く前にやらないと、行ってから学ぶでは遅いです。
という以上のようなことが事故の種を温存させ、いつか事故として花開くような、時限爆弾的な仕込み行為となっています。
九州ではとくに自然界そのものがリスクフリー化しているので、些細なことでリスクリスクってビビりすぎ、みたいなノリですが、そのノリは本州では通用しません。単に九州の岩場は過保護なだけなんです。
残置カラビナ直がけでローワーダウンがローカルルールって言われましたが、そんなの、小川山でやっていたら、チクチク言われますよ。
これまでのスポーツは、
「競争」「勝敗」「優劣」「若さ」「強さ」などで人を序列づける仕組みでした。
しかし今、社会全体が**“序列から共創へ”**と移行しています。
その変化の波は、スポーツ界にも確実に来ています。
「スポーツ=若者のもの」
「年を取ったら引退する/体を動かす意味がない」
「スポーツ=生涯の表現活動」
「老い=衰退ではなく、熟達・持続の美学」
背景変化:
平均寿命の伸び → 「第二のキャリア」や「生涯スポーツ」の概念が浸透。
高齢アスリートのメディア露出(例:70代のマラソンランナー、80代のヨガ講師)。
科学的にも「高齢期でも筋力・神経回路は再発達可能」と証明。
👉 結果、
“引退年齢”という概念自体が揺らぎ始めている。
「男性=力の象徴」「女性=補助・美的存在」
「女子枠」「男子枠」が当然。
「能力や表現の幅に性別は関係ない」
「パフォーマンス=生き方・美学の表出」
背景変化:
トランスジェンダー/ノンバイナリー選手の登場。
“女子スポーツ”の報道量増加、視聴率の上昇。
「強さ」の定義が多様化(しなやかさ・精神的タフネスなど)。
👉 結果、
スポーツ=性別役割を超えた“身体文化”として再解釈されつつある。
「できない人は参加しない」
「上手さ=価値」
「できない人がいてこそのスポーツ文化」
「下手でも参加していい、むしろそこに多様性が生まれる」
背景変化:
パラリンピック/スペシャルオリンピックスの価値観が広まる。
“遊び”と“競技”の境界が曖昧に(eスポーツ、パルクール、ヨガ、サーフィンなど)。
SNSによる「表現の民主化」:上手くなくても共有・称賛される文化。
👉 結果、
スポーツ=「できる人」だけのものではなくなる。
これら3つの要素をつなぐのは、
「スポーツ=他者との競争ではなく、自分自身の物語」という価値観。
現代の若い世代では:
“勝つため”より“表現するため”にやる人が増加
SNSで“記録より記憶”を共有
「完璧でなくても参加する」ことが評価される
つまり、スポーツがアートやライフスタイルに近づいているのです。
クライミングはもともと「序列」とは無縁な文化でした。
だが近年の競技化で「強さ」「グレード信仰」「スポンサー序列」が入り込み、
男性的ヒエラルキーが再生産されてきた。
しかし再び流れが変わりつつあります:
「トップロープだけでもOK」
「下手でも“気持ちいい動き”を共有する文化」
「グレードを追わない“クライミング瞑想”」
など、“できること”より“感じること”が重視され始めている。
👉 クライミングは、まさにこの「序列崩壊」の最前線にあるスポーツです。
| 項目 | 旧来の価値観 | 新しい潮流 |
|---|---|---|
| 年齢 | 若さ=価値 | 継続=美学 |
| 性別 | 男性中心 | ノンバイナリー的多様性 |
| 能力 | 上手い人が中心 | 誰でも参加・共創 |
| モチベーション | 勝つ・強くなる | 表現する・感じる |
| 社会的意味 | 序列維持 | 包摂と自由の実験場 |
あなたが感じた「上手に登れないと登っちゃいけない」という空気は、
旧時代のスポーツ価値観(=序列文化)の残滓です。
そしてそれは、
今まさに世界的に崩壊しつつあるものです。
これからのスポーツは、
“うまくやる”より、“自分でやる”ことそのものが尊い時代へ向かっています。
【現状】
┌───────────────────────────────┐
│ 他者依存の承認欲求 │
│ ・誰かに認められたい │
│ ・弱さを見せられない │
│ 下方比較による安心 │
│ ・自分より下の存在を見つけて安心 │
│ ・序列を確認する │
└───────────────────────────────┘
│
▼
【課題の認識】
┌───────────────────────────────┐
│ 自己防衛中心の行動が成長を阻害 │
│ ・他者との比較に依存 │
│ ・弱さを隠すことで自己効力が育たない │
└───────────────────────────────┘
│
▼
【心理的ステップ 1:自己承認の内在化】
┌───────────────────────────────┐
│ 他者の評価ではなく、自分が楽しめること│
│ ・泳ぐこと自体・学ぶことに価値を置く │
│ ・下手でも存在価値があることを理解 │
└───────────────────────────────┘
│
▼
【心理的ステップ 2:弱さの受容】
┌───────────────────────────────┐
│ 下手・未熟な自分を恥じず受け入れる │
│ ・心理的安全性の確立 │
│ ・防衛的態度を減らす │
└───────────────────────────────┘
│
▼
【心理的ステップ 3:他者比較から学びへシフト】
┌───────────────────────────────┐
│ 下方比較 → モデル学習に変換 │
│ ・上手い人のフォームを観察し模倣 │
│ ・競争より成長・学習に焦点 │
└───────────────────────────────┘
│
▼
【心理的ステップ 4:自己効力感の獲得】
┌───────────────────────────────┐
│ 小さな成功体験を積み重ねる │
│ ・25m泳げる、ドリルをこなせる │
│ ・達成感・自信が増す │
└───────────────────────────────┘
│
▼
【心理的ステップ 5:自己表現・社会貢献】
┌───────────────────────────────┐
│ 成長・技術を他者と共有 │
│ ・誰かを教えたり一緒に楽しむ │
│ ・承認欲求を建設的に発散 │
│ ・内的自己承認型の自己へ │
└───────────────────────────────┘
【最終的な自己実現】
┌───────────────────────────────┐
│ ・楽しむ・学ぶ・褒め合う │
│ ・自己効力感に基づく成長 │
│ ・外的承認依存からの解放 │
│ ・プールやスポーツを通じた自己表現 │
└───────────────────────────────┘
このマップの特徴:
「承認欲求・下方比較」→「学び・成長」→「自己効力感」→「自己実現」という段階的流れ
幼少期や男性社会の再演が心理的障壁として現れることを前提にしている
実際の練習・交流・学習の中で、自然に心理的変化が起きるプロセス